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熊本・大分(九州中部)地震 記録簿  作者: あまやま 想
4月15日(金) 束の間の休息
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4月15日(金) その2

 さらにタンスを起こす。こちらは下の方に洋服がぎっしり入っていたからだろうか、下は無事だった。


 そのかわり、上部は畳の上に落ちており、落ち方が悪かったのか、最上部の開き戸の右側が開いていて、ありえない方向に曲がっていた。 


 タンス上部を起こした際に、開き戸の最上部はポロッと落ちた、これは大変危険である。起こしたところで、タンスから飛び出したケースや洋服を上段から戻して行く。


 実に不毛な時間である。こちらも片付けに1時間半かかった。この際、食器棚もタンスも大きな余震が来る可能性があったので、あえて組み立てずに下段の手前に置いておいた。


 最後に棚の上から落ちたテレビを棚の上に戻す。テレビは棚の上から落ちただけだったが、未だにブラウン管テレビを使っているので、二人でもかなり重たく感じられた。


 こんなことなら、地デジチューナーではなく、思いきって地デジ対象の液晶テレビに買い替えてもらえば良かった…と思わずにはいられない。


 ただ、外のゴミ置き場を見ると、たくさんの液晶テレビが壊れていた。液晶がやられるとテレビが使えなくなるのが、液晶テレビの欠点である。


 知り合いの話であるが、両親が離婚していると、こう言う時は実に不便らしい。それぞれ、別の場所にあるため、片付けや安否確認に時間がかかって仕方が無いとの事。


 非常事態だから1週間ほど、これまでの過去を水に流して欲しいものである。そうすれば、それぞれの家を往復しなくていいとぼやいていた…


 しかし、非常事態だからと言って、赤の他人より遠い存在になっている両親を一緒にできないだろうな…。


家庭内暴力で家を出て行った知り合いの母様にとっては死活問題だ。それに管理しやすいからと、こちらの都合だけでそんなことしたら、両親の尊厳に関わる問題であろう。


 この日の地面は小さな余震はあるものの、昨日に比べたらかなり落ち着いていた。この時、誰もが昨日の21時26分の地震が本震で、すでに地震活動は収まりつつあると思い込んでいた。誰一人として、これが嵐の前の静けさだったとは思いもしなかった…。


 だから、結構揺れた割に被害も軽かったし、すぐに日常生活に復帰できると思っていた。実際、多くの小売店や飲食店が昼過ぎから店を開けていた。


 まだ、人々はどうにか笑うだけの余裕がある。役所に行くと非常食が置いてあったが、受け取る人はほとんどいなくて余っていた。


 誰もが楽観し、明日の食料や水を用意する物はいない…。その間に地中ではひたすら次の地震のエネルギーを貯め続けていたなんて…。この時点で、分かっていたら…。


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