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おさげの女の子


間宮さんが指差す公園…… よく知ってるよ。 間宮さんはここに結構寄ってるからな。



そう、あのどこぞの男ともここへ寄っていた。 あの後僕が帰って何もなかったにしても何をしてたんだろう? 



考えているとフツフツと憎悪が沸いてくる。 僕の天使に無断で狼藉を働くとか許せない。 間宮さんも間宮さんだ、こんなに想っている僕を差し置いて違う男なんかと……



おっといけない。 間宮さんは誰に対してでも分け隔てないんだ、そういう優しい心を持っているから僕ともこうしている。



「ねぇ西野君、難しい顔してるけどたかが学校の行事なんだし気楽にやればいいんだよ?」

「え? ああ、そ、そうだね」

「んふふッ、せっかく練習しようって思ってる西野君にはそうはいかないのかな?」

「…… 間宮さんは僕と組むだけでも恥ずかしい思いしてるのにこれ以上その……」

「あははッ、気にしなくていいよ。 てかそんなに言われると逆に意識してって聞こえますけど?」

「え!?」



な、なるほど、そういう考え方も…… っていかんいかん! 身の程を考えろ、僕は間宮さんに気にされるのは心地良いけど間宮さんにそういう風に思われると間宮さんに嫌われてしまうかもしれないだろが! ん? よくわかんないぞ? とにかく思い上がってると思われるのは良くない、僕は底辺の人間なんだ。



間宮さんと一緒に居るからとはいえ、こんな僕だ、変な期待はするな…… 思い切った事してパーにするな、さっきもなんだ!? 抑え込もうなんてぶち壊しじゃないか? 



せっかく間宮さんはこんなに僕に優しくしてくれてるんだ! だけどどうする? こんなに気持ちが猛っている、これをどう収める?



「ハァハァ……」

「あのー、西野君? なんか動悸が激しいけど大丈夫?」

「ご、ごめん……」

「え?」



僕が取った行動は……



なんとその場からダッシュで立ち去る事だった。 



ダメだ! 何するのかわからない状態で間宮さんとくっついてしまったらきっと暴走してしまう、そのまま間宮さんをめちゃくちゃにしてしまいそうな自分を抑えるため、ここは離れるしかなかった。



「西野くーん!!」



後ろから間宮さんは叫んでいるが今はダメだ。



家に帰り僕はベッドに倒れ込んだ。 しばらくして僕は間宮さんの部屋を覗くためにレンズに目をやる。



帰ってきている、間宮さんは机に座って勉強しているようだ。 そして覗いていると間宮さんは勉強が終わったのか窓をガラッと開けたので少しビックリする。



まさかこちらに気付いて!? と思ったが間宮さんは明後日の方を向いて携帯を弄り出した。 



なんだ気分転換か。 すると僕にメールが届く。



『遅くなっちゃったね、帰ってきてから少しやる事あってさ、それで? 何か用かな?』



ううむ…… メール欲しいとは言ったけど間宮さんは僕以外の男とこうしてメールしてるなんて少しじゃなくてかなりジェラシーだ。



『何してたんだい? もしかして友達と遊んでたり?』



こう返してみた。 それで間宮さんが全く違う事を言ってきたら僕は少し間宮さんに失望してしまうだろう、こんな事している僕が言うのも変だが。



『前言ってた面白い子と今日一緒に帰ったんだ、でもその子途中で帰っちゃって。 何か気に触る事でも言っちゃったかな?って』



だが間宮さんは正直にそう答えた。 良かった、やっぱり間宮さんは誠実だ。



『そうか、よくわからないけど緊張してたんじゃないかな?』

『緊張? ふぅん、そうなのかな?』



ああ、心臓バクバクだったよ。 間宮さんと居ると冷静でいられなくなる。 あまりにも近付き過ぎるのは気を付けないと……




次の日は休みの日で僕は今日一日間宮さんを覗くために長期戦の構えを取るために朝起きてコンビニに向かい部屋に引き籠る準備をする。



間宮さんは休みの日は家にずっと居る事が多いようだ。 それは返って僕の心を安心させた。 友達も結構居る間宮さんだが遊ぶ事はあまりなく部屋で勉強している事が多い。



間宮さんくらいなら結構友達と遊んでいても不思議じゃないけど男と遊ぶのは勘弁だから。



そしてコンビニへ行き買い物を済ませて家に向かう途中間宮さんの家でも覗きに行こうとした時通りから出て来た女の子とぶつかってしまった。



「うわわッ、す、すいません」



僕にぶつかってきた女の子は頭を下げて謝ってきた。



なんだこの子? その子は分厚い黒縁眼鏡に黒髪のおさげでいかにもという感じの地味な女の子だった。 なんとなく僕と同じ底辺のような雰囲気を醸し出している。



「こっちこそごめん。 大丈夫?」



似たようななんの魅力も感じないような女の子に僕は間宮さんの時とは違い冷静に冷めた態度を取る。 



ああ、僕もみんなからこんな風に見られているんだろうなと思うとこの子に若干同情みたいな感情を抱くより煩わしいという感覚になる。



「あたしは大丈夫です、本当にすみません…… って、ああ!」

「え?」



その子は声を上げて僕の買い物袋を見ると買ったパンやらが潰れていた。



ああ、やってくれたなこの子……



泣き黒子があるその子は目に涙を溜めていた。 早く帰りたい僕はもういいやと思い帰ろうとしたが止められた。



「べ、弁償します!」

「え? いいよ別に。 それじゃ」

「待って下さい! あたしの気が済みません、だから弁償します!」

「…………」



なんか勢いに負けてまたコンビニへと戻る羽目になってしまった。

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