魔王
「ッハハハハハ‼︎」
消えていったロキを見て、ミミは大笑いする。
「あー、おかしい。最後の言葉が『ごめんなさい』だってさ」
それからも、ミミは笑い続ける。
レイナはミミを見て実感する。
(あぁ、こいつはこんなやつだった)
すると、カノンが飛行魔法の低空飛行でミミに迫る。
「ん?」
ミミは槍を振り回し、カノンの腹に柄の一撃を喰らわせて吹き飛ばし、レイナがキャッチする。
「戦うな。まずは冷静になれ」
レイナに一喝され、カノンはミミを見る。
「……あ」
ミミはレイナが抱えているアヤを見る。
「あー、奪還されちゃったか。じゃ、もういっか」
そう言ってミミは不気味に消えていった。
いつの間にか、朝日が昇っていた。
*
「それ、アヤは大丈夫だったんですか?」
タクが聞く。レイナは冷静に言う。
「安心だ。神父様に『夢だった』と口裏を合わせるように言っておいた」
「それ、大丈夫なんですか?」
「まぁ、そうだよな。自分を狙ってたヤツがいつの間にか死んでんだからな」
「……そういえば、カノンさんがいませんが」
「あぁ、屋敷にアヤの団服を取りに行ってもらってる。アヤが魔法団に入りたいと言った用にな」
レイナはタクの部屋を出て、窓の景色を見る。
「……ミミ」
(今回でわかった。アイツは、部下すらも使い捨てのように使う。やはり、あいつは人間性を捨てて利用価値を模索している。アヤをなにかに使おうとしていたのも明白。もしや、なにか企んでいるのか)
ミミが地下へ降りると、そこにはルシファーがいた。
「ミミ様。人間を集めてきました」
「ご苦労」
ルシファーの横には、大量の人間が入った牢屋がある。
「その牢屋ごと放り込んじゃって」
「はい……」
ルシファーは魔法でその牢屋を動かすと、紫色の物体にズルズルと吸収されていく。スポりと入り、何も聞こえなくなった。
「よし。何人くらい?」
「大体、三十人くらいです。夜遊びをしていた連中などを連れてきたので……」
「ま、上等上等。まだ『学習するもの』には人間が足りない。なにか、もっと人間を乱獲できる方法はないかな?街だと目立っちゃうしな…………あ」
ミミはクククと笑い出す。
「……ミミ様?」
「ねぇ、ルシファー。いいこと思いついちゃった」




