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熊本・大分(九州中部)地震 記録簿  作者: あまやま 想
2016(平成28)年4月14日(木) 全ての始まり
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4月14日(木) その1

 朝はいつもと変わらなかった。朝起きて、「ああ、仕事行きたくね…」と思いながら身支度をする。


 ただ、週末が待ち遠しかった。最近は仕事がつまらなくて仕方なかった。仕事だけでなく私生活の方も、ただ単調な毎日の繰り返しで苦しまずに死ねたら楽なのに…とさえ感じるほどだった。


 どうにか職場に行って、ただ淡々と仕事をこなして行く。もはや、何の感情もわき起こらない。かつてはまだ、無力感や自分への怒りを感じていたのに…。もはや、ロボットである。


 会社にいる一日がとても長く感じられる。夜も残業でなかなか帰れない。正社員の安定と引き換えに失った自分の時間…。


 ワークアンドバランス? 何それ、おいしいの? お金がないと生きていけないけど、お金だけでも人は生きていけないのに…。何か、おかしくない? ああ、いかん。こんな下らない事を考えてないで、さっさと仕事を終わらせなくては…。


 あれっ、揺れている。地震だ…と思った瞬間だった。突如、緊急地震速報が鳴り出し、激しい縦揺れと横揺れが襲った。


 何もできなかった。偶然にも机に座って仕事をしていたから机に入る事ができたけど…。とにかく1分ほど揺れた。


 ようやく、揺れが収まって、思わずスマホを見る。緊急地震速報のおかげで21時26分に地震が起きた事が分かった。机から這い出ると、そこは別世界が広がる。


 これまで机や棚にそれとなく収まっていた本や書類は床中にぶちまけられているではないか。それだけでも面倒なのに、書類棚やラックまでひっくり返っているし…。


 心配になって給湯室を見てみると、給湯室の湯飲みやガラスコップは半分以上が食器棚から落ちて割れている。


 これはただ事ではない…。そう思った矢先、機械音声で


「大きな地震が発生しました。危険なので、速やかに建物の外へ避難して下さい! 繰り返します…」


とめったに入らない社内放送が入った。残っていた社員は少なかったので、避難は何一つ混乱無くできた。


 外に出ると、建物内に取り残されている人がいないかの確認が始まる。また、すでに帰宅していた直属の上司からの安否確認の電話がかかってきた。

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