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【二】正直者と演技派

「おい、カエデ急げよー」


さっきまでの名演技はどうしたのか、階段のおどり場からジュンが元気に言った。


(この変わり様…将来は役者か詐欺師ね…)


あきれてジュンを見ていると、ジュンが一段飛ばしで階段を上がってきた。

こんな姿を斉藤先生が見たら、即生徒指導室へ連れて行かれるだろう。


そんなカエデの心配を全く理解していない様子で、ジュンが横に並んだ。

横に並んでみると、カエデよりも頭一つ分ほど高いことに気づく。


しかし、折角背が高くとも、その顔には常にイタズラをした後の少年の様な表情が浮かんでいるので、どうしてもアンバランスである。

そのギャップが良いって言っている女子もクラスにはいるが…。


ぼーっと考え事していると、ジュンが顔をのぞき込んできた。

ビックリして一歩後ずさる。


「なぁなぁ知ってっか? この学校には怪談があってよぉ…」

「…私、非科学的なモノ信じてないから」

「そんなこと言わずに聞いてくれよー」


捨てられた子犬のような目をジュンがした。

やれやれと思いつつも、少しかわいそうなので、聞いてやることにした。


「でな、でな! この学校に『異世界へつながる部屋』ってのがあるらしいんだ!」

「へー」

「俺、この前も授業抜け出したじゃん?」

「あ、うん」


どうやら昨日のことを言っているようだ。

あの日は大好きな数学だった為、ジュンを保健室に置いてさっさと教室に戻ったが…。


(それにしても私、昨日も保健委員って言われたのに忘れてたんだ…)


少々自分が恥ずかしくなりながらも、話したくてウズウズしているジュンをうながす。


「そん時だ! 何を見つけたと思う?」

「さぁ?」

「その部屋だよ! その実在を俺しか知らないんだぜ!」


何を寝ぼけたことを…と考えていると、考えが顔に出てしまったらしい。

ジュンがムキになった顔をした。

あーぁ、正直者ってつらいわ…。


何かを言おうとジュンが口を開いたが、何かを思いついたように目を輝かした。


「そうだ! 連れて行ってやるよ! 俺とカエデの二人の秘密♪」


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