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間宮さんがついてる


そして公園での事を境に間宮さんは普段より僕に絡むようになっていた。



「あ、おはよう西野君!」

「お…… おはよう」



教室がシーンと静まり返る。 間宮さんの声があまりにも大きかったからとその声を掛けた相手が僕だから。



「ね、ねぇ、つかさ……」

「ん?」



間宮さんの友達が困ったように間宮さんの肩を揺する。 そしてヒソヒソと声が聞こえてくる。



「なんであんな奴に?」

「うそー、ちょっと仲良いのかなって思ってたけど……」

「ゲテモノ好きなのかな?」



などなど皆反応は冷ややかだ……



「やめといた方がいいって、つかさ! 話し掛ける相手考えなよ?」

「ちゃんと考えてるよ?」

「はぁ? あんたと西野って全然釣り合ってないよ?」

「そんな事ないって。 ねぇ? 西野君」



間宮さんは友達に見せ付けるように僕に寄ってきた。 間宮さんの友達は疑いの目線を僕に送る。 どう見ても悪目立ちしてしまっている…… でも間宮さん、あんな事があっても僕にこれだけ仲良く接していてくれてる。 やはり間宮さんは僕の救世主だ。



「あたしと西野君がそれでいいならいいじゃない? そうだよね?」

「…… う、うん」



そうして授業が始まって何時間目か過ぎた頃……



「やぁ、西野」

「……?」



僕の目の前に立っていたのはクラスでも目立っている佐伯さえき 浩人ひろとが居た。



クラスカーストで言えば最上部に居るような奴だ。 そんな奴がなんで僕の所に?



「いやぁ、驚いたよ。 西野っていつも1人って印象だったのにつかさちゃんとあんなに仲良いんだもんな」



僕の間宮さんを馴れ馴れしくつかさちゃん呼ばわり…… こいついくらモテるからって調子乗り過ぎてないか? 



「………」

「あははッ、参ったなぁ。 やっぱり西野は西野らしいな!」



何がおかしいんだよ? こんなのが僕らしいって? 間宮さんに面白いって言われるのは嬉しいけどこいつは馬鹿にしているのが明らかなので腹が立つ。



だが僕は何も出来ないけど。 なんか言ったりしても上手く言えないだろうしキモいって思われて本格的にいじめられるかもしれない。



「ごめんよ、ただ西野がどうやってつかさちゃんと仲良くなったのか気になってさ。 どんなマジック使ったんだ? それとも何かつかさちゃんの弱みでも握ったりしたのかい?」



弱み…… 弱みなら逆に握られているかもしれないけど間宮さんはそんなお人じゃない。



「なぁ、どうなんだよ?」

「どうもこうもないよ」

「うん?」

「ちょっと! つかさ!」



気付けば間宮さんが話に割り込んできた。



「なぁに? コソコソあたしの事話してたの?」

「つかさちゃんが西野と仲良いみたいだからさ、俺も話してみようと思ってね。 西野って前からよくわかんない奴だったじゃん? だからこれを機にって思ったんだよ」

「ふぅーん、本当?」



間宮さんが目を細めて佐伯を見ると佐伯は頭をポリポリと掻いて笑顔で返す。



「でさ、俺らが溜まり場にしてる所あるじゃん? もし機会があったら西野も来させてみようかなって」

「あー、あそこ…… 別にいいよ、そんなんしなくても。 西野君のキャラじゃ吊し上げにされて西野君嫌な思いしかしないと思うし」

「うわぁ、つかさちゃん酷ぇな。 てか西野の事庇い過ぎじゃね?」

「あははッ、別に庇ってないよ。 あたしは西野君はそういうの向いてなさそうって言ってるだけだよ。 あ、ていうか西野君、二人三脚明日だね? まともな練習結局出来なかったけど…… 今日練習してみようか?」

「「「え?」」」



俺と間宮さんの友達と佐伯の声が3人同時に重なる。



二人三脚…… そういえばそんなのあった、忘れてた。



「あー、忘れてたって顔してる」

「そぉいやつかさちゃんと西野ってコンビだったよな……」

「本当に西野で大丈夫なの? 変な事されたらちゃんと言いなよ?」

「ないないって。 西野君がそんな事するはずないでしょ?」



間宮さんはそう言い俺を指差し2人は俺を怪訝な眼差しで見る。



僕ってそんなに変な事しそうな奴に見えるのか? 



「ね? そんな風には見えないでしょ?」

「お、おう…… そうかな?」

「んー……」



歯切れ悪く2人が言うと間宮さんは僕にだけ見えるように舌を出して微笑んだ。



そして2人が俺の席から離れると間宮さんは僕の横に来て……



「西野君、あたしがフォローしてあげるから安心してね」

「へ?」



フッと僕の首筋に間宮さんの息が当たる。 



僕は温かい間宮さんの息が掛かった首筋を手で押さえて離れていく間宮さんをボーッと見守った。





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