レイナ魔法団VS「魔王の駒」⑤
「…………鋭いな。虹色の瞳」
ルシファーの口が開く。
「…………っ」
カノンは剣を抜いて、もう一度ルシファーの左胸に剣を突き立てる。
「一度刺したものに、もう一度刺しても無駄であろう」
すぐにカノンは瞬間移動でレイナと共に距離をとると、ルシファーは起きあがる。
「鎮痛剤を作ったくらいなら、科学に精通していると踏んだが、違うようだな」
「…………」
「内臓逆位。知ってるか?」
「……知らん」
レイナが言う。
「まぁ、簡単に言えば、鏡写しみたいに内臓が逆なことだ。幸いだった。人間の頃の性質が魔物に現れるのがわかった瞬間だったな」
だが、内心ルシファーは「人間」という言葉を口にして、あることを思い返す。
『どうして、なんとしてでも外に出ようとしたのかしら。あまり外を歩いちゃいけないのに』
『血を吐いてたそうよ。“あの子”に会うんだって聞かなくて』
*
あの子の葬儀が終わってから、少年はますますいじめられるようになった。
一年前のある日、とある少女が声をかけた。
「おやおや。傷がいっぱいあるね」
そこにいたのは、ミミだった。
「まさか、いじめられてる?」
「…………」
少年は黙ったままだった。
「その気持ち、わかるよ。私もそうだったからね」
「………………そうなの?」
思わず、そう言った。
「うん。そうだよ。君と私は似てる」
「…………」
「そこで提案。私についてかない?」
「え?」
「私はね、いい魔法を持ってるんだ。物から生命体を作るっていうね」
少年はあることを思いつく。
「……じゃあ、それさ」
「……ん?」
「人も、作れるの?」
「んー……」
ミミは顔をかく。
「でも、それにはそれ相応の対価が必要なんだよ。例えばね、記憶も元に戻して欲しいなら、その子に関するものが必要なんだ。例えば、君と写ってる写真とか」
「…………骨」
「ん?」
「あの子の、遺骨。あれさえあれば」
「あ、いい考えだね……でも、私の力はね。まだ成長するんだ。だから、その内なにも必要なく生き返らせることができたら、生き返らせてあげるから。だから、その代わりといっちゃ、なんだけど、私の家来にならない?」
ミミは笑いながらそう言った。
「ちょうどね。騎士団みたいなのを作ろうと思うんだ」




