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君のままに美しく  作者: そら
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第2章  第8話 休みの1日

久々の保護者ズ。

ガンちゃん登場。

「で、ねぇ、聞いてる?」


私は現在、昼に近い時間に帰って来て、惰眠をむさぼるガンちゃんの上に乗っかって、ボンボンはねながら、お話し中。


ガンちゃんてば、ヨウちゃんが黒幡の日本支部長になってから、なんだかんだと、より忙しくなってる。


それでなくても、忙しかったのに、黒幡との折衝の一切が高津組経由になったから、結構大変なことになったみたい。


当仁会に属してるけど、現在ガンちゃんの組の方が実質勢力がある。


まして黒幡がバックについてるようなもんだから、かわいそうに、苦手な微妙なかじ取りをしている。


きっとこの際だから、いつトップをとるか考えてるんだと思う。


わたしをまきこまなきゃ、オッケーだよって、ガンちゃんには言ってある。


これ大事、大人の面倒事に子供をまきこんじゃいけません!そうきちんと宣言してやった。


で、現在の状況は、目の下にちょっとクマを作ってるガンちゃんが、2日ぶりに帰ってきたんで、優しい私的には、3時間待ってあげたの、おこすのを。


学校公開日のあった月曜日はお休みになるんだけど、いつもはそれでもなんやかんや学園にいく用事があるから休みって感じしないんだけど、今日は珍しく用事もなく1日フリー。


他の保護者ズは平日の今日はお仕事だし、キョーちゃんも大学のゼミ発表だというので、休めない。


みんな今日は早く帰ると言ってくれたけど、私は余裕で、大丈夫、お部屋の片づけとかあるし~、なんて言ってたんだけどね、うん、私には片付けの才能はないとみた!


ハウスキーパーさんがいつもきれいにしてくれているけど、それが無残なありさまになってしまった。


わたしはただ、ちょっとだけ引出しの中身を、乙女らしくこの間買ったデコレーショングッズのいろいろで飾りたいと思っただけなのに・・・・・。


なぜか、まるで空き巣が入ったみたいになっちゃった。


恐るべし、お片付けにはこんな罠があったとは・・・・・。


この間遊びにいった委員長の部屋の、文房具なんかが仕舞ってあった、あのかわいいのを、自分の部屋にも再現しようとしただけなのに。


おかしい、なんでこうなるんだろう?


思うが早いか、すぐに黒ユリメンバー達と、ワイワイ買いにいき、その後、みんな可愛くできた!って聞いて、私もそろそろやらねばなるまい。


私が最後とは、乙女がすたるって、そう思って、今日をチャンスとばかりにトライしたのに。


何でどうして?ってくらい、ひどいありさまになってしまった。


太い幅のローズ柄にクマがかわいいはずのテープは、へんにしわくちゃに張られて、そのせいでいびつになったクマの顔が、なまじ激しく睨んでるようで怖いし、うん睨んでる。


テーブルの縁にはった布テープも、かわいいカントリードールのはずが、やはりいびつにはったせいか、不気味な呪い人形に変化してしまった。


この段階であきらめればいいのに、がんばりやさんな私は、黙々と大量に買ったデコレーショングッズをこれでもかと部屋にはりまくり、気が付けば、自分の部屋が、黒魔術できますよ~、の呪われた部屋になっていた。


見極めることが大事だと知っている私は、自分の部屋をもはやこれまで、と退散し、遅いお昼を食べて、大人しくたまっていたドラマでもみようとしたんだけど、そういえば、久しぶりにムーミンでもみようかなって、急に思いついて探そうとしたら、・・・・・うん、なんか散らかしてしまって、あきらめた。


ちゃんと入っていたんだから、入らなきゃおかしいよね?


だけど、これがさあ、不思議なことに、手を出せば出すほど、散らかっていくの。


で、ここでも戦術的撤退をするべきだって思ったの、遠い異国のシロたちも許してくれると思うの。


帰国したらまた一緒にみようね、そのための撤退よ、そう思ったんだけど・・・・。


うん、キッチンの方もね、ひどい事になってるの。


ユキちゃんが、時間がないのに、私のお昼用意しようとするから、昼くらい大丈夫だって笑って送り出したんだけど、だって今日学園にいかないって言うの忘れてた私が悪いんだもの、それぐらいって思うでしょ。


お好み焼き作ろうとはしたのよ、気持ち的に。


気持ちは大事ってことで、キッチンにばらまかれた小麦粉とか、落としちゃった卵とか、仕方がないとあきらめて。


それで、かしこい私は、近くのコンビニでおいしいデザートも一緒にお昼ゲットして、おいしかったから言う事ないんだけど、ちょっとこの状態第3者的に考えてまずいかなあって、思ったわけ。


考えてみたら私って一人でこの家にいることがない。


いつも誰かしら保護者ズがいる。


それで、たまたま一人になったらこれってどう?ちょっとどころか過保護がパワーアップしそうじゃない?


そこで、まずい、と思い、もう3時間は寝てるはずのガンちゃんの部屋に突入した。


ガンちゃんまるまる徹夜続きだったらしいけど、乙女のピンチの方が、ガンちゃんの睡眠より重いはず。


それで、ガンちゃんをこうして一生懸命おこしてるの。


「ガンちゃ~ん、ほらおきてよぉ、大変なんだって!」


繰り返し揺さぶり、体の上に乗ってボンボンはねての繰り返し。


やっとガンちゃんが、髪の毛を片手でかきあげながら、かすれた声で、これぞ男の色気!って感じの声で、やっと答えてくれた。


「透子ぉ。やっと寝たんだ。もう少し寝かせてくれ。」だって。


私は再び目を閉じそうなガンちゃんのほっぺをむにゅっとつまみ、ダメダメと連呼した。


ガンちゃんはあまりに私がしつこいので、やれやれとばかりにため息をついて、上に乗ったままの私を両手で抱えるとそのまま、くるっと抱き込み、自分の体の下にまきこんだ。


甘えるように頬を私にこすりつけ、顔中にキスの雨。


私が、もう一度「大変なのっ。」と言うと、優しくぎゅうっとして、そのまま数分。


やっと目が覚めたらしく、「何だ?」と聞いてきた。


私はそれはそれは、天使の笑顔で答えた。


「お片付けして!」って。






寝不足のガンちゃんは、リビングにくると、まずテレビの周りの惨状を見て、たばこを一本つけて口にくわえた。


うん、お片付けのご褒美は、「たばこを吸っていいよぉ、何本でもいいよ。」なの。


私の体に悪いと、禁煙なんだけど、今日は特別。


私はソファーに座って、ガンちゃんに頑張れと手を振った。


みんなが帰る前までによろしく、と、それも忘れず伝えた。


そいでもって、今日みんなは早く帰るって、という情報も忘れずに付け加えて。


たばこを咥えながら、ガンちゃんはちゃっちゃかとリビングを片付けはじめた。


たばこの灰を落とすため、キッチンに向かったガンちゃんは、すかさず戻ってきた。


おもむろに携帯を取りだし、人数を集めろ!とドスのきいた声を出した。


ガンちゃんは、その携帯をしまいながら、ソファーに座る私の傍までくると、私の首元をくすぐりながら言った。


「あとはもうないか?」と。


私はくすぐられながら、ちゃんとしっかり答えた。


「私の部屋」と。





みんなが帰ってきても、掃除は続き、保護者ズは、この惨状にとても喜んだ。


「やはり透子には、自分たちがいなければ!」と。


そう、過保護が加速したのはいうまでもない。


何でだろう?デコレーションシールを張るだけだったのに、たったそれだけのはずなのに。


ちなみに、クマのシールとカントリードールのシールの不気味さは、掃除に入った組員がシールを直視できなかった事実で証明された。



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