ステータス
もっと文才があればな…と思うこの頃ですが、無いものは仕方ないので何度も読み直しつつ書いていこうと思います。
読者様の視点から違和感を感じることがありましたら、なんでもいいので教えて下さると嬉しいです。
村を目指して歩き始めてから、大体一時間強たった。
幸い、森はたいして深くなくて、10分ほど歩けば出ることが出来、さらに数分歩けば人が歩いて出来ただろう小道に着くことが出来た。
どうやら人里に向かっているのは間違いないようだね。
先程言っていた通りに進めているみたいだ。
地図でも持っているのか?
だが、同じ罪人だといっていたけど、本当かも分からないし、与えられた試練自体も違うかもしれないな。
いつ裏切られるかも知れないから気を抜かないようにしないと。
「そういえばさ、キミも罪人って言ってたけど、人じゃないよね?」
「あー、そりゃそうだ
これは俺の身体じゃないからな。
俺自身は天界にいるんだよ。
こっちの情報はモニターと資料で把握してる」
「ふーん。じゃ、操作してるだけなんだ。」
羨ましいな。動きなよ。
「まぁな、今はお前の案内人として村まで操作してるが、基本は自動追尾だ。
楽なもんだぜ」
監視も含めてるのかな。
それにしても、ずっとこの生き物について回られるのか。
なんか動きにくいし邪魔だな。
「ねぇ、その操作してるやつって変えられないの?」
「あ?一応何にでも変化出来るけど?
なんでだ?」
「その変な生物にずっとついて回られるのって邪魔だからさ」
「あー、そうかもな。」
そう呟くとなんだか落ち込んだように考え始めた。
そんなに気に入ってたのかな。
「ん?止まれ。」
そんな様子のクロをフォローすることもなく、なんとなく観察していると、急に真剣な声で僕を止めた。
「どうしたの。」
つられて僕も辺りを見回してみるけど特に異変はない。
「前方3キロ先に人らしき反応がある。
数は…大体5人だな。」
レーダーでもあるのかな…
さっき僕を見つけたのはこれか。
あの時の様子だと曖昧な位置しか分からないみたいだね。
「ふぅん。殺れるかな。」
「さぁな。
ずいぶん積極的だな」
「これからは必要な事でしょう?
こんな人目につかない所で会えるのはそうないかもよ?」
それに、神の言葉を信じるとするならば、試練に参加しさえすれば「喜び」の感情が戻ってくる可能性がある。
神が言っていた感情を奪われる条件は試練から逃げた時のみだ。
ならば、僕が人を殺せたらどうなる。
試すには、絶好の機会だ。
「ま、そうだな…」
そういってクロは此方を振り向いた。
「本当は村に着いてからやるつもりだったがそうも言ってられないな」
「何かするの?」
「あぁ、お前の能力チェックだよ、この世界で通用するかどうか見極める」
能力チェック?
ここで武道センスでも披露するの?
「じゃ、ちょっと確認すっから動くなよ?」
そう言うとその大きな瞳で僕を捉える。
瞬間、黒目の部分に赤い小さな稲妻が迸った。
「ん、もういいぜ」
「今の一瞬で何が分かるのさ」
「まぁ、ちょっと待て読み込むから
あ、お前も見たいなら送ってやるぜ?」
「よくわからないけど一応貰っとくよ。」
「へいへい」
そういうとクロは口を閉口して一瞬固まったかと思えば、白い紙を口から吐き出した。ちょうどFAXみたいに。
「…。」
気持ち悪い。
そろそろコレを生物だと思えなくなってきた。
吐き出された紙はヒラリヒラリと地面に落ちていく。
ちらりと見えた文字は数字やローマ字だった。
…しょうがないから拾って読んでみよう。
名前:本郷 秀生
種族:不死族
称号:異界に渡りし者、神の遣い、天性の才を持つ者
HP 1550
MP 132
atk 35
def 25
agi 45
dex 50
int 42
skill
剣術 5
体術 4
ability
不死身の身体
超再生
言語自動翻訳
なんだこれ、暗号だろうか。
こんな文字列の言語は見たことがないな。
…いや、この【HP】や【MP】はRPGなどに使われる英語の略称だったはずだ。
確か【HP】がhit pointで、【MP】がmagic pointだったはずだ。
そうなると、この下に続く意味の分からない文字列も略称の可能性が高いな。
一体どう読むのか検討もつかない。
必要の無いことに時間を割かなすぎたかな。
「ほぉ、なかなかステータス値が高いな。
普通の人間の2倍はある。一番高い値で3倍程度か。
剣術のスキルレベルも高いし、十分こちらでもやっていけるな。
しかしだ、今回は相手の人数は5人だし、命の奪い合いという意味では初戦だからな。
相手の強さも不明瞭だ…。
やはり今回は諦めた方がいいんじゃないか?
迂回していくという道もある。」
数回ではあるけれど、何度か絡まれて少数人とのケンカをしたことがあった。面倒くさくて適当にあしらっただけだったけど。
最大でも5~6人程度の時もあったけれど、ここは異世界だからまず、強さの基準も違うかもしれない。
それに命のやりとりなんて一度もない。
だけど…なんとなくやれる気がするのはなんでだろう。
「あのさ、これ、全然わかんないんだけど、説明してくれないかな。」
先程渡された紙を指しながらそういった。
「え?
でもこれお前の世界のRPGっつうゲームを元に作ったんだぜ?
意外に分かりやすいし見やすいしな。
やったことねぇの?」
「ないね、興味もなかったし。」
「お前、そんなんで人生楽しいのか…。」
呆れたようにこちらを見ているクロは、心なしか疲れているようにも見える。
「別にいいじゃない、教えてよ。」
仕方ないじゃない、やっても面白く感じる気がしなかったから。
無駄なことはしなかったんだよ。
「あー、ハイハイ…。」
そういうとクロは面倒くさそうに説明を始めた。
「ふぅん、つまりはこのatkてのはattackの略称で、攻撃力のことか。」
大体の説明を受けてこの紙の読み方を理解した。
にしても、【HP】が頭文字をとるのに対して下の【atk】などはattackの中文字をもじってるのか。法則性はないんだろうか、分かりにくいな。
とりあえず、上から攻撃力、防御力、敏捷値、器用値、知能値と覚えておこう。
そういえば、読み方に気をとられて忘れていたけど、この『不死族』というのも意味深だな。
確かに一度死んでいるし、試練の最中だから死ぬはずもないけど…
下の方の『超再生』というのはなんだろうか。
考えつくことといえば、あり得ないが欠損部分の再生などだろうか。
「あれ?」
僕がステータスの書かれた紙を見ながら考えていればクロが呆けたような声を出した。
「どうしたの?」
「いや、一人反応が消えたんだよ、そんで反応が1つ此方に来てる」
反応が消えた?死んだのかな。
「良くわからないけどチャンスかもね。」
「…だったらいいんだけどな、とりあえずいったん隠れるぞ。
もう一人こちらに動きだしたみたいだ
二つとも結構な速度で走っているから馬にでも乗っているな。」
読んでいただきありがとうございました。