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間宮さんの提案


間宮さんと一緒に教室に戻ると倉石が間宮さんに話し掛けてきた。



「あんたらなんで一緒なわけ?」

「ええと…… ちょっと偶然西野君と会っちゃってさ、西野君の事もあるし西野君にも付き合ってもらっちゃったの」

「はぁ? こいつを? 居てもなんにも役に立たなそうだけど…… ってそうじゃなかった。 あんた一体何したのよ? 加奈江は帰っちゃうし涼太の奴顔に怪我してるわで。 涼太聞かれても誤魔化すしさ、まさか…… つかさ」

「やだなぁ、そんなわけないじゃん! それの真相教えてあげるよ、廊下に出て?」



間宮さんは倉石の腕を掴んで廊下に出た。 そしてついでに僕も連れて……



「で、どういう事?」

「謝りに行ったらさ、2人もあの時の事反省してたみたいでね、涼太君なんかいきなり俺を殴れって言ってきたのよ」

「へ? はぁ?」



間宮さん…… 平気な顔で口から出まかせを。 でも事を大きくせずに穏便に済ませるためには1番いいのかもしれない。 そして僕のためかもしれない、間宮さんはそれを考慮してそんな嘘を。



「加奈江と涼太君の事見直しちゃった!」

「……で? それで殴ったわけ?」

「殴ってくれなきゃ気が済まないって涼太君せがむからさ、仕方なくね。 でもあたしには殴らせられないって西野君が代わりに殴ってくれたの」

「こいつが? うーん、本当?」



疑うように僕を見る倉石…… 間宮さん、それってかなり無理があるんじゃ? 僕そんなキャラじゃないし盛りすぎだよ。



あ、でも間宮さんの事だから僕の事を考えてなんだろうか?



「本当だよ、西野君はこう見えてもやる時にはしっかりやる子なんだよ?」

「つかさがそう言うなら…… 」



え? そんなんで通るの? 信じちゃうの? 間宮さんが言うと妙にすんなりだ……



「ふふッ、良かったね西野君」

「え? ああ、はい……」

「それと、そうとわかったんなら西野君に対する態度変えなよ雫。 雫だって西野君にキモいキモいって連発してたんだから」

「ええ、怒られてんの? 私…… んもう、わかったわよ。 ごめんね西野」



渋々と倉石は僕に頭を下げた。 



「なーんか嫌々に感じるけど」

「いやいや、つかさはそう言うけど慣れないと私にはレベル高過ぎてちょっと……」



なんのレベルが高過ぎなんだろうか? いや、察しはつくけど。



「うーん…… まぁいっか」

「私つかさとは趣味違うし…… てかつかさってこういうのがタイプなの?」

「え?」



倉石にそう言われた間宮さんは僕を食い入るようにジーッと見つめる。 は、恥ずかしい、そんな近くで……



「そうでもないかも」



ええ!? そうでもないの? いや、わかってるけど、間宮さんは一時の気の迷いみたいな恋とかそんな単純なもので僕に構っているわけではないだろうし間宮さんの100%の善意でこうなっているので外見はどうでもいいはずなんだけど間宮さんに面と向かって言われると傷付く。



「つかさ…… なんか西野いつにも増して負のオーラ出してるけどあんたのせいじゃない? ここまでしといて酷い事あんたが言ってどうするのよ」

「へ? あたしそういうつもりじゃ…… まぁでも、うん! そうだ、こうしよう!」



間宮さんは何か思い付いたようで手をパン! と合わせる。



「ビックリした、何よいきなり?」



間宮さんは僕に手を伸ばして頬を撫でる。



「ちょッ!? つかさ何してんのこんな所で?」

「んー西野君、髪切ろうか?」

「「え!?」」



間宮さんは僕の頬から僕の髪をひとつまみ掴んでクルクルと指に巻きそう言った。



か、髪を切るだって!? そんな事したら顔と目線がよく見えちゃうじゃないか! それに今更恥ずかしいし……



「モッサリしてるからなんか微妙な感じになっちゃうんだよ、思い切って短くしよう!」

「西野の素顔ねぇ…… ハッキリしても西野だしなぁ」

「こら! やる前からそんなネガティブな事言わないの! 本当にそうだったとしたら西野君が可哀想でしょ?」

「あんた…… 何気に酷い事言ってるよね」



ま、間宮さんは何を言ってるんだ? 僕をどうしたいんだ?!



「安心して西野君、仮に失敗してもあたしは別になんとも思わないよ」



間宮さんは優しく僕にそう言った。 



そうだった、間宮さんは僕の外見なんかどうだっていいんだ、僕が僕である事が重要なんだ! でも髪を切るのは……



「なんとも思わないって……」

「ん?」

「あ、いや、なんでもないわ」

「じゃあ雫、今週の休みにどっかいい感じの美容室に連れてこうよ」

「あー、はいはい。 どうせ私に頼ると思った」

「うふふッ、ありがとう雫! そっち関係はあたしがどうこうするより雫がコーディネートした方がいいに決まってるもんね!」



こ、これは断れない流れ…… でも髪を切るのはやっぱり恥ずかしい。



「うん? 西野君週末都合悪い?」

「あ…… ええと、思い出したんだけど週末木ノ下と会う約束があって」

「木ノ下? ああ、木ノ下さん!」

「誰よそれ?」

「えーとねぇ、西野君の意中の人かな!」

「ええ!? 西野の?」

「あ、逆かなぁ? 西野君の事が好きな人かな?」

「マジで? 西野に? どんな子?」

「あたしにめちゃくちゃそっくりな子」

「はぁ!? 信じらんない…… つかさにそっくりって超可愛いって事よね?」



いや、どっちかって言うと間宮さんをとことんこれでもかってくらい落ちぶらせたような感じなんですけど。



「てかあんたみたいな顔の子ってゲテモノ趣味なんだね」

「むぅーッ! そんな事ない!」



いや、週末の話は?



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