4月24日(日) その2
人事部長からは案の定、「こんな状況なので、次が見つからないし、もうしばらく頑張って欲しい」と言われた。熊本地震さえなければ、円満に退社できるように今年に入ってから、少しずつ準備をしていたのだ。
今頃、すでに退職の手続きも終わって、あとは年休消化でのんびり一休みができたはずなのに…。そして、次の仕事が5月から決まっていたので、新天地で頑張る予定だったのだ。
ところが地震の影響で新しい職場の営業再開のめどが立たず、規模を大幅に縮小することになったため、内定取り消しとなってしまう。
熊本地震と言う特殊事情も重なり、もはや簡単に仕事を辞められない状況にあった。そして、会社側も求人が来ないだろうと引き止めに必死である。
本来であれば、一度出した退職願はとても引っ込みがつかないだろう。それがどうにか引っ込みがついたので、もうしばらく今の仕事を続ける事に決まった。
それにしても、今回の大地震のせいでどれだけ多くの人々の人生が狂った事だろうか? もし、地震がなかったら何事もなく、平穏に生活をしていたはずだ。そう思うと、「人生塞翁が馬」なんだな…と嫌でも痛感させられるのだ。
その後、再び何事も無かったかのように片付けへと戻ったが、小さい会社なので既に知れ渡っているだろう。
何事も無かったかのように接してくれる同僚達のさりげない心遣いがかえって辛い…。それでも、残ると決めた以上はできる所までやり抜くしかない。ああ、大地震の馬鹿野郎!
共用スペースの片付けは夕方までには全て終わらせる事ができた。そのため、明日25日(月)は営業再開に向けて、お得意様への電話掛けと挨拶回りを行う事となった。
そして、26日(火)からの営業再開することが役員会議にて決定したと直属の上司から伝達される。
私が帰りたかった日常はここではないけど…と思いながらも、今は震災で生活基盤がやられてしまって、転職活動などとてもできる状態ではない。




