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君のままに美しく  作者: そら
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第2章  第15話  だから大人は

 普通は高校3年の夏休みなんて、受験一色か、何にしても「将来を考えて」なんて、どう考えたってそりゃリアル無理じゃない、まだまだ何もわからない子供なのにって、それでもその将来の選択肢をせまられる期間で、本当に厄介な時期なんだと思っている。


 けれど私も含めてほとんどがそのままエスカレーターで付属の大学に上がるので、成績さえキープしていれば全然オッケーなので、こうして私は嫌な事はさっさと終えて高校最後の夏休みをエンジョイするべく夏休みの初日から、こうして中国にいたりする。


 終業式の午後には出発したからね。


 もちろんうちの保護者ズも全員集合で。

 

 ちょっとした旅行気分で、少し私のテンションも高いんだ。


 私が嬉しそうなのを見て、もちろん、うちの保護者ズも機嫌がいい。


 帰りマカオでもよって遊ぶか?なんて言いだすくらい。


 もちろんバカロン持ちで、当たり前、ニヤッと笑う私達は以心伝心だ。


 中国につくと上海郊外のバカロンの屋敷に迎えの車で案内された私達は、まるで一つの町みたいな大きさのそれには、さすが驚いた。


 周囲を大きな門で囲まれて、その範囲は見渡すこともできないくらい。


 入口から、その屋敷まで、嘘みたいだけど車で10分以上かかった。


 広い上に警備も、ものものしくて、3回ほどチェックを通ってやっとついた。


 屋敷と思って通されたそれも、入口の建物でしかなく、そこの中庭を通り抜けて、更に公邸を抜けて、やっとバカロンの私邸に入る。


 何てばかばかしい広さなんだろう、さすがあのバカロンだ、やっぱり残念な奴だ。


 こういう屋敷が幾つか他にもあるらしい。


 ここが一番最新の屋敷であり、私達はその屋敷に案内された。


 それぞれごと部屋に案内されて、私は軽くシャワーを浴びて着替えさせてもらった。


 ここまで案内してくれた李さんというバカロンの側近、あの私を拉致した時もいた人だから、側近中の側近らしい人だけど、中国にいる間は、私の世話役として、私のそばを離れないと説明された。


 うちの保護者ズには全部で2人世話役の人がついてる。


 そうして、私には李さん筆頭に5人・・・・。


 何の嫌がらせだろう、これで楽しい事がなけりゃバカロン覚悟しといたらいい。


 乙女の怒りの怖さ、教えてあげようじゃないか。


 私達には全てのものが用意されているというので、着替えすらも持たないできたけれど、私が着替えたこのワンピ―スも、とても上品なデザインの素晴らしいものだった。


 私が着替えてでてくると、李さんが母国語としか思えない綺麗な日本語で、


「透子様のものは、全て龍帝が手ずからお揃えになったものです。とても良くお似合いでございます。」


 と、本当に嬉しそうに笑うものだから、これがバカロンが言ったのなら「へ!」って鼻でバカにしてやるんだけど、超紳士的な李さんだから、つい私も大人しく、「ありがとうございます。」なんて言っちゃうんだ。


 私、こんなキャラじゃないんだけど。


 ・・・恐るべし!李さん、だよね。


 そのままきてほしいと案内されて、まるでサンルームみたいな明るい大きな部屋に入った。


 そこはおとぎの国のように、真っ青なけがれのない青空の描かれた壁紙に、沢山のおもちゃに囲まれ、ピンクの制服を着たベテランと言った年代のおばさま達が10人くらいいて、はいはいする赤ちゃんたちの面倒を見ていた。


 李さんが、その中の一人、丸くふにゃふにゃな赤ちゃんらしい赤ちゃんの体形の男の子を恭しく抱き抱え私に手渡した。


 突然の事に、とっさに赤ちゃんを受け取ってしまったけど、とてもその重みをぐっと感じ、落とすのが怖くておろおろする私に、李さんは、


 「次代の長であられます、我らが龍帝と透子様のお子様で、私どもは「小龍様」とお呼びしております。」


 そう言ってとてもとても嬉しそうに私の腕の赤ちゃんを見つめる。


 私は生まれた時も写真一つ見ようと思わなかった。


 「守るもの」でも、その子らは私でない人が守るであろうし、日本には、いつか保護者ズの子供達が帰国するだろうけど、その事に対してもあまり関心はなかった。


 だって、私がそれに関わったっていう実感が少しもなかったんだもの。


 それなのに腕にだく赤ちゃんは、凄くどしっと重くて温かくて、私に手を伸ばし、頬に触られる感触に、その声に、「生きているんだ。」って急に実感した。


 どうしよう、これ、この生き物・・・・。


 茫然としていると、足元に抱きつかれる感触がする。

 

 足元を見ると、他の赤ちゃんが、はいはいして、それも凄いスピードでやってきて、私の足元にまとわりつき、手を持ちあげてきたけど、私が茫然としている間に、次々と泣きだした。


 えっ、えっ?えっ?


 その大きな泣き声の大合唱に、頭が真っ白になり、ただ立ち尽くしていた私は、ピンクの制服のおばさま方に、必死に目を向けた。


 助けて!と。


 ニコニコ、ニコニコ・・・するおばさま方。


 もう一度必死に目で訴えるけど、ダメだ、何をそんなに嬉しそうに笑ってるの?


 私は泣くよ、今なら私が泣く自信がある。


 こうなりゃと、すぐそばの李さんをすがるように見る。


 すると李さんは、嬉しそうに、


 「ええ、透子様、さすがでございます。我らが長との大事な小龍様のみお抱きになられる。ええ、ええ、立場の違いをお教えになるのも、確かに必要でございますとも。」


 そう言ってニッコリ笑って、他の私についているいかつい人達も満足そうに、うんうんうなずいている。


 ち、違うだろ~、これ!。


 その心の声は、低い怒りの声で終わりを告げた。


 「あぁん!」というドスの効いた声と「ほぉ!」という軽く言ってるはずなのに、ドスの効いた声以上の恐ろしさを秘めた声で。



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