近くて遠い、どこかの空の下。
空が、青い。
遠くに、鳥が見える。
規則的な乾いた音。
柔らかく通り過ぎる風。
世界は、ゆっくり壊れてる。
なのに、目に見える風景はいつも優しくて。
僕は、小さなぬいぐるみを拾う。
泥だらけで、誰にも拾ってもらえなかった、小さな子。
似ていたのかもしれない。
歩きだす。
どこに行くわけでも、何をしたいわけでもなく、ただ歩く。
息を吸って、吐く。その音だけが、今の僕には現実で。
寂しいとか、苦しいとか、悲しいとか。
そういったものは、とうに消えてしまった。
今の僕にあるのは、ただ、生きているということだけ。
胸の中心の鼓動が聞こえる限り、僕はただ、生き続けるのだろう。
それでもいい。誰かが言った。
ただ、生きればいい。
そうなんだろうか?
分からない。
でも僕は、まだ歩くのをやめない。