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5月、むらさきいろのシャワー
晴天の日曜。
テレビを消すついでに、リビングのカーテンを
少しずらして庭を見る。
三年前、鉢から庭の隅に移した藤が、
今では立派な藤棚になっていた。
手入れもしないのに、律儀に目の保養をしてくれる。
「ちょっと庭に出ようか?」
彼女に声をかけると、
「めんどうくさい」とぼやきながらも、
ワタシより先に庭へ出た。
藤棚の下で、彼女が言う。
「せっかくだから、写真撮って」
ポケットからスマホを取り出し、画面をのぞく。
枝垂れ流れる花弁の滝に、
彼女の姿が隠れる。
そのまま消えてしまいそうで、
思わず腕を掴んだ。
彼女は驚いたように、ワタシを見る。
「ちょっと躓いただけ」
そう言って、ワタシは誤魔化した。
「どこにもいかないで」
それが音にならない様に、ワタシは必死に飲み込んだ。




