友達?
「海欄 琴華ねぇ……」
学級名簿と教室の隅で静かに本を読んでいる交互に見る。
昨日来た女の客について少し気になったので、クラスの出席をとる時にどうにか名前がわかったのだが…
「あわないな……」
「何が?」
名簿の前から急に顔を出してきたのは、「鬼石 畑」。通称オニは、葵の腐れ縁で、この学校で唯一俺が店の事を話した相手でもある。
オニは、学校の規則を破らない程度に着崩してるため、下級生や同級生のファンが妙に多い。多分顔も良いからだろうけど。
「んで、何か用か?」
「いやさ、女の子になんざ全く興味のなかった親友が名簿と地味っ子キャラの海欄さんを真顔で見てたらねぇ~」
ニヤつきながら妙に楽しそうに話しかけてくるので、こういう時の秘策を使う。
「海原さーん。オニがファッションについて特集をしたいって」
「本当に!?」
よし!! 食いついた。
目を輝かせながら駆け込んできたショートカットの小柄な女の子「海原 鈴原」は、新聞部に所属しており、この間から「鬼石くんの格好良さの秘密の特集をしたいっ!!」と騒いでいたので、快く受けてあげることにした。(オニが)
「う、海原さん…俺を特集してもつまんない」
「つまらないかどうかは読者が決めることよ!! それじゃこっち来て!!」
海原さん……目が輝いてます。
ヘルプを求めるオニを無視して再び名前と顔を見比べた。
「……やっぱりあわないよな」
◇◆◇◆◇
昼休み。
ちょっと海欄さんを昼食に誘ってみることにした。なぜそんな気が起きたのかは……自分でも分からなかった。
海欄さんは誘った時に少し驚いた後、ためらいながらもOKしてくれた。
そして教室の中で食べる事になったが……
「何でオニと海原さんがいるんだ……?」
「何でって、インタビューしてるうちに惚れちゃいましたっ、それに、琴華が男に、しかもその男が学年1のクールボーイだからね~見なきゃ損じゃん?」
「疑問系で返されても……」
というか、最初の方で凄いこと言わなかったか?
オニの方に目をやると、全く目を合わせない。
「あの、そろそろ食べません?」
「そうだね」
その後、海欄さんの弁当がすごく美味かった事とか、目の前でうなばらさんがオニにアーンとかしてたこととか、まぁいろいろあった。