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天網恢恢疎にして漏らさず

 私服を着て、魔警官たちは西パレイド高校を見張っている。

「まさか、私服で待ち伏せするとは」

「魔法を通さない素材できてるのを着てるから違和感でかいよな」

 そして、学生たちが校門を出てくるのを見ると、みな一斉に道を歩く人たちになる。

 数時間前――

「作戦として、ここにいる本部局と第一局の魔警官と捜査課全員には通行人として、西パレイド高校の校門前で見張をしてもらう。この人数だ。犯人が出てくるのも時間の問題だ」


 そして、学校の向かいの建物から、カノンとホームズは出て言う生徒たちを見る。

「そう簡単にいくか?」

「行きますよ。私はこの目で犯人を見ました」

 どうやら、カノンの証言を、ホームズは自身が責任者として、この作戦を決行した。

「あ……」

 カノンは校門を見る。

「いた……」

 ホームズは、無線機を使う。

「どこだ!」

「私から見て、左端の男子」


 彼は、あることを考えていた。

(なにかな。大量にあって、誰でも持ってるもの……)

「ちょっと君。いいかな」

 私服の男性が、手帳を広げる。それは、魔警官の手帳だった。

「…………」

「ここじゃ。あれだから、他のところで話さないかい?」

「…………いやいや」

 彼は、不適な笑みを浮かべる。

「これ、任意ですよね?なら、僕は行きませんよ。帰って勉強したいですし」

「へー。もしかして、魔法の勉強かな」

「まさか……」

 魔警官を突き飛ばし、全速力で逃げる。

「……被疑者逃走!」

 それを合図に、魔警官全員が彼の逃げ道を通せんぼする。

「うぉ……」

(なになに。面白くなってきたじゃん。万引きの時とは違うなー)

「大人しくしろ!今自首すれば、罪が軽くなるぞ!」

「自首だぁ?」

(こんな楽しいのを、終わらせてたまるかよ)

 ポケットをまさぐると、紙の切れ端があった。すかさずそれを破って、魔警官たちに投げつけると、大きな爆発が生まれた。

「今だな!」

 通せんぼする人たちを押しのけて、脱兎のごとく走り出す。


「あっつ!あっつ!」

「おい、急げ!被疑者が逃げたぞ!」

 カノンは窓を開けて窓から飛び降りると、飛行魔法で彼を追う。

(逃がさない!罪を犯して、人を殺して、人を怪我させても)

「……いた!」

 すると、彼はどこかの路地裏に隠れた。

「……!」

 カノンは急ブレーキをかけるが、人とぶつかってしまう。

「すいません……」

 謝って顔をあげるが、その路地裏に彼の姿はなかった。

「また逃げられた。足が速い」

 すると、路地裏に走る影が見えた。

「……あの二人」


               *


「走るの速っ」

 アヤは少し息切れをさせている。先に見えるのは、あの逃げている学生。

「でも、逃したのは僕のせいでもある」

「なるほど」

 アヤは手からムチを取り出し、伸ばしてみる。

「ダメ。射程外」

「こうなったら」

 二人は、瞬時に飛行魔法に切り替える。


「しつこいなぁ」

 再びポケットをまさぐると、千切った消しゴムのゴミが出てきた。

「備えあればうれしいな」

 千切って投げつけると、また大きな爆発が起きた。

 二人は飛行魔法で立ち止まる。

「……!」

 タクはアヤの手を引いて、飛行魔法で一気に飛び上がる。と、爆発した左右の建物から、代償の破片が落ちてくる。

「……見失った……いた」

 または知っている人影を見つける。

「行くよ」

 タクはそう言って、一気にスピードを上げる。

(犯人は、飛行魔法や瞬間移動を使ってない。つまり、それらが使えないんだ)


 息を切らして止まる彼は、息を切らす。

「あー、走ったら腹が減っ!」

 すると、その上からタクが馬乗りになり、倒す。あとから、アヤが空中から降りてくる。

「犯人、確保!」

(言いたかったー!)

 その声を聞きつけた局員の一人が来る。

「え、犯人?学生?」

 驚いている魔警官に、彼はニヤリと笑う。

「助けてくださいよ!ただ、急いで帰ってたんですよ。そしたら、急に捕まって」

「な……」

 タクはこの犯人に引いていた。まるで、この場から逃げようとしている。

「どうして、僕が捕まらなきゃいけないんですか!」

 その学生の迫真の演技に、魔警官は少し、タクを睨みつけるような目で見る。

「卵の事件とは、無関係なんですよ」

「そうだね……悪いけど…………ん?」

 魔警官は彼を見る。

「ねぇ、なんで犯人の手口が分かってないのに知ってるの?」

 魔警官のその質問に、学生はため息をつく。

「しくじったーーーー!ゲームオーバーー!」

「バカなやつ……」

 もはや何も言えず、彼の腕に手錠をかける。

「午後、十五時五十七分、魔法犯罪で逮捕」

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