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間宮さんの家


次の日の日曜日、午後15時過ぎに帰って来れそうと間宮さんは倉石に伝えたので倉石が勝手に僕と間宮さんの家にお邪魔していい? と聞いたらOKという事になった。



僕に一言もなしとかでいきなりそういうのを決める倉石には若干腹が立ったが間宮さんの家に行けるならよしとしよう。



いきなりだったから心の準備が出来ていないが…… あの間宮さんの家に行くって事はいつも覗いている部屋に僕が行くんだな、間宮さんのいろんなものが染み込んだあの部屋に。



もっと準備期間があれば盗聴器とかその手の類いの物を…… ああ、気持ちが高鳴る!



僕は平静になるためにしばしベッドの上で座禅を組んだ。 ここまで来るのにどれほど辛い思いをしただろう? 木ノ下やDQNどもに追い詰められ苦しい道のりだった。



座禅を組んで目を閉じているといつの間にか寝ていたようで携帯の着信で目が覚める。 間宮さんだ!



「あ、やっと出たぁ! まさかのドタキャンかと思っちゃったじゃん」

「ご、ごめん、座禅組んでたら寝ちゃってた」

「え? あははッ、何その状況? まぁいいや。 西野君もうあたしの家来ても良いよ? 外で待ってるからさ」

「うん! わ、わわかった!」



僕は急いで間宮さんの家へと向かう、クラスメイトのしかも女子の家に行くなんて初めてだ、そしてその相手が間宮さんだしな!



「うわッ! 早い西野君〜!」

「ハァハァッ…… い、急いで来たから」

「だねぇ、汗びっしょり」

「あ……」



間宮さんは服の袖で僕の汗を拭う。



うわッ、僕の汗なんて汚いものを間宮さんの服に染み込ませてしまったと思ったがそれと同時に間宮さんを僕が汚している優越感が同時に襲いかかる。 



「んー、拭いても拭いても汗が噴き出してくる」



間宮さんが興奮させるせいなんです。 なんて言ったら離れてしまいそうだから言えない。



「ていうかタオルでちゃんと拭いた方がいいね。 さ、入って入って!」



出来る事ならそのまま拭き拭きしてもらいたかったんだけど……



「うちの両親ねぇ、帰ってきてまたすぐ出掛けたから遠慮しなくていいからね」



う、嘘だろ!? だったら盗聴器とか持ってくれば仕掛けられたかもしれないじゃないか…… やっぱりタイミングって大事だ、倉石の奴め。 



家に入ると家全体から間宮さんの匂いがした。 鼻腔が幸せに包まれる。



「何か飲む? 暑いでしょ?」

「あ、じゃあお願いします」

「リビングのテーブルに座ってて」

「はい」



はぁ〜、ここは僕と同じく仮家なんだろうけど女の子が住んでる家ってこんな感じなのか。 僕の家なんかと違って輝いて見える。



「はい、どうぞ」



間宮さんは僕に冷たいアイスコーヒーを差し出した。



「西野君があたしの家にいるなんて不思議ね。 覗かれはしてたけど、ふふふッ」

「げほごほッ!」

「あー……」



痛い所を突かれた僕はむせてしまい間宮さんの服にコーヒーをぶちまけた。



「ご…… ごめんなさい!」

「ううん、すぐ洗濯すれば大丈夫だよ。 まったく西野君にはびっくりさせられるなぁ。 ちょっと待っててね?」



間宮さんは階段を上っていった、部屋から服を持ってくるんだろう。 僕はとりあえずテーブルに溢してしまったコーヒーを拭いた。 拭き終わると間宮さんが戻ってくる。



「あー、ごめんね。 やってくれてたんだ?」

「僕が溢しちゃったから」



新しい服に着替えた間宮さんは洗濯機に服を入れてくると……



「じゃああたしの部屋に行こっか? もう西野君には見られまくってるから新鮮味はないでしょうけど」

「あはは……」



そしてついに間宮さんの部屋に入った。 僕はそれだけで絶頂してしまいそうになり気を落ち着けるため窓の外を見る。



あー、間宮さんの部屋からだとこう見えるんだ。 



「そうだよ、あたしにはそう見えてるんだよ?」 



間宮さんが急に俺の目の前に顔を出したからビクッとした。 その瞬間僕は間宮さんの両肩を掴んでいた。



「ん?」



い、今は間宮さんの家には僕と間宮さんしか居ない…… こんなチャンス二度とないんじゃないか!? 



そうさ、間宮さんだったら何しても全部許してくれるよ。 このままベッドに押し倒してしまえば。 家の中だから逆にラッキーだ。



「西野君……」



間宮さんが片方の手で僕の手の上に手を重ねた。 その瞬間ピンポーンとインターホンの音が鳴った。



「あ…… 雫だ! ごめん西野君、ちょっと行ってくるね!」



そうだった、倉石の奴も来るんだったよ…… くそ! 黄金の時が失われてしまった。 



ん? ベッドを見ると見慣れない制服があった。 間宮さんの中学生の時のか? てか何着もある、これって全部間宮さんの?



でも1人用とは思えない数だ、おかしい、明らかにおかしい。 僕はとりあえず1着手に取り匂いを嗅いでみた。 ああ、至福……



「あんた…… 何やってんの?」

「え?」



気付けば僕のそんな様子をドン引きしながら見ている倉石と苦笑いしている間宮さんが居た。



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