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間宮さんと下校デート?


「じゃあ今日こそ練習しようか?」

「…… 本当にするの?」

「え? したくないの西野君は? あたしと」

「したい…… 」

「じゃあ決まり! どこでする? 体育館? 校庭?」



目立つ…… あまりにも目立つ。 間宮さんは気にしないのだろうか? いや、間宮さんは僕と居て恥ずかしいとかそういう事は思わないんだろう、だったら教室でもあんなに目立つ事はしなかったはずだし。



「じゃあ…… あそこの公園で」

「ん? あー、いいよ。 あそこ好きなんだね西野君は。 ふふッ」



目立たなそうだから。 あそこなら誰も会わないと思うし他の奴らからも間宮さんと居てヘイトを買う事はない。



間宮さんと公園へと向かっていると僕の携帯が鳴る。 画面を開くと……



『どうですか? 気になる人と仲直り出来ました?』



木ノ下からだった。 こんな時に…… すると横から視線を感じた、間宮さんだ。



「ふぅん、木ノ下歩美…… 女の子だね? ふふーん、西野君も隅に置けないなぁ」

「こ、これはそんなんじゃなくて…… ま、間宮さんとどう話したり接したりしたらいいかの相談役みたいなもので」

「にしし。 何慌ててるの西野君? そんなつもりじゃなかったのにその反応。 怪しいなぁ」



し、しまったぁー! 僕は木ノ下の事なんてなんとも思ってないのに間宮さんは変な勘違いをしているんじゃ!?



んん?! そんなつもりじゃないのに? それって僕の事は別にどうだっていいって事か? それはそれで凹む、いやいや、ていうより間宮さんはそもそも僕の事どう思っているんだ?



こ、こんなにしてくれるんだから勿論間宮さんだって僕の事…… 僕の事……



ふと道路のカーブミラーが目に入る。 そこに僕と間宮さんの姿が映し出されたと同時に蘇る言葉。



「釣り合ってないよ」 間宮さんの友達が僕と間宮さんを見て言った言葉だ。



確かに…… そう思うのは嫌なんだが確かに釣り合ってない。 天使のような見た目の間宮さんとネガティブというものを具現化したような僕の見た目。



僕が現実というものを感じて少し落ち込んでいると……



「どうしたの? 急にしゅんとしちゃって」

「どうしたもこうしたも…… 僕ってもとからそんな感じじゃ?」

「ぷぷッ! 何それウケる! っていけないいけない。 それはそうだけどだんだんあたしとそんなにどもらないで話出来るようになってきたじゃん?」

「…… あ、そう言われると」



本当だ。 最初はまともに喋れもしないでいたのに。 やっぱり間宮さんは僕を導いてくれる天使なのかも。



「ほら、前に言ったじゃん? 西野君が変われば周りも変わっていくよって」

「うん……」

「あたしが言うんだから間違いなし! それに西野君にとってあたしは何でしただけ?」

「…… 天使です」

「ぷッ…… くく…… はい、天使です! 一肌脱いじゃおうか! なぁんてね」



な、なんて優しいんだ間宮さんは…… 前から他の奴らとは違うと思ってたけどやっぱり違う。



決めた。 今日帰ったら間宮さんが口を付けたジュースのストローに僕も口を付けよう。 更にお近付きになった記念として。



木ノ下のメッセージで思い出したが聞きたい事とか聞けばいいとか言ってたよな。 僕が少し気になったのは……



「間宮さん」

「なぁに?」

「今日佐伯が言ってた溜まり場に間宮さんも行った事あるんだよね?」

「うん、そうだね」

「それって……」

「ん? まぁお喋りしてなんか食べてみたいな感じかな? 佐伯君達の友達ってパリピ気質な感じだったから西野君にはちょっと辛いかなって思ったんだけど。 あたしも一回だけ行って面倒だったから行ってないんだ」

「そうなんだ……」



間宮さんの言う通りそんな所には行けないな。 コミュ力もない奴がそんなパリピ集団のもとへのこのこと行けば間宮さんが言ってた通り僕は吊し上げにされそうだ。



「でも意外と西野君って女の子とやり取りしてるみたいだしもしかしてその事で盛り上がったかもね」

「い、いや、それは違うんだよ。 まったくそういうのじゃなくて」

「てか返事返さなくていいの? その子待ってるんじゃない?」

「あ…… 後でで大丈夫!」

「へぇ〜」



その時一瞬間宮さんは冷ややかな表情をしたように見えた。 けどニッコリ微笑んで「着いたね!」 と公園を指差し言ったので気のせいだよな?



「じゃあ早速練習始めちゃおうか? 脚縛るからね?」



そう言って間宮さんは紐を取り出した。 



え? なんでそんなに準備いいの? もしかして今日始めからこうする気だったんだろうか?



「んしょっと…… これでよし!」



ぴったりと間宮さんと足首が繋がれてしまった。 そして自然と密着状態になり間宮さんが二人三脚の要領で僕の肩に手を回す。



「ほら、西野君もあたしの肩に手回して?」

「い、いいの?」

「じゃなきゃ練習にならないでしょうが。 早く!」

「はい……」



言われるがまま間宮さんの肩に手を回す。 



な…… や、柔らかいしなんて華奢なんだ。 ひ弱な僕でも力一杯掴んだら砕けてしまいそうだ。 あの天使の間宮さんに僕は今触れているだけじゃなく密着している。



これはシャンプーの香りだろうか? なんていい匂い……



「それじゃあ歩くよ? いい?」

「え? あっ!」

「ふえ? きゃあッ!」



間宮さんが一歩僕より早く足を踏み出したのでバランスを崩して間宮さんがつんのめり地面に転び僕も勢いに負けて膝を着く。



「いたーい! モロに顔面から地面に激突…… 」

「ご、ごめん間宮さん」

「これはもっと早くに練習しておくべきだっかもね」

「そうだね……」



僕は間宮さんとくっついているせいでまったく練習に身が入らないかもしれない……







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