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熊本・大分(九州中部)地震 記録簿  作者: あまやま 想
4月19日(火) まだ発生から5日しか経っていないなんて…
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4月19日(火) その2

 そこで急遽、福岡の知人と連絡を取り、福岡へ行く事に決めた。福岡の知人は


「こっちでも必要な物があれば用意するから、遠慮なく言ってくれ」

と頼もしい言葉をかけてくれた。本当に有り難い言葉である。


 熊本の友人にも連絡を取り、「福岡へ行くので欲しいものがあれば言って欲しい」とライングループに書き込む。こちらはすぐには返信が来ない…。


 しかし、明日までに連絡が来ればいいから慌てる必要もない。早速、福岡へと向かう。


 それにしても皮肉なものである。ずっと、旅行をしたいと思いながら、仕事が忙しくてそれどころではなかった。


 それが今、震災の影響で仕事ができなくなり、救援物資をもらうために福岡へ向かうのだからやりきれないものだ。それでも久々に気分転換できるのは有り難い。


 福岡へ向かう道中、高速が植木〜八代間が使えない影響で植木インター付近は連日の大渋滞である。


 そのため、今回は菊水か南関のどちらかのインターから高速を使う事にした。そのため、いつも福岡に向かう際に使わない道をいくつも組み合わせて向かう。


 あれは山鹿にさしあたる辺りだろうか…。17時52分、急に大きな揺れが襲った。その直後の緊急地震速報…。はあ…、やっと少しずつ落ち着いてきたのに…。


 久々の大きな揺れにまたしても失望感がただよう。しかも、熊本市から結構離れた山鹿でこの揺れである。


 即座にライングループの書き込みでスマホが鳴りっぱなしの状態になった。運転中で確認できなかったが、結構長い揺れだったようだ。


 ただ震度3と言われても揺れが十秒で終わるのと、2〜3分続くのでは全く意味合いが異なる。震度だけでは揺れていた時間までは分からない…なんて知りたくもなかった。


 それからしばらくすると沿道に中学校があった。そこではいつも通りに生徒が部活をしている。ただ、当たり前の日常を見ただけなのに、それだけで泣きそうになった。


 前震が起こる5日前までは熊本でも当たり前に見られていた光景なのに…。子ども達が学校で勉強して部活をするなんて、遠い昔のようだ。


 どうにか南関から高速に乗って、19時過ぎには福岡市に着く。博多駅近辺では大人達が当然のように仕事をしていた。その光景にまた涙腺が少し緩む。


 当たり前のようにあった日常がここにあるのに、熊本市には持って帰る事はできないのが残念だ。


 日常なんて壊れる事ないと思っていたのに…。本当に壊れるときはアッという間に壊れてしまう事も、震災さえ無ければ一生知らずに過ごせただろうに…。


 この日は福岡の知人のおかげで久々にレトルト食品でない暖かみのある食事を食べる事ができた。


 きちんと調理された料理がこんなにおいしいなんて思いもしなかった。また、余震の不安を感じる事無く寝られる事がこんなにもホッとするとは…。


 水道をひねって水が出る事、何も考えずにトイレが使える事…日常生活の一つ一つが実にありがたく思えた。

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