第48話 復帰
花粉だとばかり思っていたら、熱が出て風邪だとわかりました。
わけがわからん。
題名ともども「復帰」です。
あれから「やっほ」を連れてレイちゃんとこに戻った。
私が前総裁室秘書だった「やっほ」を連れて戻ったもんだから、何ていうの?ぎこちないの、空気が、お互いに。
「やっほ」ってば、最早私に礼儀は必要ないって感じでいたくせに、何よね、パソコン落としたくらいで、そう怒るなっていうのよ。
それなのに総裁室に近づくにつれて、私をチラチラみて、まるで助けをこう感じ。
私は知らんふりして、レイちゃんが応接室から戻るのを総裁の椅子に座って、椅子をクルクル回しながら「やっほ」を隣に立たせて大人しく待ってる。
「透子様、椅子は座るもので、回して遊ぶものではありません。それに・・・。」
そう言ってまた小言をつらつら言いだした。
ね、私ってば、「やっほ」にはちょっとは優しいと思わない?嫌な空気を私に意識を向ける事で感じさせないようにしてあげてんの、どうよ。
私が自分で自分を褒めていたら、やっとレイちゃんが帰ってきた。
私が遅い、と思い切りふてくされて言うと、
「ごめん、ごめん、待たせたかな?もう、探検は終わりなのかい?」
そう優しく笑って私を見つめ、ひょこっと私を椅子から持ち上げると、自分が椅子に座り、私をおいで、と言って自分の膝に抱えた。
そして、傍に立たせている「やっほ」をチラと感情を込めない目で見つめた。
「やっほ」が緊張しているのが、その顔色の悪さからも、握る手が白くなっているのもみてとれた
レイちゃんは、
「榊がまさか探検の宝物?どうしてここに連れてきた?」
私が何故連れてきてるか知ってる癖に聞いてくる。
だから、私は望み通り、レイちゃんにおねだりをする。
「榊さんが朝迎えにきた方が楽しいの。絶対にそう!私が楽しければレイちゃんも楽しいよ。」
私のお願いを聞いたレイちゃんは、「やっほ」に仕事の引き継ぎが終わり次第、秘書室長補佐として戻るように言った。
うん、これで、ちょっとは楽しみゲットだね。
もうじきいかなきゃならない学校交流会に向けて、自分に先にご褒美だ。
またまた茫然とする「やっほ」に意地の悪い笑みを向ける、あっちにころころ、そっちにころころ、どんな気分?
私は「やっほ」にちょっとは優しいけど、それ以上に意地悪だよね。
乙女心は複雑なんだ、そういうこと。