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間宮さんと公園で……


『今日8時に例の公園に来てね』



間宮さんに僕の事がバレた日の夜に連絡が来た。 



ええ!? こんな夜に? いいの? 



間宮さんは一体何を考えてるんだ? ああ、でもこれってまだ嫌われてないのかな? 僕がやってきた事を差し引いても間宮さんは僕の事を…… やっぱり間宮さんは天使だ。



お、女の子に呼び出された。 人生初だ、しかも夜に。 何を持っていけばいいんだろう!? てか何をすればいいんだろう? 



ハッ!! こんな僕だが相談に乗ってくれそうな相手が1人だけ居た。 僕は木ノ下にメッセージを送った。



『え? 女の子と何を話せばいいですか? どういう事なんでしょう?』



なんだよ、質問を質問で返すなよ! 使えない女だな…… でもこいつしかいないし。



『例えば好きな子と話す時とかどんな話題とかどんな事したら喜ぶと思う?』

『あたしに聞いちゃうんですかそれ?』



あー、面倒くさい。 



『んー、あたしにも経験ないんでよくわからないんです。 だけど普通に気になってる事とか何気ない事でもなんでも話してくれたり、したい事してくれたりなんかしてくれたら嬉しいですかね。 多分ですけど』



うん、まぁなんかこんな感じで返ってくると思ったけどやっぱりか。 



『それよりあたし今週末空いているのでどこかお食事でも行きませんか? 奢っちゃいます!』

『考えとくよ』

『本当ですか!? ありがとうございます、ようやくこの間のお礼が出来そうで嬉しいです!』



もうどうでもいい話題になったので木ノ下とのやり取りはスルー決定だ。



7時を過ぎたあたりで僕は懲りずに間宮さんの部屋を覗いてみる。 僕に覗かれてるのわかってるのにいまだにカーテンも閉めずにいる。



それどころか僕に見られてるのだろうと思っているのか間宮さんは窓側を向いて読書をしていた。



そして8時15分前になると間宮さんは僕の方を向いたのでビックリした。 そして口をパクパクと動かした。 「もう行くよ」と言っているのだろうか? 



何にしても見透かされているみたいだ…… こうなったら間宮さんの真意を確かめてやる!



僕も家を出て間宮さんの家の近くの公園へと向かう。 間宮さんとこういう風に呼び出されて会うのは初めてなので緊張すると同時に胸が高鳴る。 僕のしていた事がバレた件についてを除いては。



公園に着くと間宮さんはブランコに腰掛けていた。



「あ、西野君こんばんは」

「間宮さん…… こんばんは」

「こんな時間に呼び出しちゃってごめんね?」

「…… ううん」

「今日もあたしの事見てた? みてたでしょ?」



間宮さんは僕の表情を伺いながら聞いてきた。 きっと僕の反応を見ているんだろう。



「見てない…… よ」

「うっそだぁ! あたしの事ずっと見てたり尾行したりしてた西野君が見てないわけないよね? 嘘つくならみんなに言っちゃおうかなぁ」

「そ、それは……」

「そんなんだからみんなにキモいって言われるんだよ? あたしくらいな物好きにしか相手にされないんだよ? わかる?」



こ、こんな辛辣な言葉が間宮さんの口から出てくるなんて…… 最早間宮さんは僕に優しくしてくれないのか? ここに来るまで少し期待していた僕はとても落ち込んでしまった。



「ねぇ、天使だと思ってたあたしにこんな事言われて今どんな気分? ねぇ」



ブランコから立ち上がり下を向いている僕を覗き込むように顔を近付ける。



僕にはもう救いはないのか。 こうなったら……



僕は素早く間宮さんの手を掴んで手錠を掛けた。 繋いだ先は僕の腕。



「ん? あれれ? 何これ? わッ!」



間宮さんを押し倒して口を手で塞いだ。 間宮さんは目を大きく開いて少し驚いているようだった。



もうどうにでもなれ、ここで間宮さんをめちゃくちゃにしてやる! 



「んッ、んーッ!」



間宮さんが頭と体を動かして抵抗するが僕だって腐っても男なので間宮さんに力負けする事はない。 と油断していたら口を塞いでいた手を思い切りガブッと齧られた。



「いッ!!」



思わず痛くて手を離し噛まれた手を押さえる。



「もう〜!! いきなり何するのよ!?」



間宮さんは体を起こして今度は僕を押し倒した、僕の両腕を掴み覆いかぶさるように。



「だ、だって…… 間宮さんはもう…… だったら」

「あたしは西野君の天使なんでしょ? さっきのは西野君が嘘付いたし今まで勝手にあたしのプライバシーを覗いていた仕返しみたいなもんだよ。 気にしないで?」

「え? へ?」

「こんなのまで用意してくるなんてねぇ」



間宮さんは手錠を見つめてそう言った。



「ていうか今あたしに何するつもりだったのかな? めちゃくちゃにでもしてやろうと思った? そして心中とか?」

「………… 」

「えー? 本当に? 飛ばし過ぎだよ西野君は、冗談通じないんだから! でも安心して。 あたしは西野君に対する気持ちは別に今までと変わってないよ? なんかやる事めちゃくちゃで面白いし、それに……」



間宮さんは少し顔を赤らめた……



「こんな事されたの…… 初めてだし」

「え?」

「いいんだよ? 別に今まで通りして。 あたしが許可するよ、見たいんでしょ?」



間宮さんの妖艶な眼差しに僕はコクリと頷いた。



「ふふッ、それでいいよ。 だってあたしは西野君の天使なんだもんね」



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