悪魔の策略④
レイナは街の真ん中で、目を瞑る。
「ここにもないな。他のところだ」
レイナは、虹色の瞳でミミのアジトを探している。虹色の瞳なら、ミミの居場所がわかると考えたからだ。そして、見渡せる範囲は、全方位100メートル。
つまり、レイナがいる方位100メートルにはないのだ。
(いや、ていうか、ミミが俺の魔力探知を掻い潜るものを作っててもおかしくない。多分、ミミは魔法の道具を作るのに長けている。なぜなら、カノンが持ってるあのポシェット。その作成書の著者なんだからな)
魔力を感じてレイナは上を見ると、カノンが着地するのを見た。
「レイナ……」
「どうした?カノン」
「秘書の人が、戻ってきたって」
「…………どうして」
*
二人が本部局を戻ると、局長室にイリアがいた。
「……おや、魔法団の人たち」
(この人がレイナさんか。かっこいい人)
頭は冷静なイリア。
「早速ですけど、何があったんですか?」
レイナではなく、カノンが聞く。
「……ミミに連れ去られました。そして、ミミは言いました。局長……『ルナを誘拐したもの』だと」
二人は目を見開く。これで確定した。ルナの行方不明の事案。その犯人は、ミミだったのだ。
*
ミミは拘束台に、ルナの手足を拘束すると、注射器を出す。
「いやーね。私もいつ暴走するか分からないからね。だから、こうして拘束してもらってるよ」
瓶の中に入った液体を、注射で吸わせる。
「まぁ、暴走したら倒すだけだけど。あいにく、一撃をもらっちゃったからね。私って、レイナほどは強くないんだよね。だからルナが暴走したら止められないかもしれない」
ミミはルナの左腕に注射を刺す。
「…………ゔ」
ルナの呼吸が激しくなる。
「どう?まず、強い魔生成を使うから、耐えられる体を作るんだ。そして、もう一本」
今度は、右腕に注射を刺す。
すると、ルナは顔を横にして嘔吐してしまった。
「脳もいじくるから、それにも耐性を作らなきゃ。まぁ、体が痛くなったり、気持ち悪くなったするけど、副作用だね」
ルナは、息切れをしながらミミを睨みつける。
「なんだい。自分で選んだくせに」
(ま、そんな副作用ないんだけどね。全ては、ルナを弱らせて抵抗できないようにするためのフェイク。まぁ、これだけ苦しんでるんだから少しは大人しくなるか)




