表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君のままに美しく  作者: そら
22/124

第21話

外はすごい猛暑だけど、私は習い事関係も休みに入り、このまま9月まで古武術の朝練がきっちりあるのみで、これもマンションでやってるので、私ってばもしかしてマンションから一歩も出てないじゃん、そう気が付いたのが今日、既に8月も半ば、私ってどれだけ?


でもね、しょうがないよね、だって面白そうな本も続きの漫画も、楽しそうなゲームも、み~んなすぐ買ってきてくれるので、外出する必要ないんだもん、今のとこ。


私の好物、私以上に知ってるよね、凄くない?


夏休みの課題のレポートに終了って喜んで日付けを入れて、えっ?って今気が付いたわけ、もうこんなって。


あれだけ自由って言ったわりには、これじゃあみんなが機嫌よく毎日おみやげを買って帰るわけだ。


でも、これといって外出したい理由ないしなあ、私はヨウちゃんが途中でほおったままのクロスワードを、いそいそとやりはじめた。


昼組みのレイちゃん、ユキちゃんは仕事中だし、夜組みのテイちゃん、ガンちゃん、キョーちゃんはスヤスヤ就寝中。


どっちつかず組のヨウちゃんとノンベンダラリと昼は過ごすことが多いんだけど、ヨウちゃんは珍しくさっき電話がきて、ただ今外出中。


それで一人で勉強も終わった私は、手持無沙汰にクロスワードの手つかずの3ページ目を解いてる途中に、久しぶりに委員長からメールがきた。


バッチシのタイミングだよね、相変わらずやればできる子だよ、委員長。


今夜早めの夕食を兼ねて、黒ユリの幹部の子達と集まるけど来ないか、って。


あの納涼祭から2週間以上たってる。


このメールを送ってくるまでの期間は委員長たちの覚悟の時間だったのだろうと思う。


それが良きにつけ悪しきつけね。


ほお、根性あるじゃん、さすが真っ黒子猫ちゃん、そういうとこ好きだね。


私はすぐさま「いく~♡」と返事をした。


そうと決まれば、まずお風呂。


洋服はこの間ドレスと一緒に作ってくれたフェミニンなワンピースが幾つもある、バッチコイ!よ。


ふふふ、やっときたわ、一人でお出かけ。


夏仕様のワンピの数々を頭に浮かべ、おしゃれ♪おしゃれ♪と声にだし歌いながら、夜組みにはテーブルに手紙を置いて、昼組みには後でメールを入れよう、そうしようと思った、だって面倒だし、いろいろとね。


問題はちょっと出てくると外出したヨウちゃん、まだ帰るなよ~、帰っちゃやーよ。


私は5分でシャワーを浴び、出かける準備をささっとすませ、委員長からのメールを受けてからわずか30分で支度を終えた。


淡いピンクのウエストをきゅっと絞った華やかなフレアーの膝丈のワンピに繊細なヨーロッパ刺繍のボレロを合わせ、髪はアップにして、これも本真珠のちりばめられたバレットでささっと止めて、おそろいのネックレスをつけ、ちょっとうす化粧にピンクのリップ。


どうよ、お嬢様のいっちょあがりだわ。


バックにはお財布、携帯、よし完璧。


昼組みが帰る前に、夜組みが起きる前に、ヨウちゃんが帰ってくる前にすたこらさっさと退散せねば。


待ち合わせのホテルのラウンジまでの時間、待ち合わせにホテルってどうよ、と思うけど、まあ、私の関与する事じゃあないからいいけど、それまでの時間は久しぶりに本屋ウォッチングでもしようっと。


これで軽く1時間はつぶせるし、その後ゆっくりプラプラしながらで待ち合わせ場所までいけばいいわね。


久しぶりの一人、燃えてきたあ~。


私はルンルンとマンションを出て、そして外の熱さに一瞬でノックアウトされた。


ここって日本だよねえ、何、知らないうちにこの暑さ。


マンションのロビーにすごすご戻り、マンションの係りの方にタクシーを呼んでもらった。


うん、体は鍛えてるけどね、精神の軟弱ぶりは鍛えられなかった、そういうことだよね。


本屋さんの入ってるデパートまでタクシーで乗り付け、ここのデパートはちゃんと係りの人がドアあけてくれるのよ、何気にセレブ気分?ってやつ。


私は本屋さんに入ると、ゆっくり平積みの本の間を流れ、新刊コーナーの海に溺れ、そうよ、これ、やっぱりたまには、この空間を楽しまなきゃあ、と思いながら、あの放浪の時期に探検したデパートの配置がもう少し変わっている事に、デパートをプラプラして気が付き、あの時から時間は流れているのかと、少しセンチな気分になった。


ここから待ち合わせのホテルは近いので、陽は沈んだことだしちゃんと歩いていくことにしたんだけど、何気にバックに仕舞い込んでる携帯を確認するとヨウちゃんからのメール、着信がたくさんきてた。


おっ、夜組み、昼組みからもきてる、ほほう、ヨウちゃん逆ギレして夜組み叩き起こしたな。


私は代表でヨウちゃんに電話をかけ、書置きにあるように委員長たちと黒ユリの女子会やるから、と話しして、夕飯は今日いらないからね、とユキちゃんに言っといてと頼んだ。


ヨウちゃんに21時には迎えの車に乗って帰る事を約束して何とか電話を切ってもらった。


そして、ちゃんと携帯には出る、他に移動する度に連絡する事も約束した。


暑いのに委員長たちの待つホテルまでヨウちゃんと電話してるうちについちゃったよ。


それにしてもヨウちゃん声に元気なかったなあ、後ろで騒いでる声も、あれって唸り声聞こえた気がする・・・うう、ダメダメ、考えちゃ、これからも慣れてもらわなきゃ。


さあ、透子、これが噂の女子会よ、用もないのにダベルのなんていつぶりかなあ。


私はちょっと期待して、そのホテルの回転ドアをくぐりぬけた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://ncode.syosetu.com/n4660q/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ