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2話

 


「無能?」

「なにそれ?」

「無能って、何のスキルも持ってないってことだよな?」


 村人たちの侮蔑が突き刺さり、圭太は体がカッと熱くなるのを感じました。


(見るな! こっちを見るな! 蹴散らすぞこの野郎!)


 内面の激しさとは裏腹に言葉を発することはしません。黙ったまま、奥歯を噛みしめる。それが黒部圭太という人間です。


「せっかくの祭りなのに縁起が悪いったらない。やっぱりあんな奴を村に入れるべきじゃなかったんだよ」

「村長だ、村長が悪いよ、かわいそうとか言って余計な温情をかけるからだよ」

「さっきまで楽しかったのに台無しだ。酒がまずくなる」


 村人たちの声は、更に力強さを増していきます。


 圭太が何も言い返さないことと、そして人数が多いことを自覚している為、自分達が優位に立っていると思っています。なので聞こえるように文句を言ってきます。


(うるせえ!黙っとけよこの野郎!)


 憤る圭太の目の前では、ポーター司教が「無能だ……」と寝言のような呟きを繰り返しています。


(……おい、ジジイ!いつまでボケッとしてやがるんだよ。最初は大丈夫かな?って心配してやってたけど、こんな状況になってんのはお前のせいなんだぞ!俺が何のスキルも持っていないからって、大声で発表することはないだろうが!恥をかかせんなクソジジイ!)


 最初は好感を持っていました。村人たちと対等に接するその姿に。ただの愚痴のような相談をされても決して邪険にすること無く言葉を返していました。「あの人、絶対に良い人だ」そう思っていました。


 けれど今はただの無神経な塊にしか見えませんでした。


「おい、あいつなんか睨んでないか?」

「本当だ! なんだよあいつ、勝手に俺たちの村に来たくせして偉そうに………」

「頭おかしいんじゃないかあいつ、とっとといなくなれよ」


 目は口程に物を言う。


 その言葉の示す通り、口を開かない圭太の感情は村人たちに伝わり、彼らの感情を逆なでしていきます。


(うるせえ! うるせえ! うるせえ!)


 圭太は爆発寸前でした。


 ついさっきまで、世界最強になれると信じていました。数多の美女からチヤホヤされると信じていました。いきなり違う世界に放り込まれても、精神を保っていられたのは希望があったからです。


「なんだあいつ、気持ちわりぃな」

「そんなにこの村が気に入らないなら出て行けばいいんだよな」

「そうだ! 出て行けよ、よそ者が!」


 味方は誰一人として居ません。チートで最強で無双のはずが、ただの村人に虐められている有り様です。


(意味が分かんないって!神様!)


 圭太の不満は神へと向かいます。


(異世界転移させるってことは最強チート無双ってことだろ!? 無能ってなんだよ! 何の意味があるんだよ! 今からでもいい、最強のチートを、頼む!こいつらを黙らせてやりたい)


「無能?……今そう言ったか?」


 圭太の内なる声を遮って、誰かの太い声が響きました。さほど大きくもない声でしたが、全員の視線がそちらへ向かいます。


(この声はまさか………嫌な予感がする)


 圭太の勘は的中していました。


 これから訪れるのは、圭太を更なる地獄へと突き落とす張本人でした。




最後まで読んでいただきありがとうございました。


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