煉獄②
レイナとカノンは、街に溢れる魔物を片付ける。レイナは瞬間移動を併用し、カノンは飛行魔法と赤色のアイカラーチェンジを併用して魔物を倒していく。
そして、十四秒ですべての魔物を倒し切ると、二人は合流する。
「おつかれ。レイナ」
「おう」
プリンは串のステーキをもう一本食べながら見る。
「てか、プリン!お前もやれ!」
レイナがプリンを指差す。
「わかってるよ。でもさ、出る幕なくない?」
「……お前がいれば半分以下の時間で魔物を倒せたんだぞ」
「安心しなさいよ。強い魔物もいるわけじゃあるまいし」
すると、プリンの背後に黒い影が映る。
「プリン……後ろ!」
*
王都パレイド――残った住民たちは、ただ座るか、立ち尽くすしかない。唯一の抜け道とも言える街道で、人が消えてしまったからだ。
その上空で、タクは飛んでくる鎖を剣で弾く。
(鎖が多すぎて近づけない)
アヤも、鎖に苦戦しているようだ。タルタロスを追い出した炎のムチは、使えないようだ。
*
トヌーは戦う二人を見る。
「…………」
(どうすればいい。シルレさんを守るのが第一だけど、あのままじゃ、あの子供達はどうなる。取り返しがつかないことになるかもしれない)
「トヌー!」
民家の屋根から、ルナが降りてくるとトヌーに近づく。
「ルナ……?」
「娘さんは、私が見ておく。だから、トヌーは二人を援護して」
「…………」
トヌーはシルレを見ると、彼女は強くうなずく。
「わかった」
トヌーは、下の街道に飛び出している雑草を見ると、しゃがみ込んでその雑草をつまむ。
すると、その雑草はみるみると長く伸びて形を変えると、細長い鎌のような形になる。
トヌーの「特殊魔法」・植物錬成――植物の性質を変える「特殊魔法」。武器を作れることもできるが、植物次第で性能が変わ上に、通常の武器より強度や威力は落ちる。
*
鎖に苦戦しているタクとアヤ。
タルタロスはその様を見る。
(これで時間稼ぎだ。人間を連れ去る邪魔者を排除するのだ)
横から高速の飛行魔法でトヌーが迫るとすぐさま、鎌でタルタロスの首を切り落とす。
タクとアヤは呆気に取られる。
だがすぐにタルタロスの首は再生し、先端に棘がついた鎖を三つトヌーに飛ばし、脇腹、肩、足に刺さる。
(脇腹に当たった。これで失血するだろう)
トヌーは膝をつくが、すぐに立ち上がる。
「やっぱり、僕が精霊族だってことわからないんだ」
「…………どういうことだ」
タルタロスはトヌーを睨みつける。
「ミミから聞いてない?精霊族。カノンの偏見強化型じゃないんだよ。僕はシンプルな長寿型。まぁ、ムーズがそう名付けただけで全然違うけど」
「長寿……不死身ということか?」
「違う違う。単に防御が高いだけだよ。どこかを欠損しない限り、生きていられるってこと」
タルタロスは先端をナイフに変えた鎖をトヌーに飛ばす。
「弱点を教えたらこれか」
トヌーは鎌で弾くが、弾くと同時に鎌が壊れてしまう。
「おっと。早々にか」
またもや、同じ鎖が飛んでくる。
「ま、やってみるか」
トヌーは地面に手を当てる。すると、根っこでできた盾が広がり、鎖を弾く。
「危ない危ない。雑草の残った根っこを使ったけど。一か八かだったな」
トヌーはそのまま、根っこの盾に魔力を込めてまた鎌を作る。
*
プリンの後ろに、大剣が浮いている。
「私が油断しないと思ったの?レイナ」
大型の魔物だったが、プリンは大剣を魔法で呼び出し、魔物の上半身と下半身を切断したのだ。
だが……
「プリン。なんだあの、大剣。浮いてただろ」
レイナが聞く。
「あぁ、私の『特殊魔法』だよ。エレクトニック・コントロール」
プリンの「特殊魔法」――エレクトニック・コントロール――自身の心臓にある発電機関で電気を作り出し、さまざまな用途に使う。
そして、プリンは大剣を電磁力で浮かせているのだ。
すると、三人を光の光線が襲う。
「あれは……」
レイナとカノンは瞬間移動で避けるが、プリンはあくびをして唱える。
「エレクトニック・デストロイ」
手をかざすと、吸い込まれるように光が当たるが、その光は爆発もせず、プリンは無傷だった。
エレクトニック・デストロイ――電気を集中させることで、攻撃を電気分解し無効化させる。
*
「私の攻撃を、手で受け止めるか」
屋根の上には、あの時倒したルシファーがいた。




