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動物と話せる少女は竜王に見初められる  作者: 早乙女姫織


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城へ

読んでくださりありがとうございます。評価、ブクマお願いします!

リリアが竜王に「行きます」と答えた翌朝、村はざわめきに包まれていた。竜王が人間の花嫁を迎えるという噂は恐怖を煽り、村人たちは家の戸を閉め、窓から怯えた瞳で彼女を見つめた。彼らにとってリリアはもう「村の娘」ではなく、「竜王に選ばれた存在」だった。


広場に影が落ちた。竜王が姿を現したのだ。彼の翼は太陽を遮り、村全体を覆うほどの影を落とした。村人たちは悲鳴を上げ、子供を抱きしめ、家の中へと逃げ込んだ。だがリリアは逃げなかった。彼女は竜王の瞳を見上げ、胸の奥に決意を抱いていた。

「リリア」

竜王の声は低く、山を震わせるようだったが、優しさが混じっていた。

「我はお前を迎えに来た。我が城へ共に行こう」

リリアは頷いた。彼女の瞳には恐怖はなく、決意が宿っていた。竜王は翼を広げ、彼女の前に身を屈めた。鱗は月光のように輝き、瞳は蒼く輝いていた。

「乗れ」

竜王は静かに言った。


リリアは小さな体で竜王の背に登った。鱗は冷たく硬かったが、彼女の心は温かかった。竜王の背に乗ることは恐怖ではなく、未知の世界への一歩だった。

竜王は翼を広げ、空へ舞い上がった。村人たちは悲鳴を上げ、家の中へと逃げ込んだ。だがリリアは空を見上げ、胸の奥に高揚を覚えた。彼女は初めて竜王の背に乗り、空を翔けていた。

風が彼女の髪を揺らし、空気が頬を打った。村が小さくなり、山が広がり、森が遠ざかった。リリアは竜王の背にしがみつきながら、空の広さに驚いた。彼女の瞳には恐怖ではなく、好奇心が宿っていた。

「竜王さま……」

リリアは小さな声で呼びかけた。竜王は低く答えた。

「どうした、人間よ」

「空って……こんなに広いのですね」

リリアの声は震えていたが、喜びが混じっていた。竜王は低く笑った。

「そうだ。お前の世界は狭い。だが我の世界は広い。お前は今、その広さを知ったのだ」

リリアは胸に温かさを覚えた。竜王の言葉は孤独を背負う者の声だったが、彼女には希望に聞こえた。彼女は竜王の背にしがみつきながら、空の広さを感じていた。

竜王は山を越え、谷を渡り、雲を突き抜けた。リリアはその背に乗り、空の旅を続けた。彼女の心は恐怖ではなく、好奇心に満ちていた。


やがて、竜王の城が見えてきた。雲海を突き抜ける山頂に築かれた城は、黒曜石のような岩を削り、竜の爪で刻まれた紋様が壁を飾っていた。塔は空を突き、門は巨竜が通れるほどに大きかった。

リリアはその城を見て、胸が震えた。村の家々とは比べものにならないほど壮大で、異世界的な光景だった。だが彼女の瞳には恐怖はなく、好奇心が宿っていた。

「竜王さま……ここがあなたの城なのですね」

リリアは小さな声で言った。竜王は頷いた。

「そうだ。ここが我の城だ。お前はここで生きることになる」

リリアは胸に温かさを覚えた。竜王の言葉は孤独を背負う者の声だったが、彼女には希望に聞こえた。彼女は竜王の背にしがみつきながら、城の壮大さを感じていた。

竜王の城へ向かう旅は、リリアにとって未知の世界への一歩だった。彼女の心は恐怖ではなく、好奇心に満ちていた。竜王の孤独を癒すために、彼女はその城へ向かっていた。

竜王の背に乗り、雲を突き抜けたリリアの瞳に、ついに竜王の城が映った。黒曜石のような岩を削り出して築かれたその城は、山頂にそびえ立ち、雲海を足元に抱いていた。塔は空を突き、壁には古の竜族が刻んだ紋様が走り、門は巨竜が悠々と通れるほどに大きかった。


リリアは息を呑んだ。村の家々とは比べものにならない壮大さ。まるで異世界に足を踏み入れるような感覚だった。だが彼女の瞳には恐怖はなく、好奇心が宿っていた。竜王の背にしがみつきながら、彼女は心の奥で「ここが竜王の世界なのだ」と感じていた。

竜王は城の広間に降り立ち、リリアを背から降ろした。広間は巨大で、天井は空に届くほど高く、壁には炎が灯されていた。炎は竜王の吐息で生まれたものだが、暖を取るためではなく、城を照らすためだった。リリアはその広間を見渡し、胸が震えた。村の祭りで使う広場など比べものにならないほど広大で、荘厳だった。だが彼女の瞳には恐怖はなく、好奇心が宿っていた。

「ここが……」

リリアは小さな声で言った。竜王は頷いた。

「ようこそ。わが城へ。」

その言葉にリリアの胸は温かくなった。竜王の声は孤独を背負う者の声だったが、彼女には希望に聞こえた。彼女は竜王の瞳を見つめ、心が震えた。


やがて、眷属の竜たちが姿を現した。彼らは竜王の花嫁となる人間を見て驚いた。だがリリアの小さな体と優しさを感じ取ると、彼らは次第に彼女を受け入れた。竜の子供たちは彼女に近づき、翼を広げて遊びをせがんだ。リリアは笑顔で応え、彼らと心を通わせた。

「人間が竜と心を通わせるなど……」

眷属の竜たちは驚き、囁き合った。だが竜王は誇らしげに言った。

「リリアは我の花嫁だ。恐れず、優しさをもって我を見つめる者だ」

その言葉に竜たちは静かに頷いた。彼らは竜王の決意を理解し、リリアを受け入れた。

リリアは城の広間で竜たちと過ごし、心に新しい世界を感じていた。村人たちは彼女を恐れ、追い出そうとした。だが竜たちは彼女を受け入れ、心を寄せた。彼女は孤独ではなかった。竜王の城で、彼女は新しい家族を見つけたのだ。

夜、リリアは城の窓辺に座り、星を見上げた。村で見上げた星と同じだったが、ここから見る星は違って見えた。雲海の上に輝く星々は、彼女の心に希望を与えた。

「私は……竜王さまの花嫁になる」

リリアは心に誓った。その言葉は小さな声だったが、星々に届いた。竜王の孤独を終わらせる光となるために。

竜王は広間に座し、炎を見つめていた。だが今夜は孤独ではなかった。彼の心にはリリアの姿があった。彼女の瞳を思い出すたびに、胸が温かくなった。彼の孤独は終わりを迎えようとしていた。

竜王の城へ向かう旅は、リリアにとって未知の世界への一歩だった。

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