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4月、ぴんくのシャワー
「せっかく天気がいいのだから、
外の空気を吸いに行こう」
いつもは出不精なワタシが、彼女を誘った。
意外そうな顔をしたが、彼女は反対しなかった。
サンダルを履き、駅に向かって歩く。
彼女は黙ってついてくる。
二人とも無言だ。
一定の距離を保ったまま、ただ歩く。
他人から見たら、どう映るのだろう。
いつもの散歩コースを外れて、角を三つ曲がった。
川沿いの道に出ると、視界が一気に開ける。
どこにでもある、ありふれた並木道。
ピンク一色。
彼女が呟く。
「キレイ――」
「キミのほうがキレイだよ」
これを素直に言えたなら、
きっと日常は、もう少し輝くのだろう。
頭では分かっている。
それでも、言葉は出てこない。
その瞬間――
急に風が吹いた。
並木が波打ち、花びらが舞う。
花びらを纏った君の笑顔が、
いつもより少し、輝いて見えた。
「キミのほうがキレイだよ」
思わず、口からこぼれてしまった。
幸か不幸か、
その音は風に攫われ、空へ舞い上がった。




