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見知らぬ妹との出会い

「あー!あつはなついなぁ!」

一人しかいない部屋、沈黙のあとユラは何気無く発した独り言を激しくを後悔する。

しかし今年の夏は異常に熱い。

これなら頭がおかしくなってもおかしくないだろう。

ユラは自分に言い聞かせ無造作にテレビを消して荷物をまとめる。

彼にとっては何てことのない行為であり行動。いつも通り部活に顔を出しに行く。そう思っていた矢先


ピンポーン…ピンポーン


「まーた仕送りか…」

彼にはこのインターホンに心当たりがある。

一人暮らしをしているユラへの仕送りの宅配だ。

ユラは判子を取りドアを開ける。

しかし

ユラが扉の先に見たものはいつものように機械的に対応をする宅配便の兄ちゃんではなく

金髪で小学生ぐらいの少女であった。


知らない。誰だこの子は?


こんな外国人風の女児はユラの知り合いにはいないので訪ねられる理由がない。

とすると新しい宅配のバイトか?

いやこんな少女がボロアパートまで宅配便を運んでくるはずが無い。

ユラはそんなことを考えながらも全くどうして良いかわからず判子を持ったまま突っ立っていた。

対してその少女は極めて自然に表情を変えずユラを見つめている。

少しの間沈黙が続く。

ユラはなにか対応する必要があるとは考えるが言葉が出てこない。

少女に至っては最初の不自然なまでに自然な表情を崩さない。

この沈黙を破ったのは少女のこの一言だった。

「よ!お兄ちゃん!」


見ず知らずの少女に兄と呼ばれた…

妹を自称された…

ユラの兄弟はユラの記憶では姉だけだったはずだ。


ユラの混乱をよそに妹を自称した[自称妹]はズケズケと家に入ってくる。

暫くユラは部屋を物色する自称妹を眺めていたが、彼女が冷蔵庫に入っているユラのアイスを物色し始めたところで決意し会話を試みることにした。

「えっと、部屋にあげておいて難だが…」

「ん?どうしたの?」

「君相当な人違いをしてるんじゃないか?」


少しの沈黙が生まれる


「アッハッハッハ!お兄ちゃんが冗談言うなんて珍しいね。私がお兄ちゃんを見間違う分けないじゃん!」

「…そ、そうか」

ユラはさらに困惑する。

明らかに自称妹の態度は知らない人へのそれではない。

この妹と名乗る子は何度も言うが全く知らない。

しかし向こうは完璧に自分を兄だと慕っている。

自分がおかしいのか。

つい先程の暑さによる独り言を言っていた時本当に頭がおかしくなっていて妹の存在すら忘却してしまったのか。

ユラは考えても分からない問いを求めるより取りあえず自分の数少ない楽しみであるアイスを自称妹の手から守ることにした。

「おい妹そのアイスは俺のだ。何我が物顔で食おうとしてんだ」

自称妹が不思議そうな顔をする。

「え?…急にどうしたの?

いつもは別に何も言わないじゃん?もしかして今日のお兄ちゃん機嫌悪かったりするの?」

悪いのは機嫌ではなく数々の意味不明な現象のせいで悪くなった気分なのだがユラはそれを言うことは無かった。

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