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異世界転生桃太郎

作者: シェフ

むかしむかし、(中古から中世くらい)

あるところに、(プライバシー保護のため場所は特定されないようにしてあります)


おじいさんと、おばあさん(この作品には人種や個人に対する不適当な表現が含まれておりますが当時の時代背景を考慮してそのまま使用しております)

が、住んでいました。


おじいさんは、山へ柴刈りに、


おばあさんは、川へ洗濯に行きました。(特定の職業を差別するものではありません)


おばあさんが、川で洗濯をしていると、


川上から、どんぶらこ、どんぶらこ、と(個人による擬音表現です)


流れてきました。


おばあさんは、家に持って帰って、


その夜、おじいさんに知らせました。


二人で切ってみたところ、


「――俺だ」


中には元気な赤ちゃんがはいっていました。(安全性に配慮してケガをしない包丁を使用しております)


子どものいないおじいさんとおばあさんは、(男性が先に表記されていますが女性蔑視の意図はありません)


たいそうよろこんで、その子を


桃太郎


と名づけて、育てることにしました。(この時代の戸籍制度は曖昧でありこういった行為は法による処罰の対象とはなりませんがこういった行為を肯定ないし推奨するものではありません)





「ここは民話の桃太郎の世界のようだな。そして俺はこの姿に転生したってわけか……ふっ、面白い。ならば俺は原作知識をフルに活かして大成功をおさめてやる」


桃太郎はすくすくと大きくなって、立派に育ちました。


「普通にやっていても桃太郎は大活躍のハッピーエンドだ。しかしせっかくの異世界転生だ、俺はさらにその上を行きたい」


そしてある日、桃太郎は、おじいさんと、おばあさんに、


鬼ヶ島に鬼退治に行くと伝えました。


「世界を改変する能力、≪御都合主義展開チートオブウハウハ≫でな……!」


おじいさんは刀を、おばあさんはきびだんごを、


桃太郎のために、用意してくれました。


「刀……これは十束雷神鬼哭斬鉄七星魔龍ノ太刀・天……。鬼が自らの血を使って打ったとされる、神話に伝わる聖魔剣だな。鬼を退治するのにおあつらえ向きだ。おじいさんはかつて名高い武将だったと聞くが、これほどの業物を持っていたとはさすがだぜ。

そしてきびだんご。一見なんの変哲もなく、食べてみても普通にうまいと感じるだけのものだが、実はそれが問題だ。元現代人である俺がうまいと感じる料理がこの時代に存在している。砂糖など貴重品の筆頭であるにもかかわらずだ。そんな素材や調理法を隠し持った上でこの家を守ってきたおばあさん、やはりただものではないな」





桃太郎が旅に出ると、一匹の犬がやってきました。


『桃太郎さん、桃太郎さん、おこしにつけたきびだんご、ひとつわたしにくださいな』


桃太郎がきびだんごをあげると、犬は家来になりました。(ついでに人型に変身しました。しかも垂れ犬耳の美少女です)


「食べた動物を人間に変える能力か。これがきびだんごの正体……おばあさんも能力者だったというわけか」


『わたしはモモといいます。あなたとは、なにか近しいものを感じますね』


「名前からしてそうだな。よろしく頼むぞ」


『あと、桃太郎さんの頭につけた桃、ひとつわたしにくださいな』


「ふざけんな殺すぞ」


桃太郎と犬がしばらく行くと、一匹の猿がやってきました。


『なあなあ、桃太郎、桃太郎、おこしにつけたきびだんご、ひとつあたいにちょーだいっ』


桃太郎がきびだんごをあげると、猿は家来になりました。(ついでに人型になりました。しかもショートヘアーの元気っ娘です)


『あたいはサリィってんだー。へへ、よろしくなっ』


「なかなかのはねっかえりだな。よろしく頼むぞ」


『あと、桃太郎の頭につけた桃、ひとつあたいにちょーだいよ』


「なめとんな飛ばすぞ」


桃太郎と犬と猿がしばらく行くと、一羽の雉がやってきました。


『桃太郎どの、桃太郎どの、おこしにつけたきびだんご――ひとつ我にくださらぬか』


桃太郎がきびだんごをあげると、雉は家来になりました。(ついでに人型になりました。しかもスレンダーな大人の美女です)


『我にまことの名などない――そう、トリックスターとでも呼ぶがいい』


「ミステリアスな美貌だな。よろしく頼むぞ」


『あと――桃太郎どのの頭につけた桃、ひとつ我にいただけぬか』


「たわけんな潰すぞ」





桃太郎と犬と猿と雉がしばらく行くと、やがて海が見えました。


海の向こうに、鬼ヶ島がありました。(通称であり実際の地名や団体名とは一切関係ありません)


近くには、船が一隻ありました。(持ち主の許可を得て登場しています)


「手こぎなど、疲れるものには乗らん。この程度の海、俺にかかれば造作もない」


『ああっ、桃太郎さんの頭につけた桃が、まぶしく光って……』


『すっごーいっ、海が割れたよー』


『これが彼の力の一端――我は見届けなければなるまい』


桃太郎たちが鬼ヶ島につくと、大きなお城が見えました。


お城の門は、鍵がかかっていました。


『ここは我がうけたまわろう』


すると、雉が、中の様子を見るために、空を飛んで行きました。


「うむ、いい角度だ」


鍵のあるところがわかったので、こんどは猿が、壁をのぼって、中にはいって行きました。


鍵をあけて、桃太郎たちがお城にはいると、そこには大勢の鬼が待ちかまえていました。


『やったよー。あたいの忍者顔負け潜入術で作戦成功さっ』


「うむ、なでなで」


桃太郎が鬼をやっつけると、お城の奥から、鬼の親分がやってきました。


『くんくん、わたしのするどい感覚器官が、鬼の弱点を探り当てました。いまです、桃太郎さん』(家来たちの行為は犯罪を助長するものではありません)


「うむ、くんかくんか」


犬の力をかりて、桃太郎は鬼の親分をやっつけました。(この作品はR15ではありませんので刃物で生き物を切りつけ出血させるような過激なシーンは含まれていません。そのため多少はしょりましたがここでは激しい戦闘があり両者とも激しく傷つき特に家来たちの衣服が大きくはだけたりしましたがそういった箇所はカットしてあります)


降参した鬼たちは、たくさんのたからものをくれました。


「こんな大量の財宝の山、まともに運んでいられるか。座標指定、範囲設定。立方転送、着払」


たくさんのたからものを持って帰った桃太郎たちは、


それからしあわせにくらしましたとさ。


「これで俺の世界変革は終了だ。もくろみ通り俺はまったく苦労せず無傷のノーリスクでおいしいところだけをもらうことができた。あとは酒池肉林の日々を送るだけよ、くっくっく」


めでたしめでたし。






おまけ


『それにしても、桃太郎さん一言もしゃべりませんでしたね』


『シャイなんだろーさ』


「おじいさんとおばあさんにも多少は心配をかけたな。そりゃそうだ、腕の立つ戦士に育てたといっても、桃太郎は女の子。俺がそういう世界にしたのもあるが」


『その事情もあって我らがつきしたがっていたのだ――おじいさんとおばあさんの命によってな』


「まっ、そのおかげで俺は女の中に男が一人、両手両足に花の状態だけどな」


(男装の麗人はだまってうなずきました)


「と、転生女神さまのナレーションけっこージャマだったんだけど。長いし」


(もうっ、私だってがんばったんですからね。頭につけた桃に言われたくはありませんわ)


おしまい。


地の文:ここだけ読むとふつうの桃太郎

「 」:俺のセリフ

『 』:家来のセリフ

( ):転生女神によるナレーション

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― 新着の感想 ―
[良い点] ナイスなナレーションでした。 ( )の可能性を見ました! [一言] 面白かったです。クスッとしました。 桃太郎の頭の桃狙われ過ぎ♪ 失礼しました。
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