頑張っても…。
私の夢は、歌手になること!
今まで頑張ってきた。
ダンスレッスンや、ボイストレーニングなど。
オーディションにも何度も挑戦した。
何度も失敗した。諦めたこともある。
でも、今まで頑張ったから。
今回のオーディションはうまくいくと思う。
「エントリー№38。
16歳。稲田初音さん。」
「はい!」
オーディションにはもう慣れた…つもりなんだけど…。
「歌ってもらう曲は…
ルークの『ココロカラ』ね。
じゃあ、お願いします。」
すぅっと息を吸い…
『♪初めてのキモチ
私のココロに芽生えている
これが恋だなんて気づきもせず
君にそっと話しかける♪』
――歌い終わり…―――
やっぱ緊張するな…。怖かった。
「エントリー№39。
13歳、万智 ルウさん。」
…。さてと。楽屋に戻ろうかな…。
――…楽屋にて―
「お母さん…。
今日ダメだったかな?…。」
「そんなことないわ。
輝いていたわよ!」
母はこうやって優しく褒めてくれる。
これで次も頑張ろうと思うのだ。
「明日…発表なんだよね。
今夜眠れない…かも」
「きっと合格してるよッ!
1次審査、2次審査、3次審査と通ってるんだから!
最終で落とされるなんて嫌よね。」
「自信を持ってみるよ…。」
ピロン
カンナ
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オーディションどうだった?
成功したこと願ってるよ。
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カンナ…。いつもオーディション終わりの時間には
こうやって優しい言葉をかけてくれる
「成功したと思うよっと…。」
すぐ既読になりすぐ返信が来た。
カンナ
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迷ったり、辛くなったら、
私に教えてね!!味方だよ!!
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…受かってますように!!
――翌日―
あぁ…。受かってるかなぁ?どうかなぁ?
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2.4.59.610.901.1009.9313
以上の方は合格です。
おめでとうございます。
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…あ。受かってない………。
「うぁぁぁぁぁぁん…!!」
ワケもわからず涙がポロポロと出てきた。
「やっぱり素質ないんだよぉぉ…」
ピロン
カンナ
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結果はどうだった?
言いたくなかったら
言わなくてもいいからね?
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…どうしよう。
何回も落ちちゃったって…言うのは
嫌だよね…。でも…。
初音
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…落ちちゃったみたい。
でももうなれっこ!!
次も頑張るる♪
またプリでも撮ろう?
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カンナ
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初音。ウソついてない?
ホントは辛いんじゃないの?
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初音
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ホントは辛いよ!!…でもさ!
落ち込んだってどうすんの!?
そんな落ち込んでも
受かることだってないんだよ?!
無理だよ!!もう無理!
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カンナ
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ホントにそれでいいの?
初音はそれでいいと思ってるの?
私は止めないけど。
頑張るつもりあるんでしょ?
自分の信じた道を歩いて。
それくらいしか言えないよ
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カンナ!!
私の中で黒と白がさまよっている。
諦めるか、頑張るか。