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君のままに美しく  作者: そら
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第18話

ちょっと短いかな。

外部招待者が続々やってくる中、私に追随する黒ユリメンバー達とともに、氷柱花がそこかしこにおかれ、緑の陰から送られてくるドライアイスからの風にそれほど暑さを感じない庭園に急きょベンチを増設してもらい、座る者はすわり、私はゆったりとすわってる口だけど、宵闇の時間を楽しんで、大人の所から、会う必要もない外部招待者から避難していた。


私を囲むように大勢でいるには違いないけど、さっきの軍隊アリ状態より全然ましよね、というか、とても優雅なしつらえの庭園で、色とりどりの氷柱花にあてられた幻想的な照明もとても素敵で、なおかつそこで軽くつまむサンドイッチやクラッカーがとてもおいしくて、何ていうの、私的には「よきにはからえ」状態よ。


素敵な庭園、ムードもばっちり、その上邪魔者はここに入れない。


どうよ、これ。


親たちも、あのざっくばらんの話の後、力の及ぶ限り守ると誓ってくれたし。


現在進行形で、ここって黒ユリ館屋外バージョン、それもゴージャス版よねえ。


おいしい軽食つまみながら、目の前ではプロのカルテットが幻想的な氷柱花の中、庭園で皆のリクエストに答えて生演奏をしてくれている。


ふふ~ん、これって極楽、極楽って状態だよね。


このマンゴーとキウイのジュースもおいしいし。


のんびりと皆でくつろいで楽しんでいると、続きのホールが少し騒がしくなった。


まったく演奏の邪魔はしないでよねと、ちらっと眉をしかめると、すぐさま数人の子猫ちゃんが様子を見に行ってくれた。


ツーといえばカーですな、と、委員長を見ると目で当たり前でしょ、ふふん、と答えてきた。


はいはい、そーでございますか、皆さん優秀ですこと、と私も目で返す。


ところが、私が呑気にまったりと楽しんでいられたのは、ここまでだった。


すぐに戻ってきた仔猫ちゃんが顔を上気させて報告するには、


「あの神林コンツェルンの若き次期総帥が代理ではなくご本人がいらっしゃった。それで、それに気付いた人間達の間で騒ぎになっている。」


というものだった。


その超VIPの出現に年頃の娘を持つ者も勿論、直接名刺交換でもできたならと皆目の色を変えて、少しでもお近づきになりたい一心での大騒ぎだという。


・・・きたな、とうとう。


レイちゃんがいるなら皆もそろっているはず。


こっちにくるなよ~、私は関係ないはずよ~、との祈りを込めて、


私はおかわりのマンゴーとキウイのジュースをちゃっかり頼みながら、カルテットの皆さんに初めて今宵曲のリクエストをした。


クラシックなんてあまり知らんもん、保護者ズの出方をあれこれ考えながら、スターウォーズのダースベイダーのテーマを頼んだよ。


さすがこんなところで演奏するカルテットの皆さんは、そのリクエストに何の表情もかえず、あのヴィバルディの流麗な演奏の後に、ダースベーダーのテーマソングを見事に演奏してくれた。


ダン・ダン・ダ・ダダダ~、と。


お行儀のいい子猫ちゃんたちはヴィバルディ同様優雅に表情も変えず聞いている。


ひときわ大きな音が出た時に、それに合わせたかのように、ホールからは先ほど以上の不穏な空気がダダ漏れになって庭園まで漂ってきた。


続いてFFのセフィロスの片翼の天使リクエストだな、と思い、保護者ズが現在大金をかけて対戦してるマリオ&ルイージのラスボスも演奏できるか聞いてみようかと暗くなった空を見上げて私は思った。

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