第36話
いよいよ新学年に上がった。
新入生を迎える準備というのは、学園側とは別に新入生名簿を作ったり、それを元に使えそうな1年をピックアップしたり、歓迎会の準備やら親睦会やらと幾らでもやることがあって、さすがに私もせっせと働いている。
シロも新年度に合わせて、伸びに伸びていたロシア滞在から合わせて帰国していた。
ホラ、伸びた理由はね、九州統括なんたらの奴らは直ぐにつぶしたらしいんだけど、例の護衛の子供集めがねぇ、・・・原因らしい。
これって、ちょっとは私も関係してるかなって思うわけ、少しだけど。
だから新しい家、うん、今度は高い塀もばっちりな凄いセキュリティーのついてる大きな家に住んでんの、マンションやめて。
その家にソウも住んでてね、離れの部屋だけどね。
だって、ここじゃなきゃ、絶対シロもコロもムーミンなんて見せてもらえる時間をくれないよ、ソウはそういう奴だ。
だから、離れの部屋にソウも無理やりお引越しよ、かわいいわんこズの為に私頑張ったよ。
そのシロの帰国の日には、帰るなり新しい家でいそいそと涙を流してムーミン見て喜ぶシロとコロの頭に花冠乗せてあげたの、そっとサプライズで。
・・・ついでにヨウちゃんにも、あげないとうるさいからね。
うん、2人の喜ぶ様子にすんごく癒されたよ、久しぶりに私もね。
あんなにパアッてカワイイ笑顔見せられたら、作った甲斐もあるってもんよ。
一生懸命フローレンのに似せて花も選んだんだから。
そんな感じでシロも学園に戻り、新入生にもシロは理事室の王子様として人気を不動のものにしてる。
あの例の山田妹も無事入学し、新1年生をまとめる黒ユリ会幹部となった。
うん、本当に覚悟した女の顔してる、いい感じ。
でもね、黒さが薫るの、あの、おどおど娘っぷりが懐かしいって思うのは何故なんだろう?
こんな感じで順調に2学年に進級しても順調に学園生活は送れてんだけど、プライベートでは、ちょっとめんどくさい事に、学園祭にこないようにお願いした時の条件の履行を、最近とみに溺愛っぷりが増した保護者ズから催促されてんの、毎日のように。
あのとんでもない大騒動の後の、またまたとんでもない子づくりの件で、このままウヤムヤにならないかな、と思ってたんだけど、しっかり催促されてんのよ。
それはね、「それぞれと1日中一緒に過ごす。」という約束。
しゃあないかなぁ、約束は約束だもんね、今日の夜はくじ引きで一緒に過ごす順番を決めよう。
私は次回の学園祭で保護者ズに暴れられる事を想像し、絶対こっちの方がマシなはず、そう心で天秤をかけ、そこら辺にある紙で、いそいそとくじ引きを作った。
うん、小学生の時やった職場訪問、あれだと思えばいいよね。
そう軽く考えていた私が甘かったのは、言うまでもない。