再び回る人生
アヤが教会に戻ると、さっそく神父に近づく。
「アヤ、どうしたんですか?急に走って」
「神父様」
「はい」
「私、魔法団に入ろうと思う」
「……どうしたんですか?一体」
不思議がる神父に、アヤは続ける。
「みんな優しいから」
アヤの笑顔に、神父もつられるように口元がフッと綻ぶ。
「そうですか。あなたらしいです」
三日後――
アヤは、黒いワイシャツに腕を通し、黄色いマントを羽織る。
「…………」
部屋を出ると、礼拝堂に神父が待っていた。
「……今、女神に無事を祈ったところです。一応、聖職者なので」
「…………」
「最後に、一言言います」
「…………」
「外の空気を目一杯吸ってきなさい。失ったものは戻りませんが、その分楽しみなさい」
目が半分潤んでいる神父に、アヤは「はい」と返事をする。
「……外でタクさんが待ってますよ」
アヤは回れ右をして、教会を出る。後ろは振り返らなかった。
誰もいなくなった教会で、神父はつぶやく。
「……若さですね。いや、やり直すのは遅いも速いもないのかもしれませんね」
アヤが外に出ると、そこは散らばっていた瓦礫は一個もなかった。レイナとカノンが瓦礫を燃やしたり、破壊したりしたおかげである。
「アヤ」
タクが名前を呼ぶ。
「行くよ。汽車に乗り遅れちゃう」




