トゥインクル・スターズ~またたく星々に想いをこめて~
わたし、夏ノ台格のビックバン。
それは、幼稚園の頃に見た恋愛ドラマだった。
『……ったく、最後まで面倒かけやがって。ほら、俺の車の鍵だ。使え』
『北斗……』
『早く行ってやれよ。アイツ、待ってんだろ?』
『……っ! 悪い! 借りてく!』
「かっこいい……!」
「主役の彼? 富津佳朝くん、イケメンだもんね」
「ううん、こっち!」
「え?」
「わたし、人の恋を応援できる人になりたい!」
これが、わたしの宇宙の始まり。
◇
この世は宇宙だ。世界は星空。みんなが輝いていて、とっても眩しい。
だから、わたしは重力になりたい。
「三年の劉楯さんと、一年の備矛さん。二年の張山さんと、同じく二年の飛谷さん。数学の関下先生と、国際科外部講師の羽拝理先生。うーん、どのカップルから進展させようか……」
「まぁぁぁぁぁぁた他人の恋路に首突っ込んでるんスか、お嬢?」
「そう! ここ一ヶ月、胸がドキドキしっぱなしなの! 尊みのガンマバースト! 見てるこっちまで灼けちゃうくらい、アツアツなんだよっ!」
この人はお父さんとお母さんの第四マネージャーの井伊居亥依さん。わたしを毎日、学校まで車で送迎してくれる人でもある。
「井伊居さんも、恋してる?」
「恋ぃぃぃぃぃぃっスかぁぁぁぁぁぁ? 一億年と二千年前に別れたばっかりっスよ」
「地球規模の期間!? だったらまた恋、しようよ! きっとあったかくなれるよ!」
「……そういうお嬢は恋、したことあぁぁぁぁぁぁるんスか?」
「えっ……? …………、…………わ、わたしはいいよ……」
「……真っ赤な顔、ルームミラー越しにも見ぃぃぃぃぃぃえてるっスよ」
「真っ赤って、ええとその……赤色矮星だから……」
「どぉぉぉぉぉぉういうことっスか……。学校、着いたっスよ」
「じゃ、じゃあっ、いってきますっ!」
「いぃぃぃぃぃぃってらっしゃいっス~」
今日の私は、校舎へ一直線に突き進む一筋の光になった。