知らなから気になるわけですよ。
遅くなりました!すいません!
雪子さんから達久を守ってから、三十分が経過した。
ときどき達久たちがお礼を言ってくるなか、雪子さんが────
「よっしゃい!部活かい~いし~っ!!」
とか、言っていたので今なにするのかを話し合っています。
「えーっと、何して遊びますかね?」
「あーあんっ!!今それについて話しとってしょ~!何いってるんだね??こんちきしょー」
「そうだぞ達久」
「そうだ」
「・・・・そ、そうだね」
「みんなひどいっ!!」
達久今のはお前が悪い、下手に口出しをするな。
だが、本当に何をしようか。教室にいる雪子さん以外はそれぞれ考えるような姿勢をとりながら悩む。
部活をしようと言った本人はみんなが悩んでいるなか・・・・、
「zzzz・・・・なんでやねん、それはシャイニング・ドライバーやないかい・・・・zzzz」
寝言を言いながら寝ている。
シャイニング・ドライバーってなんだよっ!
何の夢見てんだよっ!
部活をしようと言った本人が寝ていてはどうしようも無いな。
じゃあ今日はもうかいさ────
「空飛んだら気持ちいいやろんなっ?ちみ飛んで・・・・」
「んー!よーし頑張って考えるぞー!!」
なんだよっ!この人さっきまで寝てたじゃんっ!てかっ、頭のなかでも覗けんのか!?
「除いてみよっかな?よっかな?」
「俺は何もいってません!!」
どこから取り出したのかノコギリやいろいろな切断用の道具やスプーンを取り出す。おいおいそれら何に使うんだよ(特にスプーン)こえーよっ!!
「あれりゃ?スプーンある・・・・oh!そうだったのです、プリン冷やしてあったんよね~、プリン~!」
どうやらスプーンは冷やしてあったプリン用が、たまたまノコギリたちに混ざっていたらしい。
それよりも今の俺は運よく死から逃れることができて、安堵のため息を吐く。
達久たちからはキラキラと輝く瞳で見つめられる。その瞳には英雄という言葉が見ていても分かるくらいに光っている。
そりゃあそうなるわな・・・・自分でも『アニメか漫画の主人公なのでは』と普段ならバカかよとか言いたくなることでも、今はそう思っても仕方がないと頷いてしまう。
にしても雪子さんの妹(古町)さんとは、性格が似てないな(強引なところとかはにているが)・・・・俺にも妹がいて確かに似ていないところはあるけども、 たぶん綾瀬姉妹ほど似ていないってわけじゃない。
まぁ他の兄弟、姉妹とかをなんでも知っているわけじゃないからこれも世の中では一般的なのだろうか?誰か知っている人はいないだろうか?
似ていない理由を三つほど考えてみた。
その1、似ていないのも一般的な姉妹ということ。
その2、綾瀬姉妹はある理由で性格を同じにしないためにどちらかが演技をしている。
そして最後その3、実は綾瀬姉妹は本当の姉妹ではなく親が再婚の時に姉妹なった。そして、雪子さん実は魔王の子ど────、
「ありゃっ?ノコギリたちゃは何でとりゃ出したんだっけ?あっ!そらりゃ確か鈴みね・・・・」
「さぁ!みーんなぁー今日は!何をしよっか~!?」
くそっ忘れてた。もうこの事について考えるのはやめよう。
「やめるのは勝手やんがな、わたしも狂った女じゃなかりぁねチミの脳みそ見ようなんか思っておりゃあんよ・・・・」
狂っているとは言わないがちょっとあぶない、おっと俺は何も考えてませんよ、雪子さん!
「あっひゃっひゃっひゃっ~、面白いなぁチミは。面白いのはいいし、君が私達姉妹について勝手なことを考えるのは自由だから気にしない私が魔王の子供なんじゃないかとかね。でもね私たちのこと知りたいとは思わないでね、人には知られたくないこととかあるわけだし、知ったとしても理解できないだろうしね。特に鈴峰君には・・・・君みたいなのには、ね」
そんな初めて見た雪子さんの真面目な顔と声により、室内の空気は重くなる。
雪子さんの知られたくないこと、知っても理解できないこと。
たしかに、人には知られたくないこととかあるだろう俺にだってたくさんあるのだから。
でも、俺みたいなのが知ったとしても分からないと言うのはどういう意味だろうか?
分からない。
俺が聞こうと口を開く前に、重い空気を破ったのは、生み出した本人である雪子さんが先に話す。
「あっひゃっひゃっ~、急にこんなこと言ってごめんにゃ。でも、これは君の頭の中にしまっといてりゃ?お姉ちゃんとのお約束だりゃ?はい、指切りげんまんまん嘘ついたんら針千本くらいの~まっそ♪!指きったんだった♪!!」
「・・・・は、はぁ」
さっきまでの真面目な雪子さんが幻だったかのように消えていた。
彼女のさっき言っていたこと、そして変わりように頭がほとんど回らずなさけない声で答える。
そして嵐は逃げるように、
「あっひゃひゃ、今日はもう帰るら!ほじゃいな!」
バビューン!!が似合いそうな勢いで部室を出て帰っていった。
教室にはまたまた静寂が訪れた。
俺は彼女の言ったことについて考える。ふと他の三人は何しているのかと目を向ける。
三人は下へと目を伏せ口を一の字のようにしていた。そしてつらそうな顔をしている。
達久たちはなにか知っているのか?さっき雪子さんが言っていたことについて。それとも気分でも悪いのだろうか。
どうしたのだろうかと俺は声をかける。
「どうし」
「あのさ」
かけようとした言葉を遮ったのは、達久だった。
そして、
「・・・・帰ろっか」
そして今日の部活は終了した。
今日はみんな一人で帰りたいとのことで、俺たちは校門をぬけてすぐにバラバラになって帰宅した。
校舎の三階西棟にある女子トイレ。
入って一番奥にある個室便所、そこから聞こえてくるは、女性の嘔吐。
「うぉえっ!おえっ!!げぇえ!」
嘔吐をしているのは、綾瀬雪子である。
「おえっ!!おえっ!!ぺっ!・・・・あ~、やっととまったんやよ、やっぱり止めとりぁよかったんよ。ふーはー・・・・」
彼女はもう大丈夫だと思い、立ち上がり鼻につんとくる臭いを放つ自分の嘔吐物に目を向けないで、水で流して個室便所から出ていく。
「あっ!わすれとったんりゃあ!鈴峰君が入部するのかを!あちゃちゃ~帰ったんら謝らんとんな、怒る妹は可愛いのらから別にえいがよな!うーっわっはっはっは!!」
そう明るく元気にしている彼女の後ろ姿はどこか・・・・いやかなり辛そうなのが伝わってくる。
それはきっと彼女自身気づいてはいないのだろう。
「さすがにつらいんら、早くしれらねカーシ君」
次回は次の日のお話・・・・だと思います。
頑張ります、はい。




