親友よ 1
すいません、遅れました。
ウォンウォンウォン 換気扇の回る音が聞こえる。
ガシャンッガシャンッ 金属どうしがぶつかる音が聞こえる。
フーッフーッ 誰かの苦しそうな息づかいが聞こえ、あっ、これ俺のだわ。
現在自分、鈴峰 優哉は口に布を突っ込まれ、手足は鎖で繋がれ上半身を裸に剥かれ、どこか分からない薄暗い場所に監禁されている。
「ふぁふぇは!はふへへふへー!!」
この声がここへと連れてきた犯人以外届かないとは分かっているのだが、定番のネタみたいなヤツだ。言っておかないといけない気がするのだ。
ついでに今なんと言ったのか分からない人へ、
「だれか!たすけてください!!」
と、言いました。なんて考えていたら、
『ふんっ無駄だよ、君がどれだけ叫ぼうと、君の声は誰にも届かない』
誰かが奥にある部屋から定番ネタに付き合ってくれた。
しかもボイスチェンジャー付きだ。
コツコツ奥から近づいてくる足音。小さい音だが換気扇の回る音も響くんだから、足音もイヤに部屋でこだまする。
「はへは!(誰だ!)」
※ここからは訳しもいれていきます。
『やぁ、鈴峰くん。僕だよ牧島だよ」
奥の闇から現れたのはニタニタと不気味に歪んだ笑顔を作りながら牧島 華芦が一ボイスチェンジャーを切りながら歩一歩と近づいてくる。
なんとなく分かっていたのでどう反応したものかと迷っていると牧島先輩は俺の前へと立つ。
「いやいや、そこは反抗してきてほしいのだが、まぁいいっや!それより苦しかろ?今口の布はずしてやっよ!」
と、布を取ってくれる。
いやならなぜつけた、テロップまで出したんだぞなどと考えるも、期待する答えが何となく返ってこない感じがすんので開いていた口を閉じる。
そして胸にたまる何かをため息とともに吐く。
「はぁ~それで牧島先輩、これは一体何のjoke何ですか?ここは一体どこなんですか?」
噛んでしまった、ジョークを発音よく言ってしまった。
「お、おおなんや?結構発音いいじゃん・・・・んん!じゃなくてだね、これはjokeでも何でもなく当分君を監禁させてもらうんよ!」
ビシッ!と音が出そうな勢いで俺に向かって指を指す。
何気に合わせてくれてるんだけど、恥ずかしいからやめてほしいんだけど!
いや、今はそんなことではなくてだな・・・・
「ちょっと!監禁って、それは流石に冗談じゃすまないですよ!」
そんな俺の慌て言ったことを聞くや牧島先輩は、ウザいくらいに似ているアメリカ人のやれやれのポーズをしながら、深く息を吐く。
相手はいちを先輩なので口には出さなかったが、物凄い苛つく。
「やれやれ、さっきも言ったじゃあーないか、これはjokeではなかよ、本気も本気、大本気だよ」
大本気ってなんだよ。
「君は、鈴峰くっんは~、知ってはいけないことを知ってしまったかもしれんやろ~、だーかーらー、すこーし尋問するけども恨まんとってね?てへっ」
てへって、てへってなんだよ。
「じ、尋問!?いやちょっとまってくらひゃ・・・・待ってください!」
かんだ、今度は普通に噛んだ。
だが今はそれどころではない。
目の前では牧島さんが一つのロッカーを奥から持ってきて、中を開く、中には電動ノコギリや釘に金槌、一般男性の膝たけくらいの台を二つに何本かの木材を取り出す。
何をするのかと顔を青くしながら牧島先輩を見ている。
数秒がすぎ牧島先輩は取り出した木材を二つの台の上にのせ、手に電動ノコギリを取り、そして目を閉じる。
まさか、
「ま、牧島先輩!まさかそれで俺を拷問するんじゃあ・・・・」
「ちょいやかましい」
「・・・・」
怒られてしまった。わけがわからん。
数分がたち(時計が無いから実際にどれくらいたったかはわからない)牧島先輩が閉じていた目をカッ!と開く。
ヤバイ!ついに拷問される!
牧島先輩は電動ノコギリを高く持ち上げ、
勢いよく下ろす。
ヴゥイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィッ!!!!
「うわあああああああっ!!!」
*
*
*
「・・・・」
ヴゥイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
「・・・・」
「えっと~・・・・ああ、そうそう・・・・」
ヴゥイイイイイイイイイイイイイイイ!
カンカンッカン!カンカンッカン!カンッ!
「・・・・」
もう一時間はたつだろうか。
自分鈴峰 優哉は今どこかの地下で鎖に繋がれています。
自分では分からないのですが何やら知ってはいけないことを知ってしまったらしく、自分をここへと連れてきた犯人(綾瀬さんと牧島先輩と宮舞先生)により監禁されることになりました。
で、混乱している自分に牧島先輩だけが現れ、共にロッカーを。
そのロッカーに入れられていたのは何と色々な道具。
自分の一瞬で思い当たった予想では自分が知っているであろう情報を聞き出すために拷問されるのさ、口封じに殺されるだろうかと考えた。
一時間、一時間くらい待った。
拷問されるどころか、自分は放置をくらっている。
牧島先輩?ああ、牧島先輩は今本棚を作っている。計図はあらかじめ書いてあったみたい。
「よっしー!できたんよ、チャラチャラー本棚!」
「チャラチャラー、じゃねー!」
「なんだよ、せっかく本棚出来て気分よかったんに!」
「しらねー、あんたは俺を鎖に繋いままでなにしてんだよ」
「本棚作り?」
「そっちじゃない!あんた俺に尋問するんじゃなかったのかよ!?」
「あ、ああわ、わかってるよ、これも尋問のひとつ「じゃねよ!!お前絶対忘れてただろ!」
「お、おま?俺いちを先輩なんだがぁー?」
「しるか!」
「・・・・は、はい」
俺はもうカッチーンときたもんね!
だから小声だがあんなことをつい言ってしまった。
「てっきりノコギリで拷問でもされるんじゃないかとかんがえたじゃん」
「ごうもん?」
「えっ?」
なに?俺なんかヤバイこといった?
なんか、牧島先輩嫌な笑いかたしてるんだが・・・・。
「ふーん、鈴峰っち拷問されたかったんだ~、ニヤニヤ」
「なっ!?」
「いやーごめねー、気づいてあげられなくてさぁ」
「ちっちがっ!」
「いや~いいんだよ、わかってるから、さ、鈴峰っちは拷問されたがりのへ・ん・た・いさんなんだねー」
「だがら!違うってば!」
さっきからこの人、話聞かないんだけど!めんどくさ!
「気にしないで拷問とかは僕的には結構得意な方だからさぁ、全部僕にゆだねちゃってもいいんだよ、フフっ」
「ひっ!・・・・あ、あごをクイッてするのやめてくださいよ」
今の俺の顔色、誰が見ても分かるくらいに青いだろうな~。
僕は普通で、そっちの趣味はないんだよ!!
「じゃあまずどんな拷問がいい?家にはそれなりに道具が揃ってるから、取りに行ってくるけど・・・・」
「い、いやされたくないんですが、早く解放してくださいよ、後いつまであごクイッしてるんですか?」
「わかった!三角木馬だね!!ちょっと待ってて、すぐ取りに行くからさ!!」
「ちょっ!何であるんですか?そんなの!それより鎖はずしてけーっ!!!」
行っちゃったよ、うわっ、どうしよあの人本当に取りに行ったのかよ!
最悪だ、俺は今日死んだね、うん色んな意味で死んだよ。
ごめんね、父さん、母さん、梓、ろくな息子じゃなくてごめんよ。
「はぁ・・・・最悪だ」
そんなことを呟いたとき、聞こえるはずのない知っている声が聞こえた。
「おいおい、いくらなんでもそんな事を思うには若すぎじゃないのか?」
「!」
知っている、この声。
俺の親友で、アホだけど強くて信頼できる、聞こえるはずのないあいつの声が。
聞こえてきたのは後ろからだ。俺は振り返る。
そこに、そいつはいた。
「た、たつひ、さ」
「よっ、助けにきたぜ~、親友」
俺は夏目 達久の存在を確認と同時に頬に温かく一筋の滴がつたった。
この後の展開お楽しみに!




