刻まれる時間
私は余り詳しく病気に詳しくはないので、何か間違えたことを書いているかもしれません。
また、薬物を乱用していたり血を吐いたのかと思わせるようなことが極一部ですが書いてあります。
苦手な方は読むのをお控えください。
彼の職業は医者だ。
見た目からして医者になって四、五年というところだろう。
「今日の診察も終わりましたね」
彼は、病院に同じく勤務している白衣の男性にそう告げる。男性の年齢は三十代後半辺りだろう。
「そうだね。今日もありがとう御座いました」
白衣の男性は自嘲気味に言う。
「それは、オ……私のほうから言わせて頂きたいお言葉です。無理言って、この病院にも勤めさせて頂いているも同然ですので」
彼は握りこぶしを作りながら言いたいことを言い切った、とでも言うような顔をしている。
その顔をみて、微笑むを浮かべる。
「それよりも、今日は大学病院のほうに何か用事があったのではないのですか? 昨日はそのように仰っていたような気がしたのですが……」
男性は記憶を辿りながらボールペンを紙の上ではしらせる。何を書いているかは不明だが、日本語ではないようだ。
さっきまでは、そのようなことはしていなかったのだが。いったい、これにはどんな意味があるのだろう。
「そうでしたね。本日も有難う御座いました。では、お先に失礼させて頂きます」
彼は男性に一礼してから歩こうとした一瞬。
その場に倒れこむような形で座った。立ちくらみだろうか。顔に手を当てて暫くいや、そんなには時間はたっていないが、何か考えるように動かない。
その状況に気付いたのか、ボールペンを止めて彼のほうを男性は見る。
「だ、大丈夫ですか? 鮎川君」
ほんの数秒だけ間が出来た。
「大……丈夫です。それでは、先を急ぎますので……」
歯切れが悪いが呼び止める間もなく彼、鮎川はその病院を後にした。
病院を後にした鮎川は大学病院に向かった。
理由は二つある。
一つはそこで勤務をしているという理由からだが最近は全くといって勤務を放棄している状態だ。
もう一つの理由は彼自身の診察、問診のためだ。
診察といっても、もう、手の施し様のないところまできているのでただ、病状が何処まで悪くなったかを聞くだけだが。
「あの仕事場もそろそろ、見納めかな。
結構、いい人ばっかりでよかった勤め先なんだけどな。仕方ないか」
鮎川は薬を手に取り出して飲んだ。
その場に水はなかったが、もう、慣れたものだ。
薬は必要な最低限、飲むなと言われているがそんなことは関係ない。苦しくなったら服用する。その繰り返しだ。だから、よくはならない。鮎川自身もこれ以上、生きる意味も見出せないからと薬を制限以上の量をを普通に飲んでいる。医者としての威厳はそれこそ無い。
ただ、いえるのは彼は自分の人生を楽しんでいることだ。自分がこの、病気になったとき診察した医師にたいして笑って答えた。自分が何時死んでも可笑しくないという状態だといわれても表情一つかえなかった。病名を告げたときも鼻先一つだけで話を先に進めろという具合だった。まるで、自分の身体を気にしていない。
彼の身体はボロボロだ。
「鮎川さん……もう少し休まれたらどうです?
進行形の癌ですけど、普通に過ごしていればこんなに進みませんよ。進みが速いのは自分でも分かりきっていることだとは思いますけど。
大体、アナタに聞かせて本当にいいのですか? こういうのは家族に聞かせてから……」
鮎川は口うるさく自分の病気の進行度について指摘する担当医の前で口に人差し指を一本立てる。
何も言うなということだろう。
「うるさいな。
進行したって俺は構わないの。今が楽しければ。
後ね、俺の性分として他の奴に知られると困るから誰にも言うなよ。
突然、血を吐いて倒れたって周りに誰も居なければそのまま逝けるだろう。そのほうが俺に取ったら楽なの。家族には一番、心配かけたくないしね。
あと、持って三週間も無い。俺だってそれぐらいは分かってるよ。入院はしない」
余裕そうな笑みを浮かべているが目の前にいる担当医はタメ息を一つはいた。彼が笑う意味を知っているからだろう。
「無理をしないでください。私にまで、そんな振る舞いをして……。辛いときは辛いときで。それらしい顔をしていれば良いのです。私の前だけでも」
「可愛くないな。昔はあんなに可愛い後輩だったのに。今では、口うるさい担当医か。
辛いときに辛い顔をしていたらそれこそ、負けを認める行為だ。
辛い、辛い。そうですか。それなら、嘘を吐いてでも笑顔で元気に振舞ったほうが俺も楽だし周りの人にも不快を味合わせずにすむだろう。周りに不快な思いをされたほうが俺としてはそっちのほうが辛い」
担当医の言葉を遮るかのように気持ちを伝える。
鮎川の気持ちは一切変わりはしないだろう。
「病気のときは無理をしないでください。と言っているだけです。甘えても良いです。だって、病人でしょ。病人じゃないのですか?
はっきりと言わせて貰いますと今死んでもおかしくないんです。アナタが無理するからっ」
返事が返ってこないと思い鮎川の担当医は鮎川を見る。だが、さっきまで鮎川がいた所には誰も居なかった。
だが、その足元に何かがある。
考える間もなくそれが何なのか分かった。
それは鮎川だった。彼の手を見ると血の色で染まっていた。
数日後
鮎川はあの後、この世からいなくなった。
きっと、延命治療も家族に連絡を取られるのも望んでいなかっただろう。
「私は鮎川の後輩の安藤と申します。
このたびは急なことですのでかわりに私が代わりに参った始末です。
先日、彼は病気のためこの世を後に旅立ちました。こちらで、鮎川は働いていたようで……」
そのため、最後の言葉を聞いた鮎川の担当医、安藤が彼の最後で初めての頼みごとを聞いた。手紙をそれぞれに届けるだけの楽な頼みごとだ。
「彼が亡くなったというのは本当のことだったのですね。
アナタは鮎川君の?」
鮎川との関係だろう。それは、気になるところだろう。他人からとってはどう見てもうまが合いそうな見た目ではない。また、初めに名乗ったが、後輩とも見た目からして思えないだろう。いや、ただの後輩ならこのような手紙を届けるなどということは頼まれないとでも思っているのか。
「鮎川は私の尊敬する先輩で私が主治医をしていました。
連絡が遅くなってしまったのは失礼なことだと思っています」
言葉を一度、区切り鞄から一通の手紙を取り出して丁寧に目の前の人物に渡す。
「これは、後輩としてあなた方に預かった手紙です」
手紙を受け取った人物は意外そうな顔をしていた。
「ご丁寧にどうも。彼にもこんな優しい教え子がいたとは以外ですね。
彼のことですから、もう少し柄の悪い教え子でも驚きはしなかったのですがね。手紙、読ませていただきますね。
このたびは誠に有難う御座います。鮎川君のご冥福、お祈りいたしています」
「親族の方々に伝えさせて頂きます」
安藤は一礼してからその場を去った。
さっき、手紙を取り出した鞄にはまだ何通もの手紙があった。
「世話の焼ける人ですね。最後まで強がって、無理して他人を最終的には不幸にする。
きっと、ああいう人が不幸を振りまくんだろうな」
そういいながらも手紙の住所を確認してあて先の人物の元へ向かった。
初めまして。
此処で小説をあげるのは初めてですのでドキドキしています。
何故、初めてでこのような作品を上げるのか分かりません。
何か短編でかけるものは無いかとデータを探していたらこれが出てきたので書かせていただきました。
もう、どのジャンルなのか全く分かりません。
はっきりといって名前が安藤以外は決まっていませんでした。
元々のデータでは鮎川は関となっていましたが、元々のデータでそのまま書いていたらこの名前は思いつき? それとも何も思いつかなかったの? ギャグ? みたいな反応になってしまっうと思いましたので関から鮎川に変わりました。
ボロボロな駄文ですみません。