招集
ミミは「魔王の駒」を全員集めており、彼女の隣には、胸にクイーンのマークをつけた女性が立っている。
「……ミミ様、そのものは誰ですか?」
最後に来たルシファーが尋ねた。
「あぁ、東洋の将軍だって。歴史書があったから買って魔物を作ってみたの」
「……それ、だれでなんです?」
姿は、腰の下まで伸びた異様に長い髪で、手にはナギナタを持っている。
「新しいクイーンだよ」
*
それから二週間後。カノンがポストを開けて手紙を開くと、眉をひそめた。
『至急、団長室まで』
その声を聞いたタクとアヤは、首をかしげる。
「団長室ってどこだっけ?」
アヤが聞く。
「ほら、レイナさんがいるところだよ」
二人が部屋に入ると、レイナは紙を見せてくる。それには、こう書いてあった。
『ここから、南西の街に行ってみな。そこで戦おうじゃないか』
「こんなものがポストに入れられていた」
「…………」
「決着をつけるしかないな。ミミとの四年間の戦いを」
*
ブティックのレジで居眠りをしているプリンは、大きな電話のベルで目を覚ます。
「はいはい。プリンだよ」
『プリンか』
聞こえてきたその声に、プリンは「あ」と言う。
「レイナじゃーん。どうしたの?自分から電話かけるなんて」
『とにかく、時間がない。王都から南の街に行ってくれ。詳しいことはそこで話す』
「お、なにか大きいこと?私のことを頼りにしてくれるのは認めてあげる」
そう言ってプリンは電話を切ると、店から出てcloseの看板を立てる。
「私も久しぶりに本気を出しますか」
*
魔法団たちは、飛行魔法で南西の街へ向かう。
「見えてきた……」
段々、カノンの声が小さくなる。
「なんだよ。あれ」
後から来たレイナが声をあげる。
そこには、ツタのように鎖で巻きつかれたたくさんの民家に、鎖で吊るされた大きな塔。街に全てが鎖で覆い尽くされている。ただ、わかることは一つだけ。
――人が一人もいない――
「ミミ、の能力じゃなさそうだな」
レイナが言う。
「すると、魔物……『魔王の駒』だな」
レイナはバッと後ろにいるタクとアヤに言う。
「俺たち以外のやつらが来たら逃げろ」
*
「来た来た」
ミミは屋敷から、その景色を見ている。
「さ、頼んだよ。『魔王の駒』」
*
レイナとカノンが地面に降り立つと、街はとても静かだった。水の小さな滴りが聞こえるくらい。
「レイナ。魔法は見える?」
カノンが聞くと、レイナは目をつぶる。
「いや、見えない。ここら辺には魔物はいないな。ミミは前みたいに下級の魔物を山ほど出したりはしてこない。正真正銘、『魔王の駒』とミミとのガチンコだろうな。プリンがまだなのが……だがな」
*
プリンは自分の部屋で腕と足を鎖に拘束されている。
(解けない……これは、特殊魔法。私には鎖だけを壊す魔法はできない




