おかしな倉石
倉石の事があって2日後経つ。 昨日は制服ドロドロで休んだ、間宮さんは今日も休み。 まだ風邪が治らないのは覗いていて間宮さんがほとんどベッドに引きこもっていたのでわかった。
間宮さんに僕も休もうかなとメールしたらちゃんと行きなさいと言われてしまい学校へ着く。
あー、間宮さんが居ない教室…… 僕が来たのに気付くと倉石はチラッと見て目を逸らす。 なんだそれ?
授業中も間宮さんの机をチラチラ見る僕をチラチラ見る倉石。 う…… 気が散る。 新手の嫌がらせか?
休み時間になると真下が僕を見て数人の友達とヒソヒソ話をしていた。 絶対悪口だ。 間宮さんが来てないとあの時の出来事のトラウマが弱まるのかな?
そこへ倉石が通り掛かりると倉石は足を止めた。 が……すぐにツンとした態度で真下らから離れて教室から出ていった。
僕も消えようと思い少ししてトイレへ行くと女子トイレから倉石が出て来た。
「……よッ、西野」
「?」
こっちを向かず視線を斜め下辺りに落として余所余所しい挨拶をした。 今日のこいつおかしくないか?
「な、なによ?」
「別に。 なんかいつもと違うなぁって思っただけだよ」
「…… いや、変わんないし………」
いや、どう見ても変なんだけど?
「そういえば間宮さんのお見舞い行かないの?」
「そ、そうだった。 そうだね」
「忘れてたの?」
「忘れてないよバカ!」
デカい声で言ったので周りが倉石を見る。 そして僕が何かしたのではないのかと僕に変な視線が集まるのはもうわかっている。
「ああ、そう。 じゃあ僕トイレだから」
「なんであんたと行かなきゃなんないのよ……」
「?」
それから午後の間もなんだか倉石に見られているような気はしたけど面倒なので僕は机に目を落とした。
なんかあいつちょっと前までの感じに戻ったような気がするぞ? ていうか間宮さんへの埋め合わせしてくれるんじゃなかったのか? その埋め合わせとは何か? 僕は僕に有利な埋め合わせをしてくれる事を実は期待してるんだけど?
ああ、あれか? アレな日でイライラしてるのかな? まったく女子って奴はコロコロと様子変わるから面倒だよなぁ。(間宮さん除く)
そして放課後になり、倉石がこちらへ渋々という感じに向かってくる。
「つかさまだ風邪酷いから来なくて良いってさ」
「え?」
倉石はLINEの画面を開き僕に見せた。 こいつもう間宮さんと連絡取ってたのかよ……
「ごめんね、あんたの役に立たなくて」
「は?」
「でもあんたの役に立たてなくてもあんたの役には立ちたいな」
何言ってんだ?
「わ、私どうかしてるんだ…… 全然そんなつもりなかったのに。 あんたなんて…… あんたなんて別にさ。 つかさとくっつけば友達冥利に尽きるし私もそれで良かったって思ってたけど」
「言ってる事よくわかんないんだけど? 具体的には何?」
「………… なんでもない」
はぁ、ポンコツロボットと会話してるように要領得ないわ。
まぁいいや、とりあえず帰ろう。 間宮さんの容態も確かめなきゃいけないし。
僕は倉石を置いて教室を出た。 あ、そうだ、間宮さんに何か栄養のある物をあげたいから何か買っておいた方がいいよな? すぐ渡せるし。
僕は学校を出てコンビニへ向かい新しく栄養剤なりドリンクなどを選び買い物を済ませる。
多分今週いっぱいは間宮さん学校休みそうだよなぁ。 間宮さんなしの学校生活を送るなんて色がまるでない灰色の世界に取り残された気分だ。
それに期末も終わったしもうそろそろ夏休みに入る。 学校なんて僕にとっては最悪の場所だったんだけど間宮さんが居るとそこが天国なんかじゃないかと錯覚してしまう。
まぁ間宮さんだけじゃなく僕の恥部を知った上で友達と言った倉石の存在も1ピコグラムくらいはあるんだろうけど今日の倉石はなんだか変だったな。
そして家に帰り間宮さんの部屋を見ると僕に激震が走る……
な、なんだって!? カーテンを閉めている!! あれほど覗き放題な間宮さんの部屋のカーテンが。
い、いやまぁ今までが普通じゃなかっただけでカーテン閉めてるのが普通なのかもしれないけど。
な、何が起こったんだと尚も見るがわからない。
ん? 人影が見える。 間宮さん動き回れるようになったのかな? でしたらカーテン開けて下さい下さい……
すると僕の携帯が鳴った。 着信のようだ。 もしや僕が見ているという気配を察知した間宮さんか!? と思って画面を見ると倉石だった。
なんでこいつが今頃? 不思議に思ったが電話に出た。
「西野……」
「何?」
「今日はごめん。 なんか私いろいろ辛く当たったしおかしかったし……」
「うん、まぁいいけど。 それで?」
「おかしいついでにひとつお願いあるの。 この前寄ったコンビニに来てくれない?」
「はぁ? 今から?」
「…… うん」
モラルがないのかこいつは…… もう8時になるってのに全く。 でも断ると埋め合わせしてくれなそうだし。 仕方ない。
「わかった」
「ありがと。 待ってる」
帰って来たら間宮さんの部屋のカーテンも開いてるかもしれないので僕はコンビニに向かった。




