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聖杯伝説


僕は今彼女を尾行している。 見つからないように少し後ろから……



どこに行くんだろう? なんて帰るに決まってるじゃないか、浮かれすぎだろ僕……



すると間宮さんは帰ると思いきやコンビニへ立ち寄った。 何を買うのかな? 流石に中に入ったらバレるので少し離れた所で待機。



あ、出て来た。 コンビニ袋を手からぶら下げていた、そのまままた歩き出したので僕もまた再度後をつける。



間宮さんは歩きながらコンビニ袋から何やら取り出す。 紙パックのジュースのようだ。



そして歩いている途中で公園があったので間宮さんはそこへ立ち寄り飲み終わったジュースをゴミ箱に捨てた。



こ、これは…… あそこのゴミ箱に間宮さんが飲んだジュースが!



僕は間宮さんが行ったのを確認してすぐさま公園のゴミ箱を覗く。 



あ、あった! 間宮さんが口を付けた、いや…… 間宮さんの体液が付いておられるこの神々しい紙パック!! これは聖遺物だ! 間宮さんは生きてるけど……



てかどうする!? 違う! そうじゃないだろ! 興奮し過ぎて周りを確認なんてしていなかった。 キョロキョロと周囲を確認する。 よし、セーフだ。



く、口を付けるか!? こ、この僕が女の子と…… しかも美女と間接キス。



だ、ダメだダメだ! 超えちゃならない一線ってものがある、彼女は天使なんだ女神なんだ聖人なんだ! 



そんな彼女を尾行してゴミ箱を漁って尚且つ間接キス? それはいけない、それこそ変態だ。



だが………… これは家宝だ、この紙パックは僕の宝物だ。 神棚に飾りたいくらいだ。 なんら変哲もない紅茶がルルドの泉より溢れ出る聖水に見えるようだ、素晴らしい。(中身はないけど)



とりあえずこれは僕が保管しておかなければならない。 清掃員に間宮さんの捨てた聖遺物とその他ゴミと混ぜられるなんて間宮さんを冒涜されているのと一緒だ。 



ふふふふ…… 間宮さん、これで僕達ある意味一心同体だよ。 君の体液を僕は今持っているんだ、これほどの優越感はいまだかつてない。



誰も持っていない僕だけの間宮さん。 おっといけない、想いに耽っている場合じゃない。 間宮さんを追わなければ!



僕の思考が目紛しいくらい回っていたが公園から今の心の葛藤と興奮、わずか公園から紙パックを拾って1分弱、まだ近くにいるはず!



角を適当に抜けると居た! だが間宮さんを見つけた瞬間に間宮さんはまた道を曲がる。



ん? ん? もしかしてあれが間宮さんの家!? てことは思ったより大分近い。 あそこの二階の窓ってもしかして間宮さんの部屋だったりするのかな?



こんな近くに間宮さんが居たなんて僕の家とそんなに距離がないじゃないか。 僕は閃いた、あそこがもし間宮さんの部屋なら……



僕は急いで家路につく。 胸がドキドキワクワクした、こんなに心震える出来事がこの高校生活にあるなんて。



家に着き部屋に行くと僕は星を眺めるために親に買ってもらった望遠鏡を窓へと向けた。 そう、間宮さんの家の方角に向けて。



えーとこれくらいかな? セットしてレンズを覗く。 間宮さんの部屋であろうと勝手に予想した場所は僕の狙い通りやはり間宮さんの部屋だった。



居た居た、あの間宮さんだ。 カーテンもしてないなんて不用心じゃないか間宮さん、でもそんな少し抜けている貴女も可愛らしい。



ほんの少し過ぎたけど出逢いの春…… 僕は貴女に出逢えて光栄だよ。 



バッチリ見えてるよ間宮さん、角度的に見える所しか見えないけど貴女の部屋は貴女を写すかのようにとても神聖な場所だ。



ベッドらしき物と机が見える。 間宮さんはベッドに腰掛けている、首元で手をゴソゴソとしている。 も、もしやこれは着替えるのでは!?



僕はパッとレンズから目を離した。 



これもダメだ! 僕如き浅ましい底辺の人間が間宮さんの着替える姿を覗くなんて間宮さんの価値が下がる、やめるんだ、でも見たい、間宮さんだぞ? でもダメだ、間宮さんだから尚更ダメだ!



なんて事だ、僕の部屋から間宮さんの私生活を覗けるという一生で一番というくらい幸せな事が起きているのにこれ以上贅沢をしたら後で絶対に罰が当たる。



何より女の子の着替えを覗くなんて犯罪的な行為は人道的に許せない。 間宮さんなら特にだ!



やめよう。 神々しき間宮さんの着替えなんて見たら幸せ過ぎて失明しかねない。 ここは我慢だ僕……



そして幸せだが拷問のような時間を僕は今頃間宮さんは服を脱いであれこれしてなんて妄想を繰り広げていた。 だが……



20分くらい経ったろうか? もう流石に着替えたよな?



恐る恐る僕は望遠鏡を覗く。 



部屋着に着替え終わったようだ。 間宮さんはどんな服を着ても美しい。 



ふと紙パックの事を思い出して鞄から取り出し窓際に置いた。 



今日は素晴らしい日だった。 間宮さんとの出逢い、そして間宮さんの体液、間宮さんの家を知った、そしていつでも間宮さんを見れる。 こんなに幸せで僕はいいんだろうか?




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