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熊本・大分(九州中部)地震 記録簿  作者: あまやま 想
4月29日(金) 形だけの復興への不安
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4月29日(金) その2

 普段の私達の生活が、実に絶妙なバランスの上に成り立っているかを今回の震災で思い知らされた。


 こんな生活は当たり前のようで実は全然当たり前ではなかったのだ。きっと、目に見えないだけであらゆる犠牲やコストなどの上にのしかかっていただけなのだろう。


 まあ、そうは言っても元の生活に戻れば、すぐにこの気持ちを忘れてしまい、当然のように震災前と同じ生活をするようになるに違いない。


 震災から2週間が経った。私は記憶が風化しないうちに少しでも早く記録をまとめなくてはいけないと思い、昼からはずっと記録簿の作成に取りかかっていた。


 記録を残すと言うのは簡単なようで、案外難しい作業である。地震に関する記録は可能な限り忠実に残さなくてはいけないが、個人情報に関する事は極力触れないように書かないといけない。


 また、私自身が被災者ゆえに生きた情報が書けるのはいいが、その反面どうしても感情的になりがちである。できる限り客観的な視点で書く事を心がけていたが、これがなかなか難しい。


 この日までで、4月14日から既に震度1以上の地震が千回を超えたと新聞の一面にある。少しずつ収まっているとは言え、これは明らかな異常事態だ。


 4月14日21時26分まで地震なんて1年に1回小さく揺れるぐらいだったのに…。もう、今では少しぐらい揺れてもなんとも思わなくなってしまっている。完全に感覚がマヒしていた。


 この先、大きな揺れがもう二度と来ない事を願うばかりであるが、4月16日1時25分を経験した私達にはこれすらも疑わしい。2度目を経験したら、もう3度目もあるんじゃないか?


 時々、ぶり返したかのように震度4の地震が来ると、またこれから大きいのが来るのではないかと不安になってしまう。


 その上、例年に比べて、雨が多いのも不安要素の一つだ。地震の影響で地盤が緩んでいるので、ちょっとの雨でも地滑りが起こるかもしれない。


 この日からしばらくは天気がいいようだが、できれば青天が一週間ほど続いて欲しい。雨が続くと家の修理などの野外活動ができないではないか…。


 年によっては十日以上雨が降らない日が続く事も珍しくないこの時期に、梅雨のような雨は正直言ってうんざりである。

今回の更新はここまでです。

また、時間ができたら、続きを書きます。

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