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エタっても立ち上がれ

 少しばかり、体験といいますか経験に基づいたお話をします。

 私は趣味書き歴二十年になりますけれども、実のところ、完結に至るまで書き上げた作品(ここでは短編を除く連載、長編を指します)というのは、それほど多くはありません。

 ラノベにカテゴリされる作品の影響を受けたのが小説を書き始めたきっかけですから、手がけてきた作品のほぼ九割以上はそういう内容のものになります。つまり、SFだったりファンタジーだったり、ショートとか短編のレンジではとても完結できないような設定と物語ばかり書こうとする傾向が強かったのです。

 そして、若いうちは色々な要素に影響されやすい。

 特にアニメ、漫画、ゲームというのはその刺激を豊富に含んでいるものですが、私の場合は特にアニメを観て触発されることがよくありました。

 格好いいロボットが自在に乱舞するアニメを観て「あ、これだ!」と思い、ロボットが登場する作品を書こうとする。

 ところが、書き始めて間もないうちに、今度は剣と魔法の世界に強く惹かれ、ファンタジーを書いてみたい、とか思うようになる。

 そうすると、未完のままの作品がどんどん増えていくわけですね(笑)。

 当時はなかった言葉ですが、今の表現でいうなら当然「エタ」ってしまう。

 もう、数なんて覚えていませんが、書き始めて挫折して放り出した作品数は、二十や三十できかないと思います。それだけの「世界」を投げ捨ててきたということになりますが、これは私の私自身に対する反省の弁です。さておいていただきましょう。

 かつては、現在のようにインターネットも普及しておらず、PCですら一般的ではありませんでした。

 デスクトップPCよりもまだ大きな本体の「ワープロ」が隆盛で、これだってよほど用途のあるご家庭にしかなかったものです。

 そうすると、何で書くかと言えば紙と鉛筆です。原始ですね。

 まあ、どれだけ書いて反古にしたとしても、それは自分の机の上のことでしかない。誰にも何も言われることはないわけです。

 作品を書いたところで読んでくれる人もなく、自分一人で粛々と書き進めていく。誰かに読んでもらいたかったら、笑われるのを覚悟で学校に持って行って同級生に見せるか、さもなくば公募に出すしかありません。後者は現在ほどタイトルもなく、またちゃんとした原稿用紙に書いて応募せねばなりませんでしたから、ただの趣味書きにできることといえば前者です。

 広い荒野にただ一人で暮らすようなものですが、反面、自由だったと思います。

 続けるのもやめるのも、自分の心一つ。

 やめる動機だって、せいぜい「飽きた」くらいなものだったのではないでしょうか。誰かに酷評されたからやめようって、当時はほとんどなかったのではないかと推測します。

 現在はまったく事情が変わりましたね。

 投稿して公に晒す手段はいくらでもあり、PCがなくてもスマホでできるような時代です。

 ところが、投稿が簡単になった分、読み手からの容赦ない指弾も受けやすくなった。

 ここ最近は「エタる」ことについて書き手、読み手ともにその見方が厳しくなったのかなという気がせぬでもありません。

 お知り合いユーザ様の作品の感想欄にも、手厳しいコメントが寄せられているのを見たことがあります。エタるくらいなら書くな、という意味のコメントでした。

 確かに、一理あります。

 かつての私のように、挫折したところで誰にも知られないような状態ならまだしも、公に「連載です」とうたっていて途中でやめてしまったら、読み手としては「なんだそりゃ」と言いたくなる気持ちもあるでしょう。

 このあたり、読み手の側に立って考える必要もあります。

 特に、次々と新規連載を始めておいて片っ端から「やっぱやーめた」というのは、その姿勢だけを率直にいえば決して褒められることではありません。

 ただし。

 一概に「エタる」が書き手の安易な姿勢を指摘するものかといいますと、そうといえなくなってきているかもしれません。作品へ故意に寄せられる誹謗中傷のネタとして、そこを衝くようなユーザも散見されてきているという事情もあるからです。本当に放棄してしまったのならともかく、連載の間合いが長いというだけで簡単に「エタる」などといって書き手を批判するのはいかがなものでしょうか。

 その点はここで議論すべき内容ではありませんので割愛します。

 先述したように「書いてみたくなった」からといって、すでに連載をもっているにもかかわらず安易に新規連載を始めてしまい、挫折するのは姿勢として厳しいものがあります。それだけは厳に戒めなくてはならないでしょう。

 ですが、だからといって「エタる」こと=悪であると、必ずしもいえません。

 たとえば、プライベート上のやむなき理由によって書くことを断念せざるをえなくなるような場合があります。なろうユーザ垢をさっぱり削除することもあれば、不慮の事情でそれがかなわないことだってあります。げんに、私のお知り合いユーザ様にもいらっしゃいます。

 じゃあプロフィールなり活報で報告するべきだ、という意見もあるかも知れません。

 しかしながら現行、多くのユーザ様は、できるときにはそれをなさっているようにお見受けします。できないからにはできない理由があると受け止める配慮も、ときには必要だと思うのです。「あるべき論」というものには、硬直した一面が伴うことを知らねばなりません。

 あるいは。

 そういった事情によらず、本当に「書けなくなってしまう」こともあります。

 これはたぶんにメンタルな部分による場合が多いのでは、と思わなくもありません。私も、何度もあります。

 プロットの立て方が甘いからだとか、方法論からの指摘もありますが、それはそれでしょう。理由の一つではありましょうが、全てに共通する大前提だとはいえないように思います。

 どうも話が大きく迂回してしまいましたが、誰にでも、書けなくなってしまう、すなわち挫折してしまう可能性はあるわけです。もちろんないに越したことはありませんが、モチベーションを高いまま維持できる人はそうそういません。どう頑張っても筆が先へ進まなくなってしまうことがある。

 ですが、だからといって「書いても、エタったら怖いし」と、ネガティブに考えてしまうと、もう書く書かないのレベルになってしまいますね。

 思いまするに、安易な新規連載さえ戒めるならば、エタることを恐れる必要はないでしょう。

(注、安易な新規連載という言葉を定義しようとしても、やや正確さを逸する恐れがあります。ここでは、連載中の作品が完結していないにもかかわらず新規連載を始めてしまうこと、という括りにしておきたいと思います)

 もうちょっと付け加えますと、頑張って頑張って連載を続けて、しかしながら力及ばずリタイアしてしまうという局面に出くわすこともあると思うのです。

 そのとき、もしも連載を待っていると声をかけてくれている読者がいるなら、素直にお詫びしましょう。申し訳ないけれども、これ以上書き続けることができない、と。

 そして、そうなってしまった状態をくよくよ悩んで「もう自分には書く資格がない」などと落ち込んだり、もしくは「打ち切ったところで、どうせ読者いないし」と変に開き直ったりせず、まずは作品をじっくりと読み返しましょう。

 そのうえで


◆なぜ完結に至ることができなかったのか?(なぜ続きを書けなくなったのか?)

◆今後の執筆に活用できる言い回し、表現、描写、台詞、設定等はないか?


 ここをよく考えてみるとよろしいと思います。

 何のことはありません。

 エタった作品をじっくりと眺めて反省し、次の執筆に生かせばよいのです。

「こんなものー!」とか叫びながら跡形もなく削除してはいけません。もったいない。

 挫折して完結できなかったにせよ、今まで頑張って書いてきた作品は立派な「土台」なのですから。

 さる有名な画家の方は、ラフだったりデッサンだけだったり、メモの類いからすべて保管してあるそうです。有名なのでそういうものであってもある程度の値がつくそうですが、断じて売ったりしないのだとか。

 それらをしっかり眺めて分析し、次の作品を手がけるための参考にするそうです。

 自分が筆をとったものは何一つ無駄にしない。

 そういう姿勢を、是非見習いたいと思います。

 失敗の中にこそ、成功のヒントは隠されています。

 もちろん、だからといってエタることを推奨するわけではありませんし、エタらずに完結させることがいちばんいいのは言うまでもありません。

 しかしながら、いつでも順風満帆にいくとは限らない、というのも事実です。

 繰り返しますが、小説を書く方なら一度は経験があると思いますが、誰だって行き詰まりますし、書けなくなることがあります。

 そのような状態に陥ってしまったことを嘆くよりも、次にむかって挑戦しましょう。

 挑戦を続ける限り、必ずどこかに道はつながります。

 私も、何作も挫折して自分の力不足を痛感し、もう書くのをやめようと思ったことがあります。

 ですがふと、自分の考え方が固定観念にとらわれていたことに気付き、思い切って発想を変えたときにそれまでに書いたことのなかったテイストの連載作品を仕上げることができました。その後も、四十日間連続投稿とか完遂したりしましたし。

 挫折してエタることよりも、創作と向き合おうとする心が折れてしまうことのほうがよほど重大なのです。

 恐れることはありません。

 さあ、スランプを飛躍のバネに変えて。

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