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君のままに美しく  作者: そら
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第2部  24話  ひまなわけじゃないはず

少し学園に話しが戻ります

 それなりに楽しんだ夏休みがあけ、新学期初日に真面目に登校した私はそのまま黒ユリ館に顔を出した。


 新学期初日から数日は全員揃う事はあまりないのだ、この学園は。


 長期休暇はたいがい海外で過ごす人間ばかりで、帰国も本格的な授業が始まるのに合わせてが多いので、学園側も最初の数日は何も組まないのでホームルーム三昧になる。


 まして3年生である私や委員長などは、学園からのたっての願いでこのまま付属大学にあがる事に進路は決定している。


 奨学生だとかいろいろおいしい条件を提示され、すかさずオッケーした私に他のメンバーもそれにならったため外部受験する黒ユリメンバーは3年生にはいない。


 そのためついついのんびりしてしまい、外部受験組みの子たちに悪影響を与えるないように!と強いお叱りを何故か委員長にもらい、それと同時に「なるべくここにいて欲しい」という指示も受けて今に至る。


 やっぱり最近の私への扱いひどくない?


 あの1年生の頃の私に対するうやうやしさはどこいったのさ?


 私はぶつぶつ文句を心の中で言っていたが、ふと視線を感じてみると委員長と目が会った。


 はい、あの冷えた眼差しに、思わず両手をあげて白旗を出し降参しました、私は。


 何で委員長はじめメンバーの彼女らはこんなに強くなったんだろう?


 おかしい、どっかおかしい、こんなはずじゃなく、もっとキリリとこの学園を支配するはずだったのに。


 

 まあ、いいか、今さらキリリとやった所で、「場所と相手を考えてそれはやれ」と言われるだけだ。


 「いわゆる女優ね」と一度私が何気に言った時に帰ってきた答えは、「いえ、道化よ」だった・・・。


 やはり違うよね、何か納得できない。


 そういう娘たちを見て、これが私の影響だと目を細めて喜ぶ親御さんたちに、私は曖昧に笑うしかないよね。







 午後になり皆のおみやげも全てあけ、おみやげ話しをワイワイお互いしながら優雅なティータイムになった。


 午前のホームルームなんて誰も出やしない。


 午後の気だるさに浸り、私はいまだ燦々と輝く窓の外を眺め「暇だね~」と思わず一言声に出していた。


 その私の言葉を聞いた委員長の目が瞬時にキラン!とした。


 そうして急に優しく微笑みながら私を見る。


 え?うそ、絶対これはヤバい!私も委員長が私を理解するように彼女の事が少しはわかるようになってきている。


 こんな人の良さそうなニコニコ顔の時なんてずばりロクなもんを考えてない時だ。


 逃げろ、逃げるんだ透子、今すぐに。


 私は内心のあせりを出さぬように気をつけながら、優雅にカップを置くと自然に立ち上がった。


 そのまま「ごめんなさいね、少し教室にもどる用事を思い出したの、先に失礼させていただくわ」


 と、本当なら一目散にここから退散したいのを押え、ゆっくりと皆を見回し部屋を出ようとした。


 そこに案のじょう委員長から声がかかった。


 「まあ、ちょうど良かったわ、透子様、私もご一緒させていただいてよろしくて?」


 と聞かれた。


 きた!絶対やだ!何か企んでるぞ!負けるな私!ここは頑張れ!


 私は振り返りながらうまいこと断りをいれようとしたが、その前に委員長からすかさず爆弾が投げつけられた。


 「透子様もご退屈のようで、そんな透子様にうってつけの事案がございますの。誰か2学年のメンバーに、とも思いましたけど本当に良かったですわ。早速お手続きにまいりましょう」


 ノンストップにそのまま説明をしながら私の隣りまで並ぶと向こうの責任者との折衝はやっておきますね、そう言いいながら私はずるずるとあれよあれよという間に学園長の部屋まで委員長に連れて行かれた。



 出す手も足もなく言われるがまま連れて行かれた、完敗だ。



 勢いに弱い自分をあらたに発見し、その事実に茫然としたまま私は来週早々、今度うちの系列に併合されるという私立西高に短気交換生として派遣される4人の中に入った事を知った。


 そんなの急に決まる訳ないじゃん、誰かいたはずでしょ、そいつにそのままいかせろ!


 そう言おうとした私は委員長の何か問題でも?と言うきつ~い視線に耐えきれず、「イエス・マム」と素直に答えたのは言うまでもない。


 どうやら行く予定のその1人は、長い夏季休暇にもかかわらず更に帰国を先延ばしているという。


 理由は「運命の人に出会ったから」だそうだ。


 あまりのおバカさに委員長がその対応に夏休み終了日の前から追われていた所に、おいしいエサが自分から「ひま~」と言ったらしい。


 バカだ、私、常々あのガンちゃんでさえも言ってるじゃないか。


「どこで何がおこるかわかりゃしねぇ、油断は自分にさえさせるな」って。


 



 こうして私は夏休みあけ早々、特大の猫をかぶって系列に参入する高校にいくことになった。


 3日間、されど3日間、うちの保護者ズはあきれて笑うに違いない。


 特に2人ほどはそれはもう私を大笑いするに違いないのが目に見えるようだ。


 保護者ズは私が委員長に振り回される様子が嬉しいらしい。


 年相応の女友達に振り回される私を見るとほっとすると言う。




 


 こうして進路も決まっていて残りの学園生活をのんびりするはずの私は委員長によって「邪魔」とばかりに蹴飛ばされ短気交換生として派遣されることになった。




 「後の3人って誰なのか聞いてもよくて?」


 私が委員長に気になるので聞くと1年生の名前がすかさずあがった。


 その名前は私も知っていた。


 迷惑な私フリークな奴らばかりだった。


 ・・・・終わったな。


 ニコニコする委員長に覚えてろよ、と心のメモ帳にしっかりと書き込んだ。


 

 あの1年達、私を崇拝するあまり、その崇拝だって勝手に脳内妄想でひどいものだ。


 その1年に目の仇にされていたらしいとは聞いていたけど、よもや関係ないはずの私に委員長からのとばっちりがくるとは思わなかった。


 私か、私が悪いのか?そんなの八つ当たりじゃん!


 でも、言わない、言っちゃいけない。


 委員長の完全進化体に逆らっちゃいけないと本能が叫ぶから。


 ああ、あの頃のツンの委員長が懐かしい。


 


 私はあきらめて来週早々いく西高とやらの資料を読む事にした。


 男より女の怒りの方が恐ろしいって真理だな、と思い肝に命じておく。


 


 


 


 

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