第2章 第12話 あのさ・・・・
デレデレに、やにさがる様子を見せる癖に、バカロンの目の奥には、熱がない。
ただ、面白がるような光があるだけだ。
まあ、この光でさえ、ヨウちゃんに言わせると、私にだけにしか見せない、らしいけど。
それをどうとれ、と言うのさ。
いい迷惑だ、おもちゃじゃない。
私はバカロンの手を優雅に微笑みながら、見えないようにつねって外して、マイクの前に立つ。
ああ、そういえば、3年になって、マイクに立つのは入学式の頃以来だな。
うん、委員長達の視線がこれ以上、更に悪化する前に、のんべんだらりとサボるのも、そろそろやめた方がよさそうな気がする。
2回に、いや、3回に1回くらいは、などと頭の片隅で考えながら、生徒達に向かって私は話し始めた。
「私が以前、お話しした事を覚えているでしょうか?新入生の皆さんは初めてになりますね。」
「私はこの学園の生徒には、自分の頭で考え、しっかりとした足で立つ、そういう女性になって欲しいと思っています。」
「自分の血筋、家柄、家の持つ権力、それらをきちんとふまえて、それに流されず、反対にそれらを上手に流す方の人間になってくれたらと望んでいます。」
「その手助けの為に、我が黒ユリ会があり、ここでの学びがあると考えて下さい。」
「お忙しい中、本校にいらっしゃって下さいました来賓である王維様が、わざわざこのようなお話しをふって下さいましたので、この点について私からも一言言わせて頂きたいと思います。」
「異性とのお付き合いもまた、おなじ事です。皆さんが、純粋に思う事ができる相手に出会える事を、もちろん私は望みます、けれど現実の問題として、皆さんの立場では自由がきかない事も多々あるのも事実でしょう。」
「では、それが異にそまぬ相手だったら?、お付き合いを泣く泣く受け入れるしかない?あなた方がそれをどう捕らえて生きるかは人それぞれでしょう。けれど、我が学園生であり、我が黒ユリ会のメンバーである、あなた方には、あえてこう言わせて下さい。」
「そんな男など、自分の足乗せ台と思え!と。」
「あなた方は一人ではありません。何、足乗せ台にもならぬような人であるならば、皆の力で、その方には退場してもらうまでです。」
「私達が1で、他はそれに追随するものと、たかをくくって生きていくのも楽しいとは思いませんか?」
「もう一度この言葉を送ります。」
「元始女性は太陽であった。」と。
「けれど、足乗せ台には、足乗せ台でしかないと、わからせてはなりませんよ。」
私が笑顔で最後の言葉を、チラリとバカロンに目をやって言うと、講堂にはクスクスと忍び笑いがあふれた。
私が最後の学校長の挨拶のため、椅子に戻ろうとすると、さりげなくバカロンがついてきて、私をエスコートする。
こいつ・・・・。
そうして、私が椅子に座ると同時に、私の前に膝を立てて体を沈め、そっと私の足を持ち上げ、・・・・自分の膝に私の足を乗せた。
誰も学校長の話など聞きはせず、大歓声があがったのは言うまでもない。
それより、パンツが見えたらどうすんだ!つーの!