4月17日(日) その1
朝は近所の給水スポットまで水汲みに行く事から始まる。震災後の新習慣だ。そうしないと水が出ないので、家でトイレもできない。
おろかにも、車から降りた後、何も考えずにトイレをしたら水が流れなくてこまる。そして、水汲みをした後にようやくトイレの水を流す事ができた。
近所の店が開くと聞いて、慌てて駆けつける。店に着くと既に長蛇の列ができていた。ざっと百人くらいか…。店内は危険なため、店員が店内から運び出せた物のみを外で販売していた。
並ぶのは嫌いだが、災害時にそんな事も言っていられない。スマホで時間をつぶしながら、順番が来るのをひたすら待つ。水もガスも使えないが、電気だけでも使える事が本当にありがたかった。
待っている間も、高校や大学の同期からの情報網に情報が上がる。今回の地震ではラインやフェイスブックなどがどれほど役立っている事か…。
ただし、誰でも自由に情報を発信できるようになったため、当然、取捨選択することが必要になるだろう…。
「山鹿方面のスーパーは開いているようだから、そっちで買い物する」
「山鹿まで行かなくても、植木で買えるから安心して!」
ラインのグループでのやり取りで、それぞれが仕入れた情報を瞬時に共有できる。高校時代の友人同士なので何の気兼ねなく情報がやり取りできるのが最大の利点である。
もともとは同窓会などのやり取り用に作ったグループだが、今回の震災では安否確認や情報共有などの思いもよらない方法で活躍した。
友人が避難所の業務連絡にライングループを使ったらどうだろうか…と言っていたほどだ。
その場合、携帯やスマホを持たない高齢者に対しては別の伝達手段を作る必要があるだろうけど、今後のためにもいろいろ試しておくのはいいかもしれないと思った。
また、フェイスブックでは不特定多数からの情報が次から次へと上がって来る。それを読むのは大変であるが、フェイスブックを通じて炊き出しや支援物資の配布、店舗の開店状況や不審者情報など知る事ができた。
フェイスブックのおかげでありつけた炊き出しや支援物資も意外とある。残念ながら、「○○で大きな地震が予測されているので逃げて下さい」などの不正確な情報もあるので、そこは何でも鵜呑みせずに情報が正確かどうかの吟味が必要だ。
そんなことを考えているうちに私の順番がやってきた。取り急ぎ、水とレトルト食品、バナナを買う。おむつもあったので、ライングループでおむつがいるかどうかを聞く。
一回送ると、グループに所属しているメンバー15人に瞬時送れるのは実に便利である。小さな子どもを抱える家庭ではおむつなどのベビー用品が不足しているようだ。
すると、知人から「今のところ、大丈夫!」と返ってきたので、それぞれの実家を経由して、帰路につく事にした。