第一話「遭遇」
見ているのは日本?何で?
見た感じ活気がないような・・・て言うか誰も居ない・・・
周りは少なからず崩れている・・・この夢は一体・・・。
チュンチュンッ チュンチュンッ
朝を告げるかのようにスズメが鳴いている。
「ん〜、新しい高校生活が始まる!」
眠そうな自分を起こすように目を擦りスマホで時間の確認。
眠かったのが嘘のように歩夢は元気よく荷物の再確認をする。
清水歩夢は令和6年(2024)の4月から世田谷区の東京都立未来川高等学校に通う男子高校生。
明るい時もあるが、その反面現実主義者であるが故に暗くなってしまう変わった性格の持ち主。
「よし、OK!」
再確認と朝食、着替えを済ませ行こうとした時、母紀華の声がした。
「マスク忘れないでね」
それを聞き、何かを思い出したようにマスクを取り学校へ言った。
それは今から3ヶ月前に遡る。
その時は中学校生活のカウントダウンが迫っており、残り時間を楽しく過ごそうと思った時期だった。
あのニュースが来るなんて。
「横浜港を出港したクルーズ船サファイア・プリンス号の乗客で、1月25日に香港で下船した70代男性が2月1日に新型コウバイドウイルスに罹患していた」
と報道がされ、大きな学校行事がどんどん中止に…
楽しい思い出を作ることができず中学校生活が終わってしまった。
高校生活ではどんな思い出が作れるのだろうか…
そんなことを考えながら最寄りの駅に向かっていると、コンビニの脇に白いボサボサ髮の背の高い男子高校生が座っていた。
見た感じ痩せ細っていて心配のあまり、声をかけることにした。
「あの…大丈夫ですか?」
「あ…いや…大丈夫です。ただお腹が空いているだけで…」
歩夢の手にしていた弁当を見ながら言う。
「もし良ければ食べてください」
数分が経ち、自分の弁当を見ていたのに気づき、目の前の男子高校生に手渡した。
「いただきます!」
いきなりのことでびっくりしていたが、お腹が空いていた事もありすんなり受け取った。
その後、歩夢はスマホで時間を確認し、御成門駅へと向かった。
「昔から困ってる人によく会うよな〜」
3.4回電車を乗り継ぎ高校に向かっている歩夢は、小学生の頃のことを思い出す。
その頃は、困っている人に今までで一番会っていた時期だった。
病院の近くでミライと言うロングヘアの女の子や大人数に囲まれいじめられている男の子を助けた記憶が今でも鮮明に覚えている。
「あの時に会ったミライちゃん…今は元気にしてるのかな?」
そんな事を考えていると、どこからか名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
「歩夢〜♪」
声のした方向に目を向けると、マスクから隠すことができない程の満面の笑みで走ってくる一人の女子生徒の姿。
「もしかして、しおり!」
「うん!そうだよ!」
女子生徒の正体は、森井しおりだった。
しおりも歩夢と同じく今年から未来川高等学校に入学する新入生。
2人は中学が同じだったため、とても仲の良い間柄である。
「久しぶり!」
「久しぶり歩夢!」
「そういえば中学の頃はツインテールだったけど、ポニーテールに怖ったんだね!」
「ツインテールにしたかったんだけどね、子供っぽいからポニーテールにしなさいって母親に言われちゃって」
「しおりのお母さんって身なりに厳しかったっけ?」
「そうなの!とても厳しくて!」
そんな他愛のない話をしている間に、校門の前まで来た。
2人は、楽しく話した時の和やかな表情から緊張の表情へと変わり、深呼吸を数回…
校門を鳥居を潜るように入る。
「教室は2階の図書室の左隣にあります」
「分かりました。ありがとうございます」
辻由美子教頭先生にお礼を言った歩夢としおりは伝えられた場所へ、扉の前に着き上を見ると札には「希望組」と書かれていた。
「希望組ってことは明るいクラスなんだろうな〜」
ガラガラガラ…
ウキウキぎみに扉を開け教室に入ると、椅子と机が9つずつ配置されており、6人の生徒が座っている。
入学初日の緊張からか、全体の空気が重い。
そんな事を感じながら自分の席に座った。
タタタタタタタタタ…
入学式会場移動10分前、準備が終わり歩夢が読書をしていると、廊下から慌てているような足音が聞こえ、そこから数秒もしない内に扉が開く。
「よし、間に合った!」
息を切らしながら言い、歩夢の隣の席に座る。
「これからよろしくお…え…」
読書の集中から離れあいさつを交わそうとした瞬間、びっくりで言葉を止めた。




