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君のままに美しく  作者: そら
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第2部  第23話  帰国

 なんやかんやと言いながら、私達はギリギリまでバカロンの所で遊んでいた。


 夜組みならともかく昼組みはだめなんじゃないの?


 私がそう聞いたら、何の問題もないと言っていたからそうなんだろう。


 そういう事にしておく。


 ユキちゃんの、


 「なに、私より腕の落ちる者達が手術して、何人かは助からない事もあるでしょうけどね、そのくらいでしょう」


 の言葉には、心のちょびっと片隅で、決定事項らしいその方たちには「ごめんね、タイミング悪かったね」と祈っておいた。


 だって私は私が一番だもの、しょうがないよね。




 後半は遊び倒して、そうしてやっと帰ってきた我が家。


 おみやげにはバカロンから何とコロとシロをもらってきた。


 なんかガンちゃんとこから黒幡に出向という島流しにされたらしいソウも必然的についてきた。


 ソウが、「あいつら俺のガードなのに、俺がおまけって、そりゃあねーわ!ねーぞ!聞いてんのか!」


 って、ずっとブウブウ言ってるから、


 「じゃ、あんただけ中国帰れば」 そう言ってやった。


 「俺を欲しがる奴らはいっぱいいるんだぞ」


 そう言いながらまたうるさく言うものだから、ソウの弱点、ガンちゃんに「ソウがうるさい~」

 

 と泣きついてやった。


 ふん、いっぱい怒られてやさぐれてそうやって沈んでいればいいよ!ソウなんて!




 久しぶりのムーミン鑑賞にニコニコなコロとシロ。


 私が良い子良い子と頭をなでてやると、嬉しそうにする。


 ビスケットとココアもつけて、私は何ていい飼い主なんだろう。


 まあ、長い休みには、またちみっ子たち、というよりバカロンに会いに行くのが条件だったけど。


 殴り合いをしてから、何かバカロンとうちの保護者たちの空気がちがうんだよね。


 何て男って単純なんだろう。


 やっぱり男にかじ取りさせちゃ危ないわ。






 私の背中にはりついて私を抱き抱えるようにしてムーミン鑑賞をちゃっかり同じようにしてるヨウちゃんにはおやつはあげないの。


 帰国を待ち構えていた部下の皆さんの願いむなしく帰って即効ムーミン鑑賞5時間ぶっつづけだもん。


 働くもの喰うべからず!だよね。


 私が言えない気もするけど。




 ユキちゃんもレイちゃんも空港からそのままお仕事場に直行した。


 夜組みもいろいろたまった事を片付けにいくのにそのままお仕事にいった。


 あのガンちゃんでさえ、「久しぶりの日本!こんなに早く帰ってこれるなんて、さすが俺!」とか言ってたソウを、そのまま引きずるようにして仕事に連れていった。


 たんまりとやらせる事があるんだって。


 うん、そのたんまりに期待してるよ、私の声に出ない思いをわかったかのように、ガンちゃんはそれはそれはアクドイ迫力ある笑みを浮かべて俺にまかせろ!とばかりに私を見て、ソウを見た。


 その空気をきちんとよんだ逃げ腰のソウの首根っこをつかんで、これもまたあっという間にいなくなったんだ。


 


 かわいいコロとシロに癒されながら、ちょっとウトウトしかけていた私に耳元でヨウちゃんが何気に言った。


 「来年、前住んでいたとこのお隣さんの娘がお前の学校にくるぞ」と。


 ふ~ん、合格圏内なわけね、あの学校訪問の中にあったあの人の妹の希望届けは嘘じゃなかったんだ。


 「つぶすか」


 そうムーミンを見ながら言うヨウちゃんに、私は「別にいい」と答えた。


 ちょうどムーミンではあの魔法使いが宝石を求めている場面だ。


 わざとこのタイミングでいったわけじゃないよね。


 私はヨウちゃんならムーミンの全てが大好きなヨウちゃんならありうると、胡乱な目をしてしまった。




 みんなと出会った時もそれからも、彼らは私が傷つくと全ての力でそれを葬ってくれたし、私が黒ユリとして動きだしたら、今度はそっと見守ってくれていた。


 きっとわからない所で彼らは動いていたんだろうけど。


 だけど私の、元の私の全てを壊した彼には、一つも触れようとはしなかった。


 私の家と彼の家には何一つ。


 けれど今回こうして初めて聞いてきた。


 普通なら私がわからないうちにもいろいろしているくせに。




 そうか、それだけ私の根本にかかわる事だと彼らは思っているのか。


 もうそんなことはないのに。


 今は何一つ思い出す事もないのに。


 私はもう一度平気だ、気にすることはないと答えた。


 画面では魔法使いが、ムーミンの登場人物で一番ヤバい彼のアップになっていた。


 


 


 

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