第2部 第26話 笑えばいいよ
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遅いけど、本当に。
私立西垣高校のみなさんの歓声は、私の耳にはこう聞こえた。
「すげえ、今どきこんなバカみたいなもんするやついるんだ」
「どこの素人劇団?笑える~」
他にも、ええ、他にもいろいろと私の脳内でいろいろ変換されました。
もちろん私とてそりゃそうだよね、と思いはしても人に笑われるなら憎まれるほうがいい、そう思う私は誰にもしられる事なく一度深呼吸をそっとすると、かすかに目線を一度下げ自分に一呼吸の猶予を与えた。
そうしてからこの愚かしい歓声をあげる生徒たちの親玉どもに再び意識してにっこりと優雅に微笑みかけた。
「なめんなよ!」の世界だ。
ガンちゃんがおバカをした時になんか私がよくやる微笑みだ。
それを向けるとあのガンちゃんが「やめてくれ~」と懇願する微笑みに絶対零度の視線のおまけつきで。
彼らは私を見ると一瞬びくりとし、え?え?と何がなんだかわからないままに慄いている。
「こんな素敵なお出迎え初めてですわ。とても新鮮でここの学園に短い間ですけど通えるなんて楽しめそうですわ、ええ本当に楽しみです」
そう言いながら校舎の窓に鈴なりになっている生徒たちの方に体全体で向き合い、私的には最大限のブリザードを放ち見つめ続けた。
1分、2分、少しずつあのうるさい声達がおさまりはじめ、やがて5分もたったころには校舎の窓からは声がしなくなった。
ふん、最近までバカロンの所にいた私のバージョンアップした本気のブリザード攻撃を舐めないでよね。
これに関してはスキルがあるならカンストレベルになったに違いないはずだもの。
あの中国でのいろいろな出来事を思い浮かべ、なおさらゴゴゴと湧き上がる何かに、出迎えてくれたはずの生徒会の皆様の顔色が悪いのを見て少し溜飲を下げた。
・・・うちの学園の1年のひよこちゃん達は何故かうっとりしてるけど、これは見ない方向で。
こうしてわずかばかりの交換生としての私の立ち位置はこうして決まった。
「女王様とお呼び!」だ。
きっとここの生徒の誰かが耐えきれず何かを言ってくるだろう。
その時私は「王道ですが何か?」と言ってやり高笑いしてやる。
委員長のそれはそれは冷たい視線を思い浮かべ、うちの保護者ズの大爆笑したいのを私の手前必死にこらえようとする姿も思い浮かべた。
ガンちゃんとテイちゃんの猛犬の癖に「駄犬です」と額にはってある姿と、そしてこの二人は私の乙女心を思いやるわけもなく隠すことなく腹を抱えて大爆笑するに違いないこともわかった。
私はまたもや1段階冷えたものを抱え交換生として私立西垣学園に足を踏み入れた。