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間宮さんの過去


『急な用事が入って午後からになりそう』



木ノ下にはそうメッセージを入れておいた。 本当は間宮さんをずっと見ていたいのだが木ノ下のしつこさのせいでもうLINEを開きたくなくなるほどだったので1度ちゃんと会って僕に失望するなりなんなりでガッカリしてもう会わないようになる事を祈る。



まぁ結局髪を切りに行く事にもなったし更にキモくなるかもしれない。 なんて言ってる場合じゃない、あーだこーだしているうちにまさに今がその日なのだ。



携帯が鳴ると木ノ下からだった。 相変わらず返事が早い……



『そうなんですね、わかりました。 午後からでも大丈夫です! 待ってます』



はい、こいつとの会話はこれで終了。 



今日は間宮さんだけではなく倉石という邪魔者が来るので少し胸が騒つく。



店だけ間宮さんに教えてくれれば良かったのだが午後から会う木ノ下を見てみたいという事で一緒に行く羽目に……



見たらきっと思ってたのと違うってなってガッカリして帰るに決まってるのが目に見えてる。 間宮さんはそっくりって言っただけで詳しく話さないし。



いやいや! でもそんなに弱気になるな! 昨日の帰り間宮さんがソワソワしている僕を見掛けて一緒に帰ろうよと言ってくれた。



そして帰り道で……





◇◇◇





「西野君、明日だね! よく考えたらあたしと休みの日に会うのって初めてじゃない?」

「そ、そうだね、初めてだ」

「あたしって雫の言う通り服のセンス良くないし出掛けるのに気合いとか入れるの面倒だから家に引きこもってるのがしょっちゅうだけど西野君のためだもんね」

「僕も似たようなもんだよ。 って僕と比べたら間宮さんに失礼だけど」

「もう〜、西野君ったら! あたしと西野君失礼とかそんな間柄じゃないでしょ?」



間宮さんは肩を僕の肩に当てた。 特別な間柄…… 間宮さんと僕は。



「ねぇ、間宮さん」

「うん?」

「間宮さんも僕と同じで遠くから引っ越してきて今の高校に居るんだよね?」

「そうだけど?」

「間宮さんって中学ではどんな感じだったのかなぁって…… 」



そう聞くと間宮さんは少し考えるような仕草をとる。 あれ? 間宮さんの事だから軽快に話すと思ったんだけど。 もしかして聞いちゃいけない話題だったのかな?



「中学は…… なんかつまらなかった」

「え?」



なんか冷めた返答…… つまらなかった? 間宮さんなら中学でもさぞかしモテモテで……



「さぞかしモテモテで充実した学校ライフだった? とか思った?」

「え? な、なんでそれを?」

「顔に書いてあったよ、ふふ。 そんなんでもないよ。 あたしより可愛い子なんていっぱい居たし」



間宮さんより可愛い子がいっぱい? どんだけ顔面偏差値が高い中学校だったんだ!?



「そうなんだ……」

「まぁ別にそんな事はどうでもいいんだけどさ。 大事なのは今だし」

「今は…… どうなの?」

「中学の頃よりは楽しいよ。 なんせ西野君みたいな面白い子が居るしね! 西野君は中学の頃はどんな感じだったの?」

「僕は…… 今のこの僕を見て分かる通りだよ」

「そっか。 西野君もつまらなかったんだね。 でも大丈夫! 今の西野君にはあたしが居るんだからね。 西野君の天使をとことんやっちゃうから! 西野君にも学校とか楽しく思ってもらえるようにまずはイメチェンだね! ふふふッ」



間宮さんはクスクスで笑う。 イメチェン…… イメチェンするにしても高校入る前にやるなら意味はあるけど今更。



「それにもしかしたらあたしのドストライクな感じになったりして」

「そ、そんな事あるかな?」

「だからやってみよ? 変になってもあたしは西野君に対して何も変わらないから」



間宮さんは僕を安心させるためにそう言ってくれた。 うん、失敗しても間宮さんが変わらないで居てくれるならいいよな? どうせ僕は最初から間宮さんしか居なかったし。





◇◇◇




「あ、西野君こっちこっちー!」

「おせーよ西野、私とつかさ待たせるなんていい度胸よね」

「まぁまぁ、そんな待ってないじゃない」

「にしても…… すぐ西野ってわかるわよねぇ。 暗い黒一色と纏ってる雰囲気で」

「見つけやすくていいじゃない。 ねぇ西野君」



天使な間宮さんは無理矢理僕の事を褒めようと頑張ってないか? さすが僕の天使……



「まぁつかさも私のコーディネートそのまんまで来てるから人の事は言えないわよねぇ」

「だーかーらッ! 西野君の前でそういう事は言わなくていいんだって! ほら、さっさと行くよ!」

「あはは、そんなに怒んなくてもつかさなら多少ダサくても顔が可愛いからカバー出来てるわよ。 西野は…… うん、どうだろう……」



やる前からそんな不吉な事言うなよ、失敗前提としか思わなくなるから……



これでおかしかったら学校で更に変な目で見られて…… ああ、でもそっちの方が間宮さんに助けてもらったり構ってもらえたりするのかな? 



倉石にしばらくついていくとお洒落だろうと思われる美容室で立ち止まる。 こんな所に僕が来る事になるなんて。 



「ほら、ここよ。 西野と一緒かぁ…… なんか恥ずかしい」

「西野君! これから一大イベントがあるんだし頑張ろうね!」



な、何の事でしょう? 間宮さん……




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