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僕と間宮さんと倉石


次の日になり学校へ行くと……



「西野君おはよう、昨日はごめんね? 大丈夫だった?」



真っ先に間宮さんが僕の所へと来て昨日の事を謝ってきた。 やっぱり気にしてたんだ間宮さんも。



「ううん、間宮さんが来ればああなるって警告したのに僕の方こそ心配かけてごめん」

「あたしなんとかしたかったんだけどあそこで割り込むと佐伯君が西野君に余計なちょっかい出してきそうだったから……」



間宮さんは周りに聞こえないように囁くようにそう言った。 僕はバカだった、昨日はどうかしていた。 間宮さんがそう考えていてくれたのに僕はあの慣れない雰囲気に呑まれてしまってあんな事。



僕が飛び出して場の雰囲気を悪くして…… いや、僕の場合は大した事ないかもしれないけど倉石が出て行ったのは明らかに雰囲気を悪くしただろう、あの中では倉石って性格的に場のウケも良かっただろうから。



「よッ。 西野おはよう」

「あ…… おはよう」



倉石が次いで挨拶をしてきたのを見て間宮さんはキョトンとした。



「あれ? 雫ってそんなに西野君と仲良かったっけ?」

「別に。 ただつかさに散々西野にいい髪型選んであげてとか切ったら褒めてあげてとか言われてりゃもう慣れたものよ。 巻き込むなって言ったのにさ。 そんなんだから私もいつまでも西野を煩わしがったりとかするのやめようって思っただけだよ。 なんか変?」

「ふぅん」

「な、何よ?」

「これは昨日何かありましたなぁ」



間宮さんが倉石に詰め寄りジーッと顔を見る。



「な、何もないって! あんたの代わりに一緒に帰ってあげただけでしょ。 …… まぁ友達にはしたけどさ」

「友達…… へぇ、いいじゃんいいじゃん! あれだけ西野君に愛想悪かった雫が西野君と友達になって。 雫の友達のあたしとしても嬉しい限りだよ」

「…… はいはい、そうですね。 あ、そうだ。 西野、ん!」



倉石が僕にまた手を差し出す。 今度はなんだ?



「携帯出して?」

「え? 携帯?」

「昨日連絡先交換するの忘れた、せっかく友達になったんだからそれくらいいいでしょ?」

「あ、そうだね! 携帯出しなよ西野君」

「………… つかさ」

「うん?」

「あ、ううん。 なんでもない」



倉石に携帯を渡すと僕の携帯を操作して連絡先を交換した。 



「LINEとかも私の入ったからさ。 いいでしょ? まともに友達いないあんたに私が友達になったんだから」

「まぁ別に……」



ふと気付くと間宮さんが笑いを堪えていた。



「さっきから何よ? つかさ〜!」

「ふふッ、毒付きながらなんだかんだで西野君の髪型選んだり友達になったりいろいろしてくれる雫ってツンデレだねって思って、あははッ」

「なッ……! なわけないでしょ! あんたとこいつがそういうの疎そうだと思ったから仕方なく私がやってあげてたんでしょ!」

「あー、はいはい。 そうでしたそうでした! いろいろありがとう雫」



どうでもいいけどいい加減倉石の奴は僕の携帯返せよ……



間宮さんにガーガー言ってると倉石の持っていた僕の携帯が鳴った。



「ん? あ、西野〜、木ノ下からメッセージ来てるよ。 あんたなんだかんだでモテモテね」



木ノ下? ああ、木ノ下か…… 本当しつこいな木ノ下の奴。



「返さないの?」

「返してるといつまでも終わらないから」

「あははッ、どんだけ好かれてんだよ」

「ねー、それだけされてどうして西野君は木ノ下さんを拒むのかなぁ?」

「え?」



だってそれは…… 間宮さんじゃないから。 



「そりゃあ西野には木ノ下じゃなくて心に決めた人が居るからじゃない?」

「ふぅん、そういうあれがあるからかぁ」



僕が思ってる事を察してか倉石が暈しながら伝える。 倉石を見ると間宮さんの後ろから僕にウインクした。 別に頼んでないのに。



「あ、西野じゃん」



突然後ろから声を掛けられる。 佐伯だった……



「いやー、昨日は良かったぜ西野、お前の自己紹介大爆笑。 お前があんなギャグ持ってたなんてなぁ」

「ちょっと浩人、それマジで言ってんの? 面白くないよ?」

「なんだよ? 雫がなんで西野を庇ってんの? お前らいつの間に…… 」

「だーかーらッ! 違うっての! どいつもこいつも頭お花畑なの!? 私はああいうの嫌いって言ってるの! あんな事するなら行かない方がマシだったわ」

「冗談だって! あの後考えたんだけどさー、お詫びに西野誘ってまたみんなで集まらないかって。 どう? つかさちゃん」



何がお詫びだよ。 僕には第2ラウンドにしか聞こえないぞ?



「あたしも雫と同じ意見かなぁ。 西野君が嫌だって思う扱いするなら行く気ないよ」



すると佐伯から僕に対して敵意のような好ましくないであろう視線を感じた、間宮さんを見ると間宮さんもそんな佐伯の様子を観察しているようだった。



「はははッ、そんな事しないしない! みんな楽しくって感じでやりたいだけだよ」

「なら考えてもいいけど」

「ほんと? じゃあ是非考えててくれよな? 西野も」



そうか、これだから間宮さんは昨日はあんな感じだったんだ。 それを僕は間宮さんがわからないなんて…… 僕は修行が足りなかった、やっぱり天使だったんだ間宮さんは。



「浩人の奴ああは言っても西野にフツフツ敵意剥き出しじゃん。 つかさが西野に構い出した途端今まで眼中なかったくせにいきなりだもんね。 見苦しいったらありゃしない。 いいよ、西野になんかあるなら私がフォローするからつかさの好きにして」

「わぁ、雫ったら頼もしい! ていうかププッ」

「おい…… また私を揶揄う気だろ?」

「そんなんじゃないってー」



だから頼んでないってのに…… 倉石が僕に歩み寄った事で僕はまた調子が狂う。 友達ってこういうものなのだろうか? 僕にはよくわからない。





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